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【小説】「入力装置」最終話

    最終話「会議、再開だ。」

    第二ロット発売から数週間後。

    会議室。

    あの日と同じ机。

    あの日と同じ椅子。

    しかし。

    机の上に置かれた入力装置だけは違っていた。


    「売れましたね」

    Lenovoが静かに笑う。


    「売れたな」

    Logicoolも缶コーヒーを開ける。


    e元素が資料を閉じる。

    「予想以上だ」


    Raserも頷く。

    「レビューも安定しています」


    スペースキー問題。

    個体差問題。

    ガスケット問題。

    数々の課題は完全ではないものの改善された。


    そして何より。


    使っている人たちがいた。


    ゲームをする人。

    文章を書く人。

    プログラムを書く人。

    動画を編集する人。


    世界中の誰かが。

    今もこの入力装置を使っている。


    gravastarは机の上のキーボードを見つめていた。


    「長かったですね」


    誰に言うでもなく呟く。


    最初は東京ゲームショウだった。


    たった一つの発想。


    『もし各社が本気で協力したら?』


    そこから始まった。


    Logicoolが笑う。

    「お前、最初めちゃくちゃ悩んでたもんな」


    「覚えてますよ」

    Lenovoも笑う。


    IBMは静かにコーヒーを飲む。


    「ふむ」


    それだけだった。

    しかし。

    どこか満足そうだった。


    会議室に少しだけ静かな時間が流れる。


    誰も喋らない。


    開発は終わった。


    問題も解決した。


    商品も完成した。


    なら。

    もう終わりなのか。


    その時だった。


    Raserのパソコンが通知音を鳴らす。


    「ん?」


    全員が振り向く。


    Raserが画面を見る。


    数秒。


    そして。


    少し笑った。


    「面白いレビューを見つけました」


    モニターに表示される。


    『最高のキーボードです。』


    『でも、もし次があるなら。』


    『もっと面白いものを見てみたい。』


    会議室が静まり返る。


    Lenovoが笑う。


    「期待されてますね」


    e元素も笑う。


    「困ったな」


    Logicoolは缶コーヒーを置いた。


    「で」


    全員を見る。


    「次はどうする?」


    沈黙。


    数秒。


    IBMが口を開く。


    「ふむ」


    そして。


    「なるほど」


    職人は少しだけ笑った。


    gravastarも笑う。


    Lenovoもうなずく。


    Raserが新しいファイルを開く。


    e元素が資料を取り出す。


    Logicoolが立ち上がる。


    そして。


    gravastarが言った。


    「会議」


    少し間を置く。


    「再開だ」


    会議室のドアが閉まる。


    開発は終わらない。


    技術に終わりはない。


    入力装置の物語は。


    まだ続くかもしれない。


    【第一部 完】

    あとがき
    この物語がフィクションであることを、少しだけ残念に思う。
    なぜなら、この物語に登場した技術や挑戦の多くは、決して夢物語ではないからだ。
    僕はデバイスが好きだ。
    キーボードが好きだ。
    僕は、より良い製品を生み出そうと挑戦を続けるメーカーを応援している。
    もし、この作品がどこかのメーカーの人の目に留まったなら。
    もし、この物語に少しでも共感してもらえたなら。
    作者として、これ以上嬉しいことはない。


     
     

    掌

     
     
    「てのひら」と読みます。手の大きさが19センチの中一。 好きなもの:ボカロ、初音ミク、音ゲー、ガジェット。 学生視点からの言葉とか、気まぐれな伝えたいエッセイとかを作る。 ↓↓↓X始めたから見てくれ。

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