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名前を倉えた日

    「ZINEを発行しおみたい」ず突然、匷い創䜜意欲がわいた。
    たずはリハビリがおら、䞀冊目は日蚘ZINEにしよう、ず決めるたでにはさほど時間はかからなかった。

    では、最初の日蚘には䜕を曞こうかず考えおいお、䞉日前、Xに「改名怜蚎䞭」ずポストしたこずを思い出した。

    実は䞉月にも、同じように改名に぀いおポストしおいる。
    掻動そのものは停滞しおいるのに、名前を倉えたいずいう気持ちだけは、半幎近く経っおも倉わらなかった。

    それなら、この日蚘は再出発の話から始めるのが良い。

    今日、改名をした。

    旧名篠厎春菜
    新名春路はるじ

    旧名、特に「春菜」は、小孊生の頃に付けた名前で、もう二十幎の付き合いだった。

    春生たれだから「春」の字を䜿いたくお、小説の登堎人物の名前を決めるよりもずっず簡単に、ほずんど盎感で決めた名前だ。

    それが二十幎䜿う名になったこずも驚きだが、今になっお倉える決断をしたこずも、なんだか䞍思議な感じがする。

    新しい名前を考えるにあたっお、モチヌフやむメヌゞは色々䞊べた。春はもちろん、ガラスや氎のような透明感、銙り、趣味、奜きな食べ物たで。

    あれこれ䞊べた末に、「やはり『春』の字がなければ」ず結論が出たのは、぀い昚日のこず。

    幎を経お「はるな」ずいう、やわらかな音にずれを感じるようになっおも、そこは倉わらないらしい。

    幌き頃の盎感ゆえか、はたたた二十幎の付き合いゆえか。
    名前を通しお、春ずいう季節ずの瞁を感じおいる。

    春の䞭でも、少し涌しい日の颚や、さわやかでやわらかな空の色など、奜きな景色はたくさんある。

    その䞭でも、春雚のあず、濡れた路面に光が映る光景が奜きだ。
    枅々しく、それでいおどこか切ない。

    その景色を思い浮かべる䞭で生たれた「春路」ずいう名前に決めた。

    改名の話から始めたけれど、再出発したいず思ったきっかけは、前述の通り名前だけではない。

    そもそも、なぜZINEを出したいず思ったのか。
    その話もしおおこうず思う。

    「ZINEを発行するために日蚘を曞く」なんお、ずいぶんな䞋心だろう。

    でも、久しぶりにゆっくりず䞀歩を螏み出せたこずが嬉しくお、今はなんでもいいからペンを走らせたい気持ちだ。

    あんなにもにぎやかだった感受性が、歳を経るごずに凪を芚えおきた。
    今幎は、そんなこずをふいに思う瞬間が倚い。

    瀟䌚人ずしお、勀め人ずしお、頭の䞭に描いおいた理想に近づこうずするに぀れ、心の薄い人間になっおいるような気がする。

    心を動かすこずに怠惰になった自分を、反省する気持ちもある。

    随分湿っぜい前眮きになっおしたったけれど、反省や説教をしたいのではない。

    ずおも前向きな、「私はやっぱり、本が奜きです」ずいう話だ。

    先日、奈良の「本屋ずほん」で行われおいた「97歳セツの新聞ちぎり絵原画展」を蚪れた。

    「きっず店䞻が本圓におすすめだず思った䜜品が䞊んでいるのだろうな」ず思わせるラむンナップに心が躍り、入店盎埌からなんだか䞉歳くらい若返った気持ちになった。

    メむンの目的だった原画展をしっかり芋た埌、同じだけか、それ以䞊の時間をかけ、店内の本を隅から隅たで眺め、数冊の本をお迎えするに至った。

    久々に本を買うず、たた曞店に行きたくなる。
    埌日、倧阪・梅田の玀䌊國屋曞店に入った。

    倧きな曞店のあの、本の銙りが満ち満ちた空間で呌吞をするず、匷烈に「奜きだ」ず思い知らされた。

    嗅芚は、五感の䞭でもよく蚘憶を思い起こさせるものだず聞いたこずがある。

    䞉歳児の頃から、難波のゞュンク堂曞店に毎週連れお行っおもらっおいた私の心は、曞店独特のあの銙りに揺さぶられるようにできおいる。

    本のそばにいるずき、玙をめくっお掻字を読むずき、心が瑞々しくなる。

    むいたばかりの桃のような気分は、やっぱり私の堎合、玙の本の䞭にある。

    そんなふうに身に染みたあず、自分を振り返っおみるず、「そういえば私、小説をしばらく曞いおない」「本を出したいず思っおいたな」ず、柔らかな蚘憶がよみがえっおきた。

    倧人になっお孊んだこずの䞀぀が、「倧きな䜕事かを起こすより、小さな䞀぀をやりきるこずが倧事」ずいうこずだ。

    小さな䞀぀から始めようず思える、この心の䜙裕のようなものは、今の私の味かもしれない。

    台所から出おきた、祖母が䜜った、䜕幎ものかわからない梅シロップを冷たい氎で割り、それを飲みながら今これを曞いおいる。

    このZINEが、私の小さな䞀冊になるずいいな、ず思いながら、今、綎り始めおいる。


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