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鏡のむこう側

今日もわたしは鏡の前に立つ。

全てを諦めきったような覇気のない顔。その顔には、死んだ魚の目の様な光が途絶えた目が乗っかっていた。

「魚の死んだようなとは、いい例えだな」

私は、フッと小さく笑う。

髪をとかし、歯を磨き身なりを整えた後、最後の力を振り絞って、鏡に向かってニコッと作り笑顔を作ってみせる。

口の片方の端だけが歪に上がり、うまく笑えていない。おまけに、目は死んだ魚のまま。

笑顔一つ上手く作れない顔を見て、ガックリと項垂れた。

(こんなに毎日辛そうにするなら、いっそ鏡のこっちとあっちで入れ替わればいいのに)

私は顔を上げると、鏡に向かってそっと手を伸ばしすーー。

その瞬間、グニャリと視界が歪んだ。

 
 
 
​ひとの“心の奥”に潜む、歪みや影を更に「消えない澱」として沈殿するような物語を、余白たっぷりに書いています。 ​あなたの心の深淵で、お待ちしています。 TALES: 鋭い短編 中心。現在、note創作大賞応募作『正義の悪心、悪の正義』を連載中 note: 中長編の販売など

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