メインコンテンツへスキップ
見出し画像

好きになった子が、Vtuberだった。

     2024年8月
     Cくんから飲みの誘いがあったから、一緒に来ないかと言われて町田に向かった。
     Cくんからの誘いはめずらしく、何かあったのかと身構えもしたのだけれど、特に用はなかったらしい。
     わたしたちはよく飲み、よく食べ、他愛ないことを話した。思い出だったり、未来だったり。
    「最近好きなもの」なのか、「最近好きな音楽」なのか、忘れてしまったけれどそんな話になって、「松永は最近、Vtuberにハマってんだよな」と声をかけられる。
    「いや、ハマってるっつーほどでも……」わたしにVtuberを布教してくれた友人と比べたら、わたしはまだまだ浅瀬というか、全然というか。

     でも、最近嬉しいことがあって。
    「推しの子がさあ、最近メジャーデビュー決まってさあ」
     CD絶対買うんだって言ったら、
    「えっ? 中の人ってこと?」
    「中の人っていうのはいません」
     ミッキーマウスと同じです。
     わたし以外の3人は、わたしよりももっと全然、Vtuberを普段から見たり聞いたりする習慣がないそうで、「なるほどねえ」とそれぞれ頷いていた。
     そして、誰かがつぶやいた。

    「Vtuberを好きって、どういうこと?」

     あの夜の問いに、いま、答えたい。

    「この曲聞いて」って言われた

     定期的に、オススメの曲を送ってくれる友人がいる。
     彼の趣味は広く、そこからわたしの趣味と”合う”ところを選んでくれるので、自分専用のジュークボックスというか。「わたしが好きそうな曲」を選んでくれる。
     それがVtuberとの出会い。星街すいせい「Andromeda」だった。

     もう好き。
     超好き。
     わたしたちが大学生のとき流行っていた……というと端的だけど、心臓を鷲掴みにした、懐かしくも震えるようなトキメキ。
     それから、星街すいせい(すいちゃん)の1stアルバムを聴き込むようになる。


    ランダム再生が教えてくれた

     当時契約していたSpotifyで音楽を聞いていたわけだけれど、近年はランダム再生ってのも好きで……
     むかしはさ、CDをアタマからケツまで順番に……それが、作り手の意図した物語である。なーんて思っていたのだけれど、いまは「いろんな物語や聞き方があってもいい」と思えるようになった。
     すいちゃんの曲をシャッフルで聞いて、気がついたら別の人になって、「あ、この人いいな」と思うと、いつも同じ名前。
     それがHACHIだった。

    ▼この曲が、耳に残った


    真夜中のYouTube

     わたしは用心深くHACHIの曲をひとつずつ紐解き、そして「やっぱり好きだ」と確信した。何が好きかと言われると難しいのだけれど、どれもこれも妙に心地よかった。
     なんとなく、自分が作りたかったような曲というか、むかしやっていた音楽に似ているというか、わたしが惚れ込んだボーカリストに声が似ているとか……もう諸説あるけれど、ここまでくれば「好き」のひとことに尽きる。

     決定的になったのが真夜中のYouTubeで、
     落ち込んでいるのかイライラしているのかもう判別がつかなかったあつ5月、わたしはベランダにレジャーシートを広げて、寝転がっていた。夜。それは、人生と生活からの、ささやかなボイコットだった。

     HACHIは、火曜日の深夜24時から、YouTubeで生配信をしている。
     生配信って、それまではよくわからなかったというか、録音との違いを対して気にしたことはなかったのだけれど、こんなにやさぐれている夜に、誰かがスマートフォンの向こうで笑って、歌っているという事実に、みょうにじんわりと救われてしまったのである。
     ほんとうに、みょうに、じんわり。これに尽きる。

     そして彼女こそ、「メジャーデビューする推し」である。

    ▼メジャーデビューアルバム!!


    恋の道のりは、声の供給

     HACHIに関して言えば、週に2回の生配信があったり、新曲も数ヶ月おきにリリースされるので、楽しみが多い。
     あれこれ括って語ることは美しくないというのは百も承知なのだけれど、ざっくりいえば、他の音楽分野と比べて、Vtuberは供給が多い……気がする(当社比)

     例えばメジャーのミュージシャンの活動を、「CDリリースを基盤に置いたライブ活動」と表現するならば
     Vtuberは、「インターネットでのリリースと生配信が基本。うまくいけばCD盤のリリースとライブに繋がる」といったイメージ。

     まったく個人的な感想で恐縮なのだけれど、Vtuberは好きになるハードルが低い気がする。
     生配信の回数も多いし、それって声を聞く回数が多いってこと。
     わたし、ここ数年でいくつかのオンラインサロンに入っていたんだけど、入会の理由を尋ねたら「Voicy(音声配信)を聞いたから」が、多かったんだよね。そしてわたしもそうだった……


    星街すいせい Live Tour 2024 "Spectra of Nova"

     実は先月、すいちゃんのライブに行ってきた。
     今まで、Vtuberのライブを配信で見ることはあっても、現地に行ったことがない……
     現地のライブに行ったことがなかったのは、今まで現地開催アリのライブが、すべて立ち見だったから。
     ギッチギチの会場で、1時間半〜2時間。立ちっぱなしで見るのは、どんなに好きな対象でもツライ……というのがわたしなので、椅子があるライブを虎視眈々と狙っていた。

    「Vtuberが好きって、どういうこと?」というシンプルな疑問と同じように
    「Vtuberのライブって、どういうこと?」という気持ちが、わたしにもあった。

     11月14日 さいたまスーパーアリーナ。
     星街すいせいは、いた。

     本当にいたのである。双眼鏡で何度も見た。すいちゃんだった。
     もちろん歌も生歌で、そこですいちゃんが歌っていた。
     感覚としては、東京ドームでレッチリを見たときに似ている……あのときも双眼鏡を覗き込んで、「あ、ホンモノいるわ」と思った。
     目も悪いし、席も遠ければ、本人を見るよりモニターを見たほうがよく見えるわけだけど、なんていうかそこにいる。ほんとにいる。いるんだなあ。っていう、あの感覚である。

    ▼ライブ当日のチラ見せ映像!! 32分くらいから3曲聞けます。
    この映像の、引きの感じがそのまんま、当日わたしが見ていた景色

     もっと大枠なエンタメとしてではなく、音楽できっちり勝負してきたところが、本当にカッコよかった。
     すいちゃんは、歌以外の活動もたくさんあるだろうに、最後まであんなに歌って踊って、まっすぐと声を届けていた姿は、もう尊敬しかない。

     新譜の発売も楽しみ。武道館応援してます。
    (新情報の下記PVが、ライブ最後に流れるという演出もスゴかった。この1分46秒で、星街すいせいに恋できる)


    HACHI Zepp Live Tour 2024 ”for ASTRA.”

     そして、12月14日。
     11月にメジャーデビューしたHACHIのライブ……だったのだけれど、開催地がZepp Shinjuku(オールスタンディング)の会場だったので、現地参加は断念。

     このあいだすいちゃんのライブに行ったとき思ったんだけど、「じっくり見たい」なら、絶対に配信のほうがいい。カメラワークもきれいだし。でも、「ここにいるよ」って実際に手を触れるのは現地だけ。でも、コメントでも応援できるから……結論、どちらにもすごーーーく良さがあると思う。配信だと、アーカイブ見直せる場合も多いしね。

     メジャーデビューアルバムとなった ”for ASTRA.”は、今までのHACHIの良さも残しながら、新天地に飛び立ったよう……なんていうと、安っぽい感想に聞こえるかもしれないけれど、本当にその通りで。
     新曲のみで構成された新譜と、インディーズ時代の曲を織り交ぜた今日のセットリスト、どんな感じかな〜と思って楽しみにしてた。

     アルバムの曲順が、ひとつの物語であるように
     ライブの曲順も、ひとつの物語。

     個人的には後半、「VESTIGIA」から、ぶわあっと開花したようで
     あ、この瞬間を待ってたンだ……て思った。

     HACHI自身が、あの瞬間を、嬉しいとか楽しいとか、思ってくれていたらいいな。

     Vtuberって、アイドル的な側面というか、「かわいくあること」も求められていると思う。歌よりも、曲よりも、音楽よりも、「HACHIでいること」というか。
    「VESTIGIA」の瞬間、HACHIは何よりも歌で、音楽で、戦うその輝きが増した気がして、わたしはそんなHACHIがすごく好きだなと思いました。
     HACHI自身が目指す歌が、そこにあれば嬉しいなと思っています。
     無敵の歌、伸びやかな声、切り取られた刹那、背筋が震えるような幸福が、歌のそばにあれば。
     誰かのための歌がずっと、あなた自身の輝きになりますように。

     それから、新譜の中で1番すきな「fragment」(すいちゃんの「Andromeda」に通ずる懐かしさ、古き良きバンド感がある)で爆発して

    「光の向こうへ」は、もう泣いちゃうよね。
     今のHACHIが、いちばんカッコいいって思ったよ。



    好きになった子が、Vtuberだった

     いいなと思える曲を歌っている子が、たまたまVtuberだった。
     好きなゲームを実況しているのが、たまたまVtuberだった。
     顔が好き、声が好き
     Vtuberだったから、好きになったわけじゃない。

    画像
    HACHI Zepp Live Tour 2024 ”for ASTRA.”より
    サムネイル画像も同様のライブから

     好きになった子が、Vtuberだった。
     今日はそれを、君に伝えたい。


     2024年12月15日 ねる


    ▼HACHIのCDを買いに行った話

    ▼アコースティックライブの感想文

    ▼アコースティックライブ、今でもYouTubeで全編見られる。アレンジも神がかっている最高のライブなので、ぜひ見て欲しい

    ▼最初の手紙(今日の内容とちょっと被ってる)

    ▼あなたにいただいた命で

    ▼その他、わたしの推し活




    この記事が参加している募集

     
     
    今日も眠ってしまったあなたの味方|エッセイ、ピアノ、タロット占い|サンクチュアリ出版 第2期正直レビュアー|毎日更新されるので、フォローもリフォローも気兼ねなくどうぞ|執筆のご依頼受け付けています

    あなたへのおすすめ