
墓じまいと永代供養 間に合わなかった母と、間に合った父【父の記録】
母は、おしゃべりなうっかりおばさん。
サザエさんみたいな人だった。
でも意外なことに、
お金の管理や、先の備えを考えることができる人でもあった。
そのおかげで、
父の介護資金の心配は、今のところしなくて済んでいる。
そんな母にも、
ひとつだけ、備えが間に合わなかったことがある。
墓じまいと永代供養。
「そろそろ墓じまい、しとかないと」
そう言っていたのに。
人って、あっけない。
母は、しまいたかった墓に、
とりあえず入ることになった。
⸻
母が亡くなって4年。
父が墓掃除が大変になり、月命日を意識しなくなった頃
墓じまいをして、
寺の永代供養墓に移した。
その頃、父はもう
業者や寺との話、契約、支払いなどを
自分で進めるのは難しくなっていた。
⸻
墓じまいで
最後に手を合わせている姿。
墓を撤去したあとの更地。
永代供養墓での
家族の集まり。
全部、証拠写真に残した。
⸻
その後しばらく、父は
「墓はどうなった」
「支払いは済んだのか」
と気にしていた。
そのたびに、
証拠写真と領収書を見せた。
すると父は、
「ああ、そうか」と安心する。
⸻
そのうち、
何も言わなくなった。
⸻
月命日には、
寺の永代供養墓へ
父を連れて行く。
父は
「ここはどこだ」とも言わない。
「墓がない」とも言わない。
墓じまいのことも、
永代供養のことも、
なんとなく
父の中で、おさまっているらしい。
⸻
ギリギリ、間に合った。