
日系ハーフ三世・赤ちゃんをすり替えろ!(第十話)最終話
~チャラッ、チャラッ、ニッケイハ~~フ!♪
エレベーターのドアが開くと中から見慣れた顔が現れたよ。
そう、カピバラのおっさんだ。
「オルガー!!ここであったが100年目。今日こそはタイホしてやるぞ」
「おっさ~ん、なんでこんなとこまで来るんだよう」
「お前をタイホするためなら、たとえ宇宙にでも追いかけてゆくぞー!」
いくら国際万引きGメンだからって、おいらばかり追いかけなくてもいいじゃないか。
「あのー、失礼ですがあなたは?」
警備員もおっさんのことは知らないらしい。
「私は『IMPO』からやってきました、国際万引きGメンの雛形警部です。訳あってこの男をずっと追っていたのです」
おっさんはそういってトレンチコートから手帳を出して見せる。
ついでにカピバラの帽子も取って会釈したんだけど、おっさんの頭頂部には髪の毛がなかったんだ。おいらおかしくて思わず笑っちまったぁ。
「おっさ~ん。ハゲてたのかよ!!」
「うるせー、オルガァ!タイホだあーー!」
おっさんは手錠を出してきたから、おいら慌てて腹の中のトイレットペーパーを出して投げつけたんだ。
「痛っ!」
ちょっとひるんだ隙に、おいらはダッシュを決めて逃げたってわけ。
追いかけてくるおっさんに、またトイレットペーパーを投げつけたら、見事に踏んづけて転んじまった。
「オルガァ・・・、待てぇーー!」
誰が待ってやるもんか。逃げることに関しては、おいら誰にも負けないのさ。
駐車場まで走って逃げると、峰子ちゃんは車のエンジンをかけて待っていたくれたんだ。
相変わらず準備がいいよね、峰子ちゃんは。
「オルガ、早く乗りなさい!」
おいらが助手席に飛び乗ると、ボルボ13はタイヤを鳴らして急発進したよ。
やっとのことでデパートから出てきたカピバラのおっさんがだんだん小さくなってゆく・・・。
「オルガ、あんた濡れてるんじゃないの?」
峰子ちゃんが急ハンドルで駐車場から道路へ出る。またタイヤが悲鳴を上げる。
「いやあ、トイレで転んじゃってさあ・・・」
「オルガ、また雛形警部に追いかけられたみたいね」
「そうなんだよ、いったいどこでおいらたちの情報を嗅ぎつけてんだろう?」
「嗅ぎつけるといえば・・・、あんたちょっと臭くねぇ??」
さすが峰子ちゃんだ。野生動物並みの嗅覚で、トイレからあふれ出して付着したものを察知したみたい。
「峰子ちゃん、無事に指令達成したから約束のポイントカードちょうだいよ」
「わかったわオルガ、今日はよくやったわね。はい」
峰子ちゃんは胸の谷間からピンクのカードを抜き出しておいらに渡してくれたんだ。
すぐに中を開いて見ると、たくさんあるマス目の一つに唇マークのハンコが押されてる。今日まで生きててよかったあ。
「峰子ちゃんありがとう。おいらうれしくてうれしくて・・・」
あまりの感動に涙が出そうだったよ。ホントだぜ!
おいらわからないように、そっとカードの匂いを嗅いだんだ。だってこれ、峰子ちゃんのオッパイに挟まってたんだぜ!
でも、トイレの匂いがきつすぎてよくわかんないよ。
「トイレットペーパーはその袋に入れといてね」
おいらの足元にはデパートの紙袋が置いてある。中にはもうすでにジネンと三衛門が手に入れたものが入ってるぞ。
「ちゃんと数えながら入れるのよ、オルガ」
「はい、1、2、3、・・・」
「どうしたの、オルガ。9個持ってくるはずだったわよね」
「4、5、6・・・」
ボルボ13が急ブレーキをかけて停まった。
「うそばっかつくんじゃねーよ!3つしかなかっただろうがっ!」
峰子ちゃんは前を向いてても、おいらの行動はお見通しなのさ。
「ごめんよ、途中でおっさんから逃げるために使っち・」
ビシィッバシィッ、ぼがぁーーーん!!
おいら、いつものように車から蹴りだされたちまったぁ。
でも、カツラを忘れたのがばれなくてよかったよ。ホッと一安心てわけ。
ぐうで殴られた鼻からは血が垂れてきたけど、そこには峰子ちゃんの愛情をたっぷり感じられるんだ。
峰子ちゅわぁーーん、しょっぱいよう!
赤ちゃんをすり替えろ!(完)