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発信テーマの設計図:「続く人の型」をコピーする

シーズン6 第5話

「何を書けばいいかわからない」という人に、必ず問いたいことが1つある。

「最近、誰かに何かを教えましたか?」

すると、たいてい答えが出てくる。後輩に仕事の段取りを教えた。友人に旅行先を聞かれてお勧めした。子どもに料理の手順を説明した。家族に節税の仕組みを話した。それが、発信のテーマだ。

「何を発信すればいいかわからない」のではない。自分が日常でやっていることを「発信できるテーマ」として認識していないだけだ。

このシーズン6 EP05では、散漫な「何でも書こう」から抜け出し、続く人が必ず持っている「テーマの型」を手に入れる。



発信が止まる本当の理由

「ネタが尽きる」「一貫性がない」「何を書いてもしっくりこない」、、、こういう状態は、多くの場合テーマの問題ではなく、テーマの選び方の問題だ。

止まる理由には、構造的なパターンがある。

①「興味があること」を基準にする
興味には波がある。今週は筋トレに興味があっても、来週はマーケティングかもしれない。興味ベースで選んだテーマは、興味が薄れた瞬間に書けなくなる。しかもバラバラな内容を読んだ読者は、次に何が来るかわからず、フォローする理由が見つからない。

②「得意なこと」だけを基準にする
得意なことを書くのはいい。だが、それが「誰かが知りたいこと」と交差していないと、発信は独り言になる。独り言に反応はない。反応がないと、書く意味を見失って止まる。

③「完璧なテーマ」を探し続ける
「もっといいテーマがあるはず」と調べ続けた結果、一本も書かないまま時間が過ぎる。分析麻痺の発信版だ。テーマは書きながら育つのに、書き始める前に完成させようとするから永遠に始まらない。

どれも意志や才能の問題ではない。「何を、どう選ぶか」という設計が欠けているだけだ。設計さえあれば、テーマは自分の中からちゃんと出てくる。


続く人が持っている「3つの交点」

長く発信を続けている人のテーマを観察すると、例外なく3つの要素が重なっている。「得意なこと」、「好きなこと」、そして「需要があること」。この3つの交点だ。

3つの円が重なる中心が、「続けられて、役立つことができて、求められる」発信テーマだ。
どれか1つや2つでは、どこかに無理が来る。



この3つがなぜ必要なのか、一つずつ確認する。

得意なことだけで選ぶと、書くことに体力はいらないが、読者の需要と合わなければ届かない。好きなことだけで選ぶと、熱量はあるが、波があるため長続きしない上に読者が置きざりになってしまうことがある。需要だけで選ぶと、戦略的ではあるが、自分が興味を持てないテーマは書くほどに苦しくなり、読者には「義務感で書いている」空気が伝わる。

3つの交点にあるテーマだけが、エネルギーを補充しながら続けられる。それが「続く人の型」だ。

発信を続ける人は、熱量が高いのではない。
消耗しないテーマを選んでいる。


シーズン1の「6→3→1」決断術を発信テーマ選定に使う

「3つの交点」を理解したところで、実際にテーマを選ぶプロセスに入る。ここで使うのが、シーズン1 EP07で登場した「6→3→1決断術」だ。

シーズン1では、選択肢が多すぎるときに起きる「分析麻痺」を、6→3→1の段階的絞り込みで止める方法を学んだ。あの手法は、発信テーマの選定にそのまま使える。

「6つ候補を出す→3つに絞る→1つを選ぶ」という順番で動くことで、「完璧なテーマを一発で決めなければ」というプレッシャーから解放される。そしてシーズン2で学んだ「共通言語が整うと伝わり方が変わる」という知見は、テーマを一貫させることで読者との共通言語が育つという発信の文脈でも同じように機能する。

6つのテーマ候補:「得意×好き×需要」で思いつく限り書き出す
ベン図の3つの円を埋める問いに答えながら、候補テーマを6つ出す。この時点では選ばない。良し悪しを判断しない。ただ出す。

3つに絞る:「1年後も書き続けられるか?」で3つに絞る
「今の気分で書けそう」ではなく、「1年後の疲弊した自分でも書けるか」を基準に3つを選ぶ。エネルギーコストが低いものが残る。

1つに決める:「3つの交点に最も近いもの」を1つ選ぶ
3つを得意・好き・需要の3軸で点数化(5点満点×3軸)し、合計点が最も高いものを「仮のテーマ」として90日間試す。完璧でなくていい。

「仮のテーマ」という言葉が重要だ。テーマは書き始めてから育つものであり、最初から完璧である必要はない。90日間書き続けた後にテーマを微調整することは、むしろ当然のプロセスだ。書く前にテーマを完成させようとすることが、一本も書けない理由になっている。


「続く人の型」──4つのテーマ構造

長期間発信を続けている人のテーマを解剖すると、4つの構造に分類できる。どれが自分に合うかを確認することで、「得意×好き×需要」の交点を見つけやすくなる。

①専門知識型

「自分が10年やってきた領域の知識を、初心者向けに解説する」パターン。需要と得意が強く交わる。

例:「法人設立した個人事業主が知っておきたい税務の話」「育休中に転職した私のリアルな記録」

② 実況中継型

「自分が今やっていることの過程を、同じ立場の人に向けて届ける」パターン。経験がなくても始められる。

例:「副業ゼロから月5万を目指す記録」「英語ゼロから海外転職を狙う90日」

③ 失敗・挫折型

「自分が経験した失敗と、そこから学んだことを正直に書く」パターン。信頼が最も早く積まれる。

例:「3回転職して気づいた会社選びの本質」「うつになって戻ってくるまでに変えたこと」

④ 翻訳・解説型

「難しい情報を、特定の読者にわかりやすく翻訳する」パターン。得意が「わかりやすく説明すること」の人向け。

例:「ビジネス書の内容を、現場のリーダーが使えるように噛み砕く」

この4つは排他的ではない。「副業ゼロからの実況中継(②)×失敗記録(③)」のように組み合わさることも多い。自分のテーマが複数の型に当てはまっていても、問題ない。大切なのは「どの型で入るか」を先に決めることだ。


「散漫」から「焦点」へ・・・テーマを絞ることへの抵抗感を解く

「テーマを一つに絞ると、書けることが減るんじゃないか」という不安を持つ人がいる。その感覚は理解できる。でも、実際は逆だ。

テーマが散漫な発信
月曜:筋トレの記録
水曜:おすすめの本紹介
金曜:仕事のグチ
日曜:旅行の写真

これでは、誰に届いているかわからない。読者はフォローする理由を見つけられない。書く側も「次は何を書こう」と毎回迷う。

テーマが一貫した発信
テーマ:「兼務リーダーの時短仕事術」

このようにテーマを一貫させると、筋トレの記録も「忙しい人の朝活」に。ビジネス書の紹介も「リーダーに読ませたい1冊」に。旅行も「家族を連れていける週末出張の工夫」に変わる。

テーマがあると、日常のあらゆる出来事が素材になる。

テーマとは、書けることを減らすフィルターではない。日常をコンテンツに変換するレンズだ。レンズがあれば、どこを向いても素材が見える。


テーマ選定SOP・・・迷いをゼロにする手順書

「得意×好き×需要」の3軸と「6→3→1」の絞り込みを組み合わせた、テーマ選定の手順書を整理する。


発信テーマ選定SOP

所要時間:30〜60分

①3つの問いに答える(各5分)
「得意なこと:人から頼まれること・自然にやっていること」「好きなこと:時間を忘れること・楽しいこと」「需要があること:よく聞かれること・困っている人が多いと感じること」——それぞれに対してリストを作る。

→ シーズン6 EP03の「取扱説明書」がある人はそれを参照すると速い。

②3つのリストが重なる候補を6つ書き出す
3つのリストを見比べながら、2つ以上の円に入っている候補をピックアップする。入ったばかりのアイデアは評価しない。まず6つ並べる。

→ 「完璧な候補」は要らない。「なんとなくありそう」で十分。

③「1年後の自分テスト」で3つに絞る
6つそれぞれに「1年後も疲れずに書き続けられるか?」と問いかける。Yes寄りのものを3つ残す。

→ 「今の気分」ではなく「疲弊した平日の夜でも書けるか」で判断する。

④3軸で点数化して1つを選ぶ
3つの候補を「得意度(5点)・好き度(5点)・需要度(5点)」で採点し、合計点が最も高いものを選ぶ。

→ 同点の場合は「自分がより楽しく書けそうなもの」を選ぶ。継続は楽しさが最優先。

⑤「仮テーマ」として90日間試す
選んだテーマは「90日間の仮テーマ」と位置づける。90日後に「このテーマで続けるか、隣接テーマに移るか」を見直す権利を自分に与えておく。

→ 「テーマを決めたら一生それで行く」ではない。仮決めが継続を可能にする。


テーマ候補の評価表・・・実際に使えるフォーマット

採点をイメージしやすくするために、記入例を示す。実際に自分の候補テーマを3つ入れて使ってみてほしい。

テーマ候補:兼務リーダーの時短仕事術
得意度 /5:5
好き度 /5:4
需要度 /5:5
合計:14
1年後テスト:◎

テーマ候補:副業ゼロからの収益化記録 →【選択することに決定】
得意度 /5:3
好き度 /5:5
需要度 /5:5
合計:13
1年後テスト:◎

テーマ候補:読んだビジネス書の解説
得意度 /5:4
好き度 /5:3
需要度 /5:3
合計:10
1年後テスト:△


この例では合計点は「兼務リーダーの時短仕事術(14点)」が最高だが、「副業ゼロからの収益化記録(13点)」を選択している。理由は「好き度が5点=もっとも楽しく書き続けられる」と判断したからだ。合計点は参考値であり、最終的な判断には「好き度」を最重視してよい。楽しさなくして継続はない。

「開運シェルパ」がこうして発信を続けられているのも、このテーマが「得意(開運×心理学×実践の統合)× 好き(人の人生が変わる瞬間が好き)× 需要(自己啓発への渇望は根強い)」の交点にあるからだ。義務感では、絶対に続くことはないと確信している。

今日の一手

30秒〜5分

「得意×好き×需要」のベン図を埋め、テーマ候補を3つ出して1つ選ぶ
完璧を求めない。今日の目的は「仮テーマを1つ決めること」だ。90日後に変えていい。まず動く。

  1. 紙を一枚出して3列書く:「得意なこと」「好きなこと」「よく聞かれること(需要)」。各列に3〜5個ずつ書く

  2. 2つ以上の列に登場するキーワード・テーマを○で囲む。それがベン図の交点候補だ

  3. 交点候補の中からテーマを3つ書き出す(迷ったら「最近誰かに教えたこと」を思い出す)

  4. 3つを「得意度・好き度・需要度」で5点満点採点し、合計点を出す

  5. 最も合計が高いもの(同点の場合は好き度優先)を「90日間の仮テーマ」に決め、メモする


NEXT →シーズン6 EP06 伝わる文章の構造:「読者の脳内体験」を設計する 
決めたテーマを、次のEP06(文章の構造)の実践で使う。テーマが決まれば、読者の設定も自然に見えてくる。

意思決定ゼロで書き始める仕組みを設計した回。

書いたのに読まれない、が終わる。読者が「自分ごと化」するまでの文章設計術。


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