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#31 「LOVE SONG」 【松田聖子ちゃんグラフティ】

聖子ちゃん4枚目のシングル「チェリーブラッサム」。この楽曲で作曲を担当したのが、TULIPのリーダーとしても知られる財津和夫さんです。

それ以降も「夏の扉」「白いパラソル」「野ばらのエチュード」など、デビュー前期から松本さんとのコンビ期に至るまで、彼女の代表曲をいくつも手がけています。まさに、聖子ちゃんの“初期の音楽スタイル”を共に築いた存在と言っていいでしょう。

ところが──意外なことに、財津さんと聖子ちゃんは一度も対面したことがないといいます。これほどの名曲群を残しておきながら、作曲者と歌い手が直接会っていないというのは、今となっては信じがたいエピソード。


ただ──個人的なことを言えば、財津さんが手がけたシングル曲たちに対して、実はそこまで強い思い入れがあったわけではありません。もちろん、どれも素晴らしい名曲には違いありません。が、むしろ惹かれたのは、シングルではなくアルバム曲でした。

特に1982年のアルバム『Pineapple』に収録された「LOVE SONG」と「水色の朝」は、どちらも財津メロディの真髄とも言える名作。「LOVE SONG」に至っては、個人的に財津作品の中でダントツのお気に入りです。


「松田聖子のどの曲で“歌がうまい”と思った?」
そう聞かれたら、迷わず「LOVE SONG」と答えます。

ラジオ番組で、南こうせつさんとデュエットした時の「LOVE SONG」を聴いたとき──私は正直、震えました。
南こうせつさんと「LOVE SONG」をデュエットする企画です
楽器はこうせつさんのギターのみ。それまで軽やかなトーンで番組を進行していた聖子ちゃんが、歌の練習に入った瞬間、空気が一変する。
その尋常じゃない表現力

そして歌い終えたあとは、また何事もなかったかのように“あっけらかん”とした聖子ちゃんに戻る。このスイッチの切り替えこそが、まさに天性の表現者。
しかも、「ちゃんと歌わなきゃ」という構えが一切なく、何の躊躇もなく、軽々しく歌ってしまう聖子ちゃん。その姿に、これが“プロをも惚れさせる歌うま”なんだと、心底感じました。

リリース音源のラストで聴ける「My Love」のファルセット。あの柔らかい裏声はとても印象的ですが、生歌ではそれを裏声にせず、あえて地声で歌い上げることも少なくありません。

もちろん、生歌である以上、音源と違う表現になるのは自然なこと。
驚くのは、時にその表現がリリース音源すら超えてくることがあるということ。さらりと歌っているようでいて、ひとつひとつの音にものすごく繊細な判断が重ねられている。
そこに、彼女のプロフェッショナルとしての凄みを感じます。


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