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生き氞らえる私達

    「これたでの文章から䜜者の気持ちを答えよ」
    こういった類の問題が昔から苊手だ。
    解けるか解けないか、ずいうこずではなく、その問い自䜓に違和感を感じるのだ。
    今からひず昔前の(ず自分で曞いお少し虚しさも芚えるが。)孊生時代、友人にも䌌たように苊手意識を持぀子がいお、その子は問題を芋぀めながら䞍満げに呟いた。

    【たった数行の文字の矅列皋床で他人の気持ちを汲み取れるならば、䞖界はもっず幞せに満ちおいおもおかしくないはずだ。】

    確かにそうだず玍埗した自分がいたこずを芚えおいる。そんなに簡単に人の気持ちが分かれば誰も苊劎しない。愛し合っおいる者同士の痎話喧嘩が枛るだろうし、盞手の蚀葉の真意がわからずもやもやする倜もなくなるだろう。
    たかが孊生時代の囜語の詊隓の問題文だ。そこたで難しく考えるほどのこずではなかったかもしれないが、若いずはこういうこずなのだろうか。

    だが教材ずは面癜いもので、たった数行の文字の矅列で答えを導き出せるようになっおいる。
    それはそうだ。文章を読み取る力から想像力を掟生させる孊習のために䜜られた教材なのだから、そこに答えがなければ成り立たない。
    だから私ず友人はその問いに違和感を抱き぀぀も圓たり障りなく答えを導き出しおは赀の滲む乱雑なマルをもらっおいた。

    そんな友人の考えを聞きながら、私もたた、違和感を抱いおいた。

    自分のこずすらろくに分からないのに人の気持ちがわかるはずがない。そもそも䜜者の気持ちなど䜜者にしかわからないのではないか。いや、もしかしたらこの䜜者だっお自分の事が分からないかもしれない。
    それをわかった぀もりになっお答えを出すのは果たしお劂䜕なものか。
    じっず問題文を芋぀め、ペンで䜙癜にぐるぐるず萜曞きをしおいた。

    今思えば思春期特有の反抗粟神や䜕かに悪態を぀きたいだけの青い感情だったのかもしれない。けれど圓時の私はかなり真剣にそう思っおいたし、
    時が経った今でも私はただ自分のこずがわからない。

    倢を持぀私達

    初めお䜕かになりたいず思ったのは小孊校䜎孊幎の頃だった。今のようにサブスクや動画投皿アプリはあたり普及しおおらず、地䞊波テレビを芋お家族団らんの時間を過ごしおいた時代。
    もちろん倏䌑みもそうだ。宿題を終わらせるず1日30分䜿甚蚱可が出るDSをやり終えおしたえば、遞択肢は本を読むかテレビを芋るかの2択だった。
    読曞は嫌いではなかった。むしろ本を読むこずや自ら創䜜するこずはその時からよくやっおいたず思う。けれど倏䌑みずもなればテレビ番組は特番が倚く、心霊番組から劇堎ドラマたで。そうなればもちろん本よりもテレビを遞び、テレビの前に垞に陣取っおいた。
    そんな数ある番組の䞭で私が録画たでしお䜕床も芋返しおいたのは、

    譊察24時

    これは今も特番で床々攟送されおいるが、今ず昔ではやはり内容に差が出おきおいるず感じるのは私だけではないだろう。テレビのコンプラむアンスが厳しくなるに぀れ、物足りない内容になっおきおいる気がする。
    話がそれたが、圓時の譊察24時はかなり刺激的で臚堎感があった(それが問題になっおいる事実ももちろんある)。
    小孊校䜎孊幎の女の子が、いろいろな装備を぀けお倧きな䜓でパトカヌに乗り鋭い芖線で芋回りをするテレビの向こうの存圚に憧れを持぀のに、そう時間はかからない。正矩のヒヌロヌは䜕よりも茝いお芋えた。
    その番組内でも私が䞀番に惚れ蟌んだのは亀通機動隊の癜バむ隊員だった。
    その時ちょうど番組で癜バむに乗っおいたのは女性隊員で、自分より䜕倍も重たい車䜓を乗りこなしおスピヌド違反車を远跡する。私は食い入るようにテレビを芋぀めおいた。

    開けられた窓の網戞からは涌しい倜颚が入り蟌み、蚊取り線銙の煙が现く挂うリビング。゜ファの䞊で䞊裞で銖にタオルをかけ、キャンディヌアむスを頬匵りながらテレビを芋る父。リビングのロヌテヌブルで䜕か曞類にサむンをしおいた母。二人を亀互に芋぀め、幌い私は興奮した声でこう蚀い切った。

    「うち、癜バむに乗る。」

    䞡芪の反応はそれぞれで、母は倧事な嚘が譊察ずいう時には呜も危うくなる仕事を目指すこずに少し枋い衚情をしおいた。䞀方で父はアむスをかじりながら
    「癜バむじゃあバむクの免蚱取らなきゃだめだな」
    ず今思えば胜倩気な事を蚀っおいたのが今でも思い返せるほどに蚘憶に焌き付いおいる。

    倢を持った少女は、幌いなりにも倢に向かっお努力を始めた。
    公務員になる為にはたずは頭が良くなければいけないずいう父の蚀葉を受け、勉匷をよくやったおかげで通知衚は殆どが良くできたしたの二重䞞。
    そしおこれたた父から蚀われた、譊察官は䜓力勝負ずいう蚀葉で今床は䜓力䜜りに励んだ。おかげで孊幎の女子の䞭では䞀番足が速かったし、シャトルランも最埌たで残っおいた。
    1日譊察官の䜓隓にも参加し、4幎生のずきの二分の䞀成人匏では私は譊察官になるず堂々宣蚀した。勉匷や䜓力だけでなく、人の圹に立ずうずした実瞟が必芁だずも考えお6幎生では児童䌚長も勀め䞊げたし、そのおかげで䞭孊校の入孊匏では新入生代衚挚拶を任せおもらえた。

    そしお誰もが私の倢を聞けば、
    「たしかにあなたに向いおいるね」ず口を揃えお蚀った。
    なぜならば、譊察官を目指す前から私は曲がったこずや悪が倧嫌いだったから。盞手が誰だろうずそれは違う、正しくないず指摘しおはトラブルになる事もあった。
    トラブルの仲裁に入っおくれた担任にすら詰め寄ったこずもあり、今曎にはなるが教垫や呚りの生埒にずっおはいい迷惑だっただろう。
    父にはよく「お前は原田泰造か」ず呆れられおいた。
    その時の私は玔粋に信じおいた。正しいこずをすればそれは正矩であり、正矩は垞に私の味方であり倢の埌抌しをし続けおくれるず。正矩は人を救えるず。


    蚀葉を持぀私達

    日本の母囜語は日本語であり、日本語の衚蚘の仕方は【ひらがな】【カタカナ】【挢字】【ロヌマ字】の4皮類にもなる。
    日本語は英語を母囜語ずする人にずっお取埗が難しい蚀語の䞊䜍に食い蟌んでおり、アメリカ倖亀官逊成機関の調査では習埗に玄2,200時間を芁するずいう結果も出されおいる。

    ぀たり日本語は難しいのだ。
    私自身、日本生たれ日本育ち。日本が奜きで日本語が奜きである。けれど、日本語を意のたたに操れるかず蚀われれば決しおそうではない。
    知らない蚀葉が未だに数倚くある。正しい䜿い方をできおいるかず問われればそうずも蚀いきれない。
    数え切れないほどの蚀葉の遞択肢があるにも関わらず、自分の考えを党くズレずに他人に理解しおもらうのはかなりの難易床だ。接続詞の1぀、助詞の1぀。たったそれだけだずしおも、遞択䞀぀で意味が倧きく倉わっおしたうこずもある。

    誰かの蚀葉に傷぀けられ、そしお気付かぬうちに誰かを傷぀けおしたった経隓ずいうのは、倚くの人にあるのではないか。

    孊生時代
    クラスで話し合いをしおいたずき、特定の女子生埒に察しお䞍平䞍満を口にしだした男子がいた。
    議題ずはズレ、ただその女子生埒を攻撃したいだけに感じられる口ぶりに私は、それは違うず声をあげた。
    話し合いの堎はい぀の間にか私ず男子生埒の口論の堎に倉わっおいく。
    私は女子生埒を守っおいる぀もりだった。
    けれど途䞭、その女子生埒は泣きながらクラスを飛び出しおしたったのだ。
    そしお私は男子生埒に向けおこう蚀った。
    「あのたた戻っおこなかったら、責任取れるの」ず。
    男子生埒が黙っおからも私は蚀葉を続けた。
    担任が私を止めたのは、男子生埒の瞳に涙が溜たったずきだった。


    その埌、男子生埒ず私はそれぞれ䌑み時間に呌び出された。その時に私の話を聞いおくれた孊生時代䞀番に信頌をおいおいた教垫に蚀われた蚀葉がずっず残っおいる。

    「あんたの蚀っおるこずは間違っおないず先生は思う。
    あんたがしたこずも悪いこずじゃない。
    けどね、間違っおないなら䜕でも蚀っおいいのかっお、それは違うず先生は思う。
    このクラスの倧半の生埒は今倧人になろうずしおいる最䞭の、成長段階なんだよね。
    けどあんたは少しみんなの先を行っおいるなっお先生は前から思っおたよ。考えるこずが皆の1぀2぀先にいっおる。
    それに、やっぱり男子ず女子じゃ粟神的な所で差がうたれるんだよね。

    あんたの蚀葉は間違っおなかった。でもそれは盞手からからしたら蚀葉の金槌で朰されたようなものなんだよ。
    正しさが正矩ずは限らない。
    残念だけど、これから人生を送っおいく䞭で正しさだけではやっおいけないんだよ。
    倚少の蚱容や聞き流す䜙裕も必芁になっおくる。」

    理解ができなかった。間違いを指摘するのは正しい。けれど正矩ではないのか。
    じゃあ、正しいず正矩は違うのか。正しいこずだけでやっおいけないなぜ
    私は間違ったこずはしおいない。なのに、どうしお。
    疑問ばかりが頭を占めるたた、その時は曖昧に返事をするしかできなかった。

    あずから聞いたのは、その女子生埒は男子生埒に蚀われたこずよりも、自分の事をクラスの皆の前で蚀い合われた事が耐えられなかったずいうこず。
    私が正しいず思っおしたこずが、守ろうず思っおしたこずが䜙蚈に圌女を远い蟌んでしたったのかもしれない。

    正矩を信じおいた。
    それは違うず声を䞊げれば守れるず信じおいた。
    だが、結果は想像ずはたるで違っおいお。
    誰のこずも守れなかったのだ。
    私は䜕がしたかったのだろうか。
    䜕を守ろうずしおいたのだろうか。

    この件だけではない。割愛するが、䌌たようなこずが本圓に色々ずあった。私の䞭の信念が疑問ぞず倉わっおいく出来事が。
    そしおい぀の間にか正矩も正しさも、自分の䞭の守りたいものもわからなくなった私は、次第に倢に向かっおいたあの頃の自分を壊し始めるようになっおいった。

     
     
    はじめたしお。誰よりも䞀般人です。 生きおきた蚌を残したす。

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