金木犀|香りの向こう、祖母との思い出
秋になると、
どこからともなく漂ってくる金木犀の香り。
「あ、今年も咲いたんだ」
姿を見つけるより先に、香りで気づくこともありますよね。
甘くて、少し懐かしくて。
ほんの一瞬すれ違っただけなのに、
なぜか立ち止まりたくなる香りです。
揺らぐ日も、花の言葉で心を整え、
自分のペースで咲けるように。
そんな願いを束ねた名前が
『ゆらぎ花』です。
今日のゆらぎ花は金木犀。
ちょっぴりせつなくて
どこかあたたかい『記憶』のお話です🍂

姿より先に、香りが届く。
金木犀の香りを感じると、
私は時々、昔のことを思い出します。
香りって、不思議ですよね。
写真を見たわけでもないのに、
忘れていた景色や、
その時の気持ちまでふっと戻ってくることがあります。
香りと記憶には深いつながりがあるそうです。
嗅覚は、
記憶や感情に関わる脳の部分と近く、
香りをきっかけに昔の記憶がよみがえることがあります。
だから、
「この香りを嗅ぐと、あの頃を思い出す」
そんな経験があるのも、自然なことなのですね。

いつか大切な記憶になる。
私にとって、
そんなふうに心の奥に残っている人のひとりが、祖母です。
おばあちゃん、大好きだったなぁ。
いつもやさしくて。
母に叱られた時も、
おばあちゃんはいつでも私の味方でいてくれました。
何か特別なことをしてもらったというより、
「ここに来れば大丈夫」
そんな安心感があったのだと思います。
子どもの頃って、
大人に言われた言葉を全部覚えているわけではありません。
でも、
やさしくしてもらったこと。
守ってもらったこと。
自分の味方でいてくれたこと。
その時に感じた気持ちは、
大人になっても不思議なくらい残っているものですね。

思い出は今も心の中で咲いている。
今になって思うと、
おばあちゃんからもらったものは、
目に見えるものより、
そういう「安心」だったのかもしれません。
そして歳を重ねるほど、
そのありがたさがわかるようになりました。
あの頃の私は、
おばあちゃんがいつもそこにいてくれることを、
きっと当たり前だと思っていたのでしょうね。
もっと話しておけばよかった。
もっと「大好き」と伝えておけばよかった。
そんなことを思う時もあります。
でも、金木犀のように、
ふっとした瞬間に思い出せるということは、
今もちゃんと、
私の中におばあちゃんがいるということなのかなと思います。

人からもらったやさしさって、
その時は気づかなくても、
何年も何十年も経ってから心をあたためてくれることがあります。
私も、
おばあちゃんにもらったやさしさを、
今度は誰かに渡していけたらいいな…。
大きなことじゃなくていい。
誰かが少し疲れている時に寄り添ったり、
「大丈夫ですよ」と声をかけたり。
そんな小さなやさしさでいいのだと思います。
今年も金木犀の香りがしたら、
きっと私はまた、
おばあちゃんを思い出します。
甘くてやさしい香りの向こうにいる、
大好きだった人を。

あの頃もきっとこの香りがしていた。
甘くやさしい香りにのせて、心に残る想いを。
あなたにも、
香りを感じると思い出す人はいますか?🌼
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