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Photo bylazy_planet

バスに乗って、花を買って

    明日は、病院の日。
    週に一度、バスに乗って通っている。

    最初は乗り慣れないバスに揺られるだけでどきまぎしていた。
    山の上の、大学病院。
    ひとりで病院に行ける年齢になってから、こんな大きな病院に来たことはなかったのに
    いまでは、平気な顔で向かえるようになった。
    トイレの場所も、耳鼻科の受付もきちんと覚えている。

    にんげんの、慣れってすごいな。
    好きとか、好ましいとか、嬉しいとか、そういう前向きな感情を孕んでいないときも、きちんと慣れは発動する。
    そりゃあ根本的には「病気を治すため」に行っているのだから、前向きな動機だけれど。
    「だから病院はへいきです」って言えるほど、なんだか割り切れたおとなになれなかったし、なるべきだとも思っていない。

    *

    慣れは、余裕を連れてきてくれるんだと思う。
    それがわたしを、勇敢にさせる。

    *

    楽しみにしていたアルバムの発売日だから、明日バスに乗りながら聞こう。
    音楽の、空間に伴う匂いを愛している。
    歩きにも、電車にも、バスにも、部屋にも、それぞれの匂いがあって、音そのものは変わらないのに、同じじゃない気がしてくる、

    バスは、バスの特別さがある。
    坂をぐんとのぼってゆく。
    がたがたと妙な音がする。

    *

    明日は、花も買おう。
    先週は花をもらう機会が複数回あって、うれしい悲鳴だった。
    さすがに買い足す余裕はなくて、「友達からもらったお花」をにんまりと眺める幸福な1週間を過ごした。

    花を買って、傷んだものと入れ替えて
    来週くらいには、ぜんぶわたしの買った花に入れ替わるのかな。

    ここ3ヶ月くらい、毎週同じ花屋さんに行ってたけれど、わたしが来ないことに気づいてくれたかな。
    げんきかな、なんて思い出してくれたかな。
    どちらでもいいけれど。
    心配かけるのは本意ではないから。
    明日わらって、「こんにちは」って言うね。

    *

    わたしにはできないことがたくさんあって、
    それは何と比べて、っていう話になってしまうんだけれど

    過去の自分とか
    理想とか
    誰かとか
    比べる対象は、だいたいそれくらいなのかな。

    比べるべきではない、と思いながらも、無視できなくて、息苦しくて
    ぜんぶ投げ出したいような気持ちになるけれど、消えてしまうわけでもなくて。

    溺れかけの日々の、ときどき水面に上がって息継ぎするみたいな
    その瞬間に、ささやかなことを幸福だと思えたら、それで
    いつもじゃなくても

    ああ、ささやかすぎてしまう
    過不足がありすぎてしまうような感じだけれど、まあいいや。

    明日はバスに乗って、花を買って

    そのあとのことは、またあとで考えよう。
    また溺れてしまうだろうけれど、たまにはまぬけな顔して笑ってね。





    ※今日のBGM。楽しみにしていたアルバム(別野加奈さん"death has light")


    ※別野加奈さんを友達にお勧めしてもらったときのはなし


    ※いつも行っている花屋のおねえさんのはなし




     
    今日も眠ってしまったあなたの味方|エッセイ、ピアノ、タロット占い|サンクチュアリ出版 第2期正直レビュアー|毎日更新されるので、フォローもリフォローも気兼ねなくどうぞ|執筆のご依頼受け付けています

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