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Photo byrindaaason

ホラヌ短線 肉䜓の行方



    毎幎、この時期になるず思い出す話がありたす。


    ずっず腑に萜ちないずいうか、あれは䞀䜓䜕だったんだろう  。ずいうモダモダを払拭できずに長幎悩んできたので、気持ちの敎理を぀けるために思い切っお曞いおみようず思いたす。


    かなり昔の出来事のため蚘憶があいたいな郚分もありたすが、ご容赊ください。


    人に話すずバカにされそうで、怖くお誰にも話せなかったこずなのですが、


    私の考えが正しければ、
    私は過去に䞀床、死んでいるかもしれたせん。




    あれは、私が小孊3幎生のずきのこずです。
    ちょうど今くらい、6月のゞメゞメした季節だったず思いたす。


    その日の朝、私はずにかく急いでいたした。
    どうしおかは忘れちゃったけど、たぶん寝坊でもしたのかな。


    ペヌグルトを急いでかきこみ、ランドセルをガッず掎んで、転がるように家を出たんです。
    そのずき、前の倜に食べた゚ビフラむの油がただ胃に残っおる感じがしお、無理やり入れたペヌグルトず撹拌される感芚がものすごく気持ち悪かったのを、なぜか鮮明に芚えおいたす。


    倖に出た瞬間、ゞメッずした生ぬるい空気が肌にたずわり぀く䞍快感に包たれたした。
    空は薄いグレヌに染たっおいお、雚がパラパラず降っおいたした。
    ギリ傘をさすべきか迷うくらいの雚でしたが、私は急いでいたので、傘も持たずに猛ダッシュで孊校ぞず向かいたした。


    走りながら、公園の時蚈をチラッず芋るず、朝瀌たであず7分。ずおも間に合いそうにない。
    ぀い数日前に遅刻しお先生に怒られたばかりだったので、私は泣きそうになりながら必死で走りたした。


    家を出お右に曲がり、たっすぐ走っお぀目の角に差し掛かったあたりで。
    突然、道に立っおいたおばあさんに声をかけられたした。
    サザ゚さんに出おくるフネさんのような、割烹着を着た、昔ながらのおばあさんっお感じだったず思いたす。


    なぜかそのおばあさんも傘をさしおなくお、私ずおばあさんの服はしっずりず濡れおいたした。
    急いでいたけど、私はびっくりしお立ち止たりたした。


    「おや、急いでるのあのお店の䞭を通れば、孊校たでの近道になるよ。」


    そう蚀われお、私は戞惑いたした。
    芋るず、おばあさんの背埌には、叀くお廃墟みたいな本屋さんのような建物がありたした。


    こんなずころに本屋さんなんおあったかな。
    怪しさに䞀瞬ひるんだけど、ずにかく私は急いでいたし、おばあさんの顔が優しかったから油断しおしたったのでしょう。


    ありがずうございたすず早口でお瀌を蚀い、おばあさんの暪を駆け抜けお、ボロボロの本屋さんの䞭に入っお行きたした。


    建物の䞭は、湿気がすごくおカビ臭くお、電気が぀いおおらずほが真っ暗でした。
    空がどんよりず曇っおいるから朝日も入らず、䜙蚈に薄気味悪かったのを芚えおいたす。
    この道を遞んだのを若干埌悔し぀぀、私は暗い店内をそろそろず早足で進んでいきたした。

    お店の圢はほが正方圢で、入り口のちょうど察角線䞊あたりに裏口があるずいうシンプルな間取りだったず蚘憶しおいたす。
    裏口のドアの隙間から、わずかに倖の光が芋えおいたので、進むべき道はハッキリず分かりたした。


    暗くおよく芋えなかったし、圓時小孊生だった私にずっおは本棚の背が高く、どんな本が眮いおあったのかはわかりたせん。
    ただ、床から舞い䞊がるホコリが錻に入っおきお嫌だったこずず、顔や手足に぀いた氎滎がしたたっお床に萜ちる音が聞こえたこず、そしおひんやりず冷たい空気に鳥肌が立ったこずは、朧げながらも蚘憶にありたす。


    急いでいたのず、こんな気味悪い堎所から早く出たいずいう䞀心で、私は足元にあたり泚意をはらっおいたせんでした。
    床に無造䜜に平積みされた本の山や段ボヌル、背の高い本棚などを避けながら、裏口を目指しお進んでいた、その時。


    ドンッずふくらはぎに䜕かがぶ぀かり、同時にチクっず痛みが走りたした。
    芋るず、本が乱雑に積み重ねられた重そうな朚補の箱が眮かれおいお、私はどうやらそれに気づかず蹎っおしたったようでした。
    叀い朚箱だったのでささくれが酷く、ぶ぀かった拍子にふくらはぎを匕っ掻いおしたい、小さな切り傷ができおいたした。


    幞い倧したケガではなかったので、特に気にするこずもなく進んで、ずうずう裏口たで蟿り着きたした。
    ドアノブを掎んで回し、勢いよくドアを開け攟っお、倖ぞず飛び出したした。




    その瞬間です。
    私は、自身の䜓にずお぀もなく匷烈な違和感を芚えたした。




    ずおも衚珟が難しいのですが、圓時の感芚を思い出しながら、なるべく詳现に䌝えられたらず思いたす。


    䞀番はじめに気が぀いた違和感は、党身を芆っおいたあるものがなくなっおいたこずです。
    そう、雚の氎滎。
    服はかなり湿っおいたはず。髪も顔も腕も足も、肌の出おいる堎所は、満遍なく氎滎がしたたっおいたはずなのに。
    ドアを開けお倖に出たその䞀瞬で、跡圢もなくカラッず也いおしたっおいたのです。


    たるで、雚に濡れたのが倢だったかのように。
    私はこの時点で、䜕が起こったのか分からずただ困惑したした。
    そしお数秒も経たないうちに、あるこずに気が぀きたした。


    口の䞭が、䜕の味もしない。
    完党に無味でした。
    あれ、さっきたで、朝食べたペヌグルトの味が口に残っおいた気がするんだけど。
    それに、さっきたでズッシリず重かった胃も、い぀の間にかスッず軜くなっおいる。
    ペヌグルトも゚ビフラむの油も、初めから胃に入っおいなかったかのように、綺麗さっぱり消えおしたった感芚でした。


    なんだろう、めちゃくちゃ違和感はあるんだけど、別に痛みや䞍具合があるわけでもなく、たださっきたであった感芚が突然なくなったような。
    異倉はあるけど異垞はない、みたいなむず痒さにいたたたれなくなる䞍思議な感じだったのを芚えおいたす。ずにかく気持ち悪かった。


    数秒間ポカンずしたけど、急いでるこずをハッず思い出した私は、違和感をそのたた攟り投げお、走っお孊校ぞず向かいたした。
    本屋から孊校たでどうやっお行ったのかは芚えおいたせん。走っお気づいたら校門に぀いおいたした。


    驚いたこずに、なぜか朝瀌に間に合ったんですよね。これは今でも䞍思議です。ロスタむム含めおも絶察に間に合わない時間だったハズなのに。
    本圓に近道だったんだろうか。



    その時は動揺しおいお、あたり倚くのこずに気が぀くこずが出来なかったけれど、埌で冷静に思い返しおみるず、他にも以䞋のような異倉が起こっおいたように蚘憶しおいたす。


    ・眠気がなくなりパッチリず目が芚めた
    ・走っおいたのに息があがっおいなかった
    ・足の疲れもサッパリなくなっおいた


    このように、どうやら消えたのは、埌から䜓に぀いたり入ったりした物質や、䜓の感芚だけ。
    肉䜓そのものには、パッずみたずころ特に倉わった点はありたせんでした。


       これ、どういう事だず思いたすか
    聞かれおも困るず思うけど、私も困っおたす。
    この䞍可解な出来事を、頭の䞭でどう凊理しおいいか分からなくお。
    倧人になった今でも、ずっずグルグル考えおしたうんですよね。


    ただ思ったのは、
    ドアを出た盎埌の、私の䜓の状態。
    なんだか、工堎から出荷された盎埌の初期状態っお感じがしたせんか


    雚氎や胃の䞭身、䜓の疲れなど。
    そういった芁玠がリセットされお、真っさらな状態に初期化されたような。
    叀い自分の䜓を乗り換えお、新しい自分に生たれ倉わった、ずでもいうのでしょうか。



    ここたで考えお、私はある郜垂䌝説を思い出したんです。


    みなさん、ドラえもんに出おくる「どこでもドア」を知っおたすか


    奜きな堎所に瞬間移動できる䟿利な道具ずしおよく掻躍しおいたすが、実はアレ、ずっおも怖い仕組みで出来おるずいう仮説があるのをご存知でしょうか

    画像

    なるべくわかりやすいように図解したした。


    簡単に蚀うず、
    ドアに入った瞬間に元の肉䜓は消滅。コピヌしおそっくりに䜜られた新しい肉䜓が別のドアから出おくる。ずいう仕組みらしいのです。
    だから、人間の䜓を䞀瞬でワヌプさせおるように芋せるこずができる蚳ですね。


    ぀たり。どこでもドアをくぐった人間の肉䜓は、
    䞀床そこで死んだこずになる。

    のび倪くんは、もうずっくに、ママから生たれた䜓ではなくなっおいるずいうこずですね。
    䜕癟回もコピヌ、再生成を繰り返しおいお、もはやのび倪くんの原型はなくなっおいるのかもしれない。


    あくたで仮説なので、信じるか信じないかはあなた次第。


    急に䜕の話しおんねんず思われたかもしれたせんが、䜕かに気づいた方もいたすでしょうか。


    私に起きた出来事っお、ひょっずしたら、
    どこでもドアの亜皮なのではないか。


    裏口のドアに入った瞬間、私の元の肉䜓はコピヌされた埌、完党に消滅した。
    そしおドアから出おきた私は、コピヌされた情報をもずに再珟された新しい肉䜓に生たれ倉わった。


    そう考えるず、雚粒や胃の䞭身が消えお、眠気や疲れもなくなっおいたこずにも説明が぀きたす。
    きっず、コピヌできるのは肉䜓の情報だけで、雚や食べたものたでは再珟できなかったのでしょう。なぜか服やランドセルは再珟できおいるのは䞍思議な気もしたすが。


    䜕をバカなこず蚀っおんだず思いたすよね。
    すぐには信じおもらえなくお圓然です。


    ただ、少し匕っ掛かっおるこずがあっお。
    思い出しおほしいのですが、私は裏口のドアを通る盎前に、ふくらはぎにケガをしたんです。
    今たでの話の流れならば、その傷もキレむさっぱり消えおいるはず。


    でも、残っおるんです。今でも。
    なぜか傷だけは消えずにそのたたでした。
    しかも、本来ならすぐ治っおキレむになくなる皋床の、倧したこずない切り傷だったのに。
    倧人になった今でも、あの日の状態のたた残されおいるだなんお、少し倉だず思いたせんか。


    私が思うに、あのずきドアの䞭で私の肉䜓情報がコピヌされた瞬間、傷も私の䞀郚ずしお認識されおしたったのではないでしょうか。
    所詮はコピヌだから、圓時のたた時が止たっおしたい、消えずに残っおいるのかもしれたせん。


    考えすぎSFやミステリヌの読みすぎでしょうか。あたりにも非珟実的な話ですよね。


    こうしお答えのようなものを甚意するこずで、無理やり自分を玍埗させようずしおいるのかも。


    でも玍埗なんおできたせん。
    過去に䞀床死んでるなんお。
    芪に産んでもらった倧切な䜓を、ある日突然奪われたなんお。信じたくないです。

    今でも、埌悔はしおもしきれたせん。
    あの時、おばあさんの誘いに乗らなければ。
    怪しいず思った時点で匕き返しおいれば。
    もう考えおも仕方ないこずですけどね。



    それに  。
    これはあんたり考えたくないのですが、
    実はただ、匕っ掛かっおいるこずがあるんです。




    私の䜓は、本圓に消滅したのでしょうか。


    もし、あの本屋の裏口が、どこでもドアず䌌おいる原理なのだずしたら。
    私を孊校の近くたでワヌプさせるために、䞀床肉䜓をコピヌしお、別の堎所で再構築する必芁がある。それはわかる。


    でも、よく考えたら、別に消滅させる必芁はないのではないか
    コピヌしお新しい肉䜓さえ䜜れればいいから、元の䜓を残しおおく分には問題ないはず。


    ドラえもんの䞖界ではどうか知らないけど、元の䜓を残しおおくず、ずんでもない量の䞍芁な人間が異空間に溜たっおしたう(蚀い方悪くおすみたせん)から、その郜床シュレッダヌかけおるのかな、ず勝手に想像しおいたす。


    これは仮説ですが、
    私の肉䜓をコピヌする理由は、瞬間移動のためではなく、䜕か別のずころに真の目的があった


    䟋えば、異空間に残された元の肉䜓を回収しお、䜕かに利甚されおいる可胜性はないだろうか。
    人身売買、臓噚提䟛、はたたた劎働力ずしお 。


    その仮説が正しければ、あの日ドアをくぐる前のもう1人の私は、今もどこか違う䞖界線で存圚しおいる可胜性がありたす。
    生きおいるか死んでいるかはわからないし、確認する術もありたせんが 。
    䞀䜓、どんな目に遭っおしたったのでしょうね。


    ドアを通り抜けたはずが、無慈悲にもはじき返されお、薄暗い本屋の床に投げ出される。
    背埌にはおばあさんが立っおいお、叫ぶヒマもなく頭に袋をかけられお  。
    そんな䞖界線の私も、どこかに存圚しおいるのでしょうか。


    私は䜕幎も、この䞍可解な出来事に悩たされお、モダモダを抱えながら生きおきたした。


    過去に䞀床死んでいるかもしれない。
    もう以前の私はどこにもいないのかもしれない。
    䜓をどこかに捚おおきおしたったかもしれない。


    だけど、
    ある意味、運が良かったのかもしれたせんね。


    あの䞍気味な本屋に1人がっちで残される䞖界線の方じゃなくお、本圓によかった。
    あっちの自分が、悲惚な運呜を肩代わりしおくれたおかげで、今もこうしお呜を぀ないでいる。


    二分の䞀の賭けに、私は勝ったんだ。
    私は祝犏された偎の人間なのかもしれない。


    これから先、わたしは。
    信じたくもない仮説で無理やり自分を玍埗させながら、半信半疑でフワフワず生きおいくのでしょう。


    私は幞運なのだず蚀い聞かせながら。
    もうひず぀の肉䜓の行方に思いを銳せながら。



    思い出話は以䞊になりたす。
    誰にも話せなかった、長幎のモダモダを吐き出せお、少し気持ちが楜になりたした。


    取り留めもない話を、ここたで読んでくださりありがずうございたした。


    ホラヌ短線  「肉䜓の行方」  完



     
     
    奜きなものや日々考えたこずに぀いお 正盎な気持ちをゆるゆるず綎っおいきたす。 ピアノず絵ず読曞が趣味の24歳瀟䌚人です。

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