メインコンテンツへスキップ
見出し画像

なんと最高。ハマナスの香りで、バルバレスコ。

    ハマナスと、バルバレスコ。

    なんというゴージャスな組み合わせだろう。

    ボクはハマナスが好きです。

    英語では、
    Rugosa Rose。

    “rugose” は、
    「しわ状の」という意味らしい。

    たしかに葉は、
    少しゴツゴツしていて、
    深い緑で、
    北国の風に耐えてきたような顔をしている。

    でも、正直に言うと。

    ボクは、
    そんな葉も、トゲトゲの茎も、特徴的ではあるのだけれど、

    やはり
    圧倒的に、
    この

    ハマナスの香り

    が好きなのです。

    初夏。
    庭へ出る。

    そして、
    薄紫ピンクのハマナスを見つける。

    すると、
    吸い寄せられるように近づいて、

    クンクンする。

    ……そして、

    「ハァ〜〜〜……」

    と言う。

    完全に、
    怪しい人です。

    でも、
    仕方がないのです。

    あの香りは、
    ただの「花の香り」ではないのですから。

    どこか、
    野生の海風みたいで、
    甘いのに透明で、
    懐かしいのに、
    少しだけ官能的なのです。

    ニューイングランドの初夏の光にも、
    とてもよく似合う。

    それを知っている彼女(ワイフ)が、
    庭のあちこちに、
    ハマナスを植えてくれた。

    なんという愛だろう。

    画像
    プール脇のハマナス

    しかも、
    彼女は、
    さらに重大な発見をしたのです。

    「そんなに好きなら、
    部屋に置いたらいいわね」

    と言って、
    棘のある茎から、痛みも顧みずに花を摘み、小さな自家製の花瓶を作って、生けてくれたのです。

    その瞬間。

    部屋の空気が変わる。

    花壇の風が、
    そのまま室内へ入り込んできたみたいなのです。

    ああ、
    シアワセって、
    こういうことかもしれない。

    ……と、
    しみじみしていたら、
    突然、
    神の啓示。

    「これ、
    バルバレスコに合うよん」

    人生には、
    時々、
    謎の啓示が降りる。

    ボクは静かに立ち上がり、
    セラーへ向かった。

    選んだのは、
    少し熟成した、
    バルバレスコ。

    丁寧にアンコルクする。

    ふわりと立ち上がる、
    あの香り。

    薔薇。
    土。
    乾いた果実。
    ゆっくりの時間。

    そう。

    ネッビオーロもまた、
    「薔薇の香り」を持つ霧を纏った葡萄なのだ。

    ハマナスと、
    バルバレスコ。

    生まれて初めての共演。

    そして、
    驚くほど、
    合う。

    北の海辺で咲く野薔薇と、
    イタリア・ピエモンテの霧のワイン。

    世界の端と端みたいな二つが、
    グラスの上で、
    静かに握手している。


    画像
    はまなすとバルバレスコ


    そんな夜を、ここだけに留めおくことができなくて、こうして書いている。

    シアワセなことというのは、
    案外、
    ものすごく小さい。

    でも、
    その小さな歓びを、
    ちゃんと「いいなぁ」と思えることが、
    人生なのかもしれない。

    ハマナスの香りがする部屋で、
    バルバレスコを飲みながら、
    そんなことを、
    考えているのです。

    あ、ちなみに、アメリカは、メモリアルデーの休日です。

     
     

    Haruï

     
     
    空を仰ぎ、種を土に託し、花鳥の命を愛でる。 命への願いを、世界の仲間と共に実現する。 妻を敬愛し、美味いもの作り、一緒に踊る。 友と盃を交わし、腹を抱えて笑う。 地球を巡り、絵を描き、言葉を紡ぐ。 そんな風に、今日を生きています。

    あなたへのおすすめ