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雨に物思う 【シロクマ文芸部:お題「青い雨」】

    春永睦月

    (本文528字)
    小牧さん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。


    青い雨
    が降ってきたのかと、一瞬思った。雫は青を帯びた雨雲の色を映していた。

    「○○株式会社所有地」と記した看板が立っている空き地で、雑草に紛れながら白詰草が揺れていた。横の緑、葉は三つ葉か四つ葉なのか、立っている場所からは分からなかった。
    白詰草の群生、その奥に石垣のようなものが見える。この場所に丸いガスタンクが設置されていた頃の名残、その台座だ。巨大な球体が居並ぶ光景を見たのは、20世紀。21世紀の今、世紀を跨またいで同じ場所を通り過ぎていることになるなと、ふと感傷めいたことを思った。

    今、この場所にはソーラーパネルが幾体も並んで立っている。天然エネルギーの貯蔵実験場となっているらしい。埋蔵資源を消費するガスタンクよりも環境に優しい施設なのだろう。

    そうは思えど、眼前の風景はどこか寂しさを感じさせるものだ。思えば、白詰草の花言葉は「私を思って」。勿忘草ワスレナグサの「forget-me-not(フォーゲット・ミー・ノット、私を忘れないで)」を彷彿とさせるその言葉を語りかけるかのように、白い小花は風に揺れていた。

    透明な青を湛えた雨がそぼ降る梅雨の季節に咲く花。皆が紫陽花を想う向こう側に、記憶を抱いた小さな花が咲いている。夏のはじまりから、夏が終わるまで。


    #シロクマ文芸部
    #青い雨
    #お題で書いてみた
    #掌編小説
    #33日ライラン
    #66日ライラン


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