メインコンテンツへスキップ
見出し画像

かぐや姫の誤算

    片桐みかんさんの企画に参加させていただきました。
    今回は、お題④のイラストから連想させていただきました。
    それでは、セラフィナの世界観をお楽しみください😊

    「ようやく。ようやく、ここまでこれた」

    私は、駆け降りた階段の一番下まで来た時、ようやくひと息ついた。
    あそこから走り続けて、体は悲鳴をあげていたらしく、止まっているはずなのに、足はまだガクガクと震え、心臓もバクバクと爆ぜている。


    私が逃げ出したあの場所は、あまりにも完璧で、微塵の未完も許されない。

    私は、そんな窮屈なまでに完璧な世界に息が詰まり、逃亡を試みたのは、今回で2回目。

    前回の失敗の大きな原因は、地球に生えていた“竹”という植物の中に、身を隠した事だろう。
    私の神々しい美しさは、この星ではあまりにも目立ちすぎるらしい。

    だから今回は、姿を変えてこの星に身を潜める事にした。

    私は、月を振り返ると大きく手を振った。

    「バイバイ。完璧なあんた達の事、大嫌いだったよ。
    さて、次はどんな姿になろうかしら?」

    足元に目を移すと、月明かりに照らされて、白く浮き上がる花々が咲いていた。

    「あら、かわいらしい。そうだわ、私もこのかわいらしいものに姿を変えましょう」

    そういうと、音もなく月見草の群生の中に溶け込んだ。

    ***
    「ナイトハイクにご参加の皆様、ハイキングコースといえども、山の中は真っ暗です。どうぞ足元に気をつけて下さいね」

    山岳部主催のナイトハイクの参加者達が、林の小路を肝試し感覚でワイワイと進んでいく。
    彼らは、足元に咲く花々には見向きもしない。

    「な、なんで……この…私が……」

    人々が去った後には、踏みつけられ、ぺしゃんこになった月見草達が、息絶えていた。

    画像

    #3つのお第に空想のひらめきを

     
     
     
    ​ひとの“心の奥”に潜む、歪みや影を更に「消えない澱」として沈殿するような物語を、余白たっぷりに書いています。 ​あなたの心の深淵で、お待ちしています。 TALES: 鋭い短編 中心。現在、note創作大賞応募作『正義の悪心、悪の正義』を連載中 note: 中長編の販売など

    あなたへのおすすめ