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たまには寄り道して帰ろうかと思うけど

    仕事帰り、駅前で立ち止まることがある。

    今日は少しだけ、
    どこかに寄って帰ろうかな、と。

    一杯だけ飲んで、
    静かな時間を過ごしてから帰る。

    カフェで温かいものを飲んで、
    少しだけぼんやりしてから帰る。

    そんな選択肢が、ちゃんと頭に浮かぶ。

    でも結局、
    私は改札を抜けて、家に急ぐ。

    ⸻

    誰かに禁止されているわけじゃない。

    行ったからといって怒られるわけでもないし、
    子どもたちも、きっとちゃんと待っていてくれる。

    それは分かっている。

    それでも、急いでしまう。

    ⸻

    たぶん、
    自分が保育園に通っていた頃のことを、
    なんとなく覚えているからだと思う。

    夕方、少しだけソワソワしていたこと。

    みんなが一人、また一人と迎えに来て、
    教室の人数が減っていく。

    窓の外は、
    少しずつ暗くなっていく。

    昼の明るさがゆっくりと抜けて、
    街灯の灯りがにじみはじめる。

    まだ怖いわけじゃないけれど、
    なんとなく落ち着かない時間。

    窓の外を見たり、
    時計を見たり、
    先生の足音に反応したり。

    はっきりとした記憶じゃない。

    でも、あの薄暗くなっていく感じは、
    体のどこかに残っている。

    ⸻

    駅前で立ち止まると、
    あの感覚が少しだけよみがえる。

    待っているかもしれない、と思う。

    だから私は、
    寄り道する自由よりも、
    まっすぐ帰るほうを選ぶ。

    ⸻

    それは罪悪感というより、
    たぶん、私の癖だ。

    急ぎたい気持ちがある。

    帰って顔を見て、
    今日あったことを聞いて、
    安心したい。

    でも、
    帰ってからいつも“良いママ”でいられるかと言われると、
    正直、自信はない。

    余裕がある日ばかりじゃないし、
    疲れている日もある。

    それでも、急いで帰る。

    もしかすると、
    急いでいるのは子どもたちのためというより、
    私自身のためなのかもしれない。

    ⸻

    今日もまっすぐ帰る。

    たまには飲んで帰る日も、
    カフェに寄る日も、
    あっていい。

    そう思いながら、
    私はまた、改札を抜ける。

    少しだけ暗くなった空の下を、
    急ぎ足で。

     
     
     
    2児の母、公認会計士。 監査法人から一般企業へ転職しました。 仕事、育児、日々の暮らしの中で感じたことを、 お茶を淹れるように静かに綴っています。 有料記事も作成しますが、全文無料で読めるようにしてありますのでお気軽に🍵

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