公開するつもりもなく、なんとなく触っていた
何か新しい趣味が欲しいと探していたとき、
ふと、「アプリを作ってみたい」と思ったことがありました。
でもその時手元にあったのは、iPhoneだけでした。
アプリ開発といえばMac、というイメージがあったので、
少し迷いながら、「iPhoneだけでアプリ開発はできるのか」と調べ始めました。
最初に見つけたのは、
Pythonが動くアプリ「Pythonista 3」でした。
コードを書いて、その場で動かせる。
最初は家計簿アプリや、MIDIを自動生成するアプリ、天気予報アプリのようなものを作っていました。

それだけで少し楽しくて触っていましたが、
画面の中で何かを動かすというよりは、
小さな仕組みを一つずつ作っているような感覚でした。
思っていたものとは少し違う気もしましたが、
やめるほどでもなく、なんとなく続けていました。
何かを目指していたというより、ただ動くだけで満足していました。
その流れの中で、もっと出来ることはないかと探していたところ、
「Codea」というアプリに辿り着きました。
Codea (https://codea.io/) は、
iPhoneやiPad上でLua言語を使ってアプリやゲームを作れる開発環境です。
コードを書いて、そのまま画面の中のものを動かすことができます。
最初はよく分からないまま触っていましたが、
サンプルも豊富にあり、「これなら遊べそうだ」と感じました。

完璧に理解できていなくても、
画面の中のものを直接触って、動きを確かめられる。
その距離の近さが、なんとなく合っていました。
仕事が終わって、ソファーに沈み込みながら、
iPhoneの画面の中のアプリを色々と動かしてみる。
それをぼんやり眺めている時間は、開発というよりも、
味見をしながら、少しずつ味を調整するような感覚にも近い気がします。
そうやって夜な夜な触っているうちに、気がつくと、手元にはいくつものアプリが残っていました。

スチームパンク風の時計。
コーヒーが落ちるのを待つだけのタイマー。
どれも、誰かに使ってもらうためのものではなく、
ただ自分が触るために作ったものでした。
振り返ってみると、
「ちゃんと作ろう」と思った瞬間に、
手が止まったことが何度かありました。
私の場合は、そこから少し距離を取り、
ただ「自分が触りたいもの」を作っていました。
役に立つかより、触っていて気持ちいいか。
機能が多いかより、動きがしっくりくるか。
とりあえず動いていることが楽しい。
それぐらいの気楽さで、何となく続いていました。
おそらく、今考えると遠回りだったと思います。
でも、その遠回りの中でしか、見えなかったものもあった気がします。
今でもときどき思います。
もう少し最初から公開することを前提に考えていたら、
もっと違うものが作れていたのかもしれないと。
でも結局また、
iPhoneの中で、自分のためのアプリを作っています。
