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私という器。|#想像していなかった未来

    「あなたは大器晩成型だから」

    そう初めて言われたのはいつだっただろう。
    いままで何回言われただろう。

    未来は遠いと思った。
    成功するのが人生の後半なら、それまでの時間はどう過ごせばいいの?
    ふとした拍子に思い出し、悩むこともあった。

    そんなにすぐには成功させないよ。
    と世界に言われた気がした。

    だとしたら、
    たくさん働かなきゃ。
    たくさん挑戦しなきゃ。
    たくさんお金を稼がなきゃ。
    たくさん人のためにならなきゃ。

    立ち止まる時間はない。
    好きなことや自分の望むことを後回しにしてでも。

    そうやって人より努力してきた。
    調べて、試して、挫折して。
    無意識に、自分で他人より苦労する道を選んできたのかもしれない。
    心身を壊したこともある。
    でも「休んでられない。社会に戻らなきゃ」と全快を待たずにまた飛び込んだ。



    現在。
    40歳を目前にした私は、無職だ。

    昔の私は、今の私を全く想像していなかっただろう。
    バリバリ働けるように頑張ったのに、と、もしかしたら怒るかもしれない。

    だけど、
    満員電車に揺られていた日々より、
    取引先に催促の電話を掛けるより、
    職場や家族の顔色を伺っているよりも、

    今が人生で一番『私という人間を生きている』実感がしているんだよ。

    イラストを描き、文章を書き、心の中にある小さな世界を外に出している。
    目指していた「定職」には就いていないけれど、毎日が創作で満ちている。

    ポツポツと収益につながってはいるけど、
    安定収入という意味では、今はまだ成果は出ていないかもしれない。

    将来への不安が無いと言ったら嘘になる。


    それでも、


    朝目覚めて、
    窓を開けて太陽と風を感じる。
    温かい飲み物を飲む。
    気分にあった音楽を流す。
    好きな香りに包まれる。
    本を読む。
    イラストを描く。
    文章を書く。
    疲れたら昼寝する。
    空を眺める。
    大好きな人の帰りを笑顔で出迎える。

    そして、
    明日が来るのが楽しみで眠りにつく。

    この幸せな毎日は、間違いなくあなた(=過去の私)が連れてきてくれた未来だ。

    あなたは大切な『私という器』を、
    傷つきながら、継ぎはぎしながら、守ってきてくれたのだろうか。
    様々な色や素材を、あなたなりに集めて大きくしてきてくれたのだろうか。

    ありがとう。
    気付くのが遅くなってごめんね。
    今まで過ごしてきたどんな私も、今の私を作った大切な器の一部だよ。

    これからは、
    望む未来も、想像していなかった未来も、
    楽しみながら一歩ずつ一緒に歩いていこう。


     
     
     
    イラストと文章で生活する人。 2024年10月~ストックイラストにて収益化。 主にイラストに関するアレコレを気ままに書き綴っています。 ※Amazonアソシエイト参加中

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