
鬼とお狐① 七、腐れ縁? #小説
「お前、さっきの人の子に視られていた気がしないか。」
古びたアパートの居間で座布団にちょこんと座っているのは白狐だ。
「構わん。」
鬼釟は土色の瓢箪からぐいっと酒を煽った。
「人間の好奇心を甘く見るなよ。」
九尾は脅すように狐火をわっと立ち昇らせた。
————それは俺の方がよくわかっている。
「案ずるな。このアパートにも上のあいつにも近寄らせはせん。」
「私はお前の心配をしておるのじゃ。」
「その姿でか?」
美しい毛並みは背景を透かしてゆらゆらと透明に揺らいでいる。
「この私を侮るか。憎たらしい奴め。もう二度と天杏子を持ってきてやらないぞ。」
「へえそうかい。」
鬼釟はいかつい顎をワシワシとかいた。
「九尾、お前こそこの頃、昼間から隠れもせずどこへ行っているんだ?」
「私か?面白い幼子がおっての。かくれんぼじゃ。」
九尾はひびの入った瓢箪に憑依すると燃える眼をパチクリしてみせた。
「ほう。物好きだな。」
彼らの頭上——上の階の八畳間では、眩く光る巨大な球体が、静かに拍動していた。
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