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桜の城の呪文孊教垫 第2ç« 

    第10話 神絵垫になれるよ

     竜生ず入れ替わりで花圱が垰り、理倮はお颚呂に入るこずにした。䜿い方がわからなかったら竜生に聞かなければ、ず思っおいたが、颚呂もトむレも珟代日本に近いようだ。もちろん、『お颚呂が沞きたした』のようなデゞタル機胜はなかったが、蛇口をひねるずお湯が出おきお、石の济槜でお湯に浞かるこずができた。
     甚意されおいた寝間着に着替えおお颚呂から出るず、竜生は机に向かっお本を読んでいた。本圓にたじめな孊生だ。3幎生なら、理倮の数歳幎䞋のはずだが、理倮ずは正反察の性栌だ。
     理倮が竜生を芋おいるず、竜生がちらっずこちらを芋た。䜕ずなく気たずくなっお、理倮は口を開いた。
    「  合宿みたいだね」
    「ガッシュク 合宿そうだな」
    竜生はうれしそうだ。ずはいえ、理倮は合宿に察しおいい蚘憶がない。友達ずのノリや同調圧力に぀いおいけなくお、毛垃をかぶっお早々ず寝おしたったり、保健宀に逃げおみたはいいものの、逊護教諭の圧も苊手で、結局トむレに逃げたり。
     しかし、竜生も合宿で悪ノリをするタむプではなさそうで、たた倧人しく本を読み始める。理倮も少し安心しお、自分のこずをするこずにした。
     空のペットボトルを掗っお、残っおいた菊花茶を入れる。それから゜ファの䞊で、䞀日䞭背負いっぱなしだったリュックを開けお、䞭身を確認する。私甚PC、PC充電噚、PCの予備バッテリヌ。タブレット。スマホのポヌタブル充電噚が2個、充電噚やケヌブル、むダホン。ノヌトずペン、名刺入れ。目薬、りェットティッシュ、以䞊。
     圹に立぀ものは䜕もなかった。理倮はがっくりず肩を萜ずす。たさか異䞖界に来おしたうず思わなかったし。ポヌタブル充電噚が2個入っおいたから、ただよかったかもしれない。節玄すれば、しばらくはスマホを䜿えるだろう。
    そうだ、倜のログむンボヌナスをもらわないず  
    理倮はポケットからスマホを出しお、ゲヌム『文孞乙女』を起動する。
    『めぐりあいお  』
    「うわあ」
    急に竜生が倧きな声をあげた。
    「えっ あっ ごめん、むダホンをしないず  」
    「いた女の声がしただろう」
    竜生は立ち䞊がり、険しい顔で呚囲を芋回す。
    「ああ、これが昌間蚀っおたゲヌムだよ」
    理倮が画面を芋せながら、簡単に説明するず、竜生は玍埗したようだ。
    「敵襲かず思ったのだ。この倧陞で、呪文が矎しく詠唱されれば必ず䜕かの魔法が発動する」
    竜生は゜ファに座り、スマホを芳察する。
    「もちろん、この䞖界にこのようなゲヌムはない。本で孊んだよりも、日本は科孊技術が発展しおいるようだ」
    「そうなんだよ。あず、この子。僕の掚しだけど、倩蓮孊長にそっくりじゃない」
    「たしかに䌌おいる」
    竜生は䞍思議そうに画面を芋぀める。
    「昌間蚀っおた、額田王も芋せおあげる」
    理倮は少女䞀芧を開いおスクロヌルしお、ふず指を止めた。銀髪に金色の瞳の、宮沢賢治が目に留たる。
     理倮は顔を䞊げお竜生を芋た。男の顔なんおたじたじず芋ないので、気づかなかったが、竜生の瞳も金色だ。
    「君っお、宮沢賢治に䌌おるね」
    理倮が画面を芋せるず、竜生はちょっず気たずそうな顔をした。
    「たしかに髪ず瞳は同じだが、僕はこんなにナペナペした少女ではない」
    「それはそうだけど。すべおに意味があるような気もしおきちゃうよ。こんな䞍思議なこずが起こったら」
    理倮はゲヌムを閉じお、スマホの電源を切った。
    「ゲヌムが奜きなのだろう もうやめるのか」
    「もうデむリヌミッションはやったし。充電がなくなるずいけないから。あ、充電ずいうのは、この機械を動かす燃料のようなものだよ」
    理倮はUSBケヌブルず充電噚のプラグを芋せる。
    「こういうの、この䞖界にはないよね」
    「そうだな  僕は知らない」
    「やっぱそうだよね」
    理倮はごろんず゜ファの䞊に寝転んで、顔を芆った。
    「これからどうなるんだろう  」
    竜生は䞀床゜ファから立ち䞊がるず、筆蚘本ず筆を持っおきお、䜕か曞き物をしながら理倮に返事をした。
    「元の䞖界に垰りたいのか」
    「  わからない。元の䞖界でもろくな人生じゃなかったし。ただ、生きおいけるのか䞍安。あず、文孞乙女たちは生き甲斐だから、䌚えなくなったら悲しい。たしかにゲヌムはサ終するものだけど、こんなに突然別れが来るなんお  」
    「諊めるな。改めお考えおみたが、手掛かりが2぀ある。1぀目は、明埌日の倧陞䌚議にもいらっしゃる、星安の蚱泉教授だ。日本の科孊技術にも、魔導工孊にも詳しい」
    暗闇の䞭で、少し光が芋えたような。
    「2぀目は、貎様の珟れた森だ。あのあたりは、奇劙なものがたくさん萜ちおいる。それが旧䞖界の遺物なのか、日本から流れ着いたものなのか、わからないが」
    「ああ  その䞭に充電噚ずか、発電機があるかな。そういえば、䞊着を森に眮いおきちゃったんだよね」
    「しかし、貎様も今はかなり疲劎が溜たっおいるはずだ。だからたずは明埌日、蚱泉教授ず話す。そのうち生掻が萜ち着いたら、たたあの森に行くずいいだろう」
    「わかった」
    理倮は勢いよく起き䞊がった。
    「ちょうどよかった。これを芋おくれ」
    竜生が筆蚘本を芋せおくる。
    「ええっ」
    日本語の緎習の䞋に、可愛らしい玫匏郚のむラストが描かれおいた。
    「君が描いたの」
    「芋よう芋たねだが」
    「いや、神絵垫になれるよ」
    筆で描いおいるのに、睫毛や现かい髪の毛のりェヌブたで、䞁寧に描き蟌たれおいる。
    「本圓に、倧したものではない。孊院の勉匷の䞀環で、図を曞いたり暡写をしたりするこずもあるからな。暡写は埗意だが、独創性のある絵は描けないのだ」
    「十分すごいっお。僕にはできない。それも才胜だよ」
    理倮が興奮しお耒めるず、竜生は少し嬉しそうだった。
    「気に入ったならもらっおくれ。充電が芋぀かるたで、あのゲヌムができないのだろう。明日以降、暇ができたらもっず描いおみる」
    竜生は垳面のむラストを綺麗に切り取っお、理倮にくれたのだった。

    第11話 季節倖れの桜

     倜、ベッドに入った理倮は、なかなか眠れなかった。䜓はずおも疲れおいるのに、頭がやたら冎えおいた。突然異䞖界にやっおきお、たくさんの距離を歩いお、魔法があっお、教垫になれず蚀われお  でも、教垫になんおなれるんだろうか。でも理倮には他にできる仕事もない。
     竜生は隣の郚屋で寝おいる。䜕かあれば呌んでいいず蚀われたが、倜眠れないだけで呌び出すのは申し蚳ないし、恥ずかしい。
     理倮は心现い気持ちを抱えたたた、窓の倖の星空を芋おいた。時折、ふくろうの鳎き声や、虫の鳎き声が聞こえおくる。い぀もなら、スマホでゲヌムをしたり、動画を芋たりできるのに。圓たり前だず思っおいた、電気を䜿えるありがたさ。
     理倮は立ち䞊がっお、ペットボトルに入れおおいたお茶をひず口飲んだ。その時、遠くのほうから、「クヌン、クヌン」ず獣の鳎き声が聞こえおきた。その鳎き声がずりわけ物悲しくお、誰かを呌んでいるようだ。理倮は窓に近づいお、目を凝らしおみたが、䜕も芋えなかった。
     理倮は諊めお、ベッドに戻った。竜生にもらった玫匏郚ちゃんのむラストを芋぀める。玫匏郚ちゃんも優しく芋぀め返しおくれる。筆で曞いたモノクロむラストでも、その茝きを感じるようだ。きっず乗り越えられるはずだ、ず自分に蚀い聞かせお、目を閉じた――。

     理倮が浅い眠りから目が芚めるず、窓の倖は明るくなっおきおいた。間もなく日が昇るようで、空の片偎はオレンゞに色づき、雲は薄玫に染たっおいた。遠くのほうから声が聞こえたので、理倮は起き䞊がっお倖に出る。
     屋䞊に出るず、竜生が本の音読をしおいた。
    「はるはあけ ほのようよう 癜く光る山ぎ は 少し明かり お」
    理倮は思わず口ずさむ。
    「春はあけがの」
    竜生はちらっずこちらを芋おから、真䌌しお蚀った。
    「春はあけがの」
    「ようよう癜くなりゆく山際 玫だちたる雲の现くたなびきたる」
    「ようよう癜くなりゆく山際 玫だちたる雲の现くたなびきたる」
    竜生が流暢に読み終えるず、薄玫の雲が少し光った気がした。颚が起ち、やがおふわりふわりず舞い萜ちおきたのは、桜の花びら。
     ふず芋䞋ろすず、建物の前の道に沿っお怍えられた朚の枝に、薄玅色の蕟が぀いお、ほころび、ふわっず花が開いた。桜。そんな季節でもないのに。この䞖界はどうやら倏であるらしいし、理倮のいた日本は冬だったのだ。
     花は次々ず咲いお、孊院䞭ぞ広がっおいく。昚日の倜は気づかなかったが、こんなに桜の朚が倚かったずは。桜の森に点圚する矎しい建築矀。その向こうに広がる湖。湖の向こうの島々にも桜の花が芋えた。
     朝日が昇る。茝く金色の光に照らされ、桜の花に抱かれた叀い孊院が目芚め始める。
    「すごいね これも魔法」
    理倮は竜生を芋る。するず、意倖なこずに、竜生はずおも嬉しそうに桜景色を芋おいた。竜生の瞳はきらきらしおいお、たるで朝日のようだ。
    「初めおうたくできた。魔法を䜿うには、呪文を正しく発音しなければならない。この呪文は難しくお、ずっず緎習しおいたんだ」
    「そうか。おめでずう」
    理倮が蚀うず、竜生はちょっず芖線をそらしお、小さな声で蚀った。
    「先生、ありがずう」
    そしお、䞀目散に走っお行っおしたった。
    「恥ずかしがり屋だなあ」
    宿舎にいた孊生たちが起きお窓を開け、桜の花に驚いおいる。その颚景を眺めながら理倮は、教垫の仕事を頑匵っおいけるような気がした。

     
     
    小説を曞いおいたす。

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