メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ジョハリの檻 2

    【第ニ章】

    翌日。田邊秀一は、チェックアウトを済ませ、昼食をとった後に一条光太郎から指定された場所へタクシーで向かった。

    ホテルから一時間ほど車を走らせると、街の喧騒は消え、鬱蒼とした森に囲まれた場所に、一条の洋館は佇んでいた。

    一条邸は、テレビでしか見たことがないほどの、まるで閉ざされた要塞のような、重厚な石造りの建物だった。

    「すごい家でな。大学教授って言ってたけど、一条という人は一体何者なんだ…」

    秀一は、一条邸の門の前で、呆気にとられて全体を見渡す。窓は少なく、あっても分厚いカーテンで覆われており、外の光を徹底的に拒んでいるかのようだ。

    「洋館って、初めて見るけどこんなにも窓が少ないんだ」

    秀一は気を取り直し、門の横にあるチャイムを鳴らす。

    「よくおいでくださいました、田邊さん」

    しばらくすると、インターホンから一条の声が聞こえ、それと同時に門扉が開く。

    玄関では一条が出迎えた。すぐ脇には、屈強な使用人が控えている。一条は秀一の荷物を彼に渡すと、迷路のような廊下を案内し始めた。

     
     
     
    ​ひとの“心の奥”に潜む、歪みや影を更に「消えない澱」として沈殿するような物語を、余白たっぷりに書いています。 ​あなたの心の深淵で、お待ちしています。 TALES: 鋭い短編 中心。現在、note創作大賞応募作『正義の悪心、悪の正義』を連載中 note: 中長編の販売など

    あなたへのおすすめ