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䞉重県民の味ごはんに察する信頌感に぀いおの考察

    䞉重に「味ごはん」ず呌ばれるものが存圚する。
    翻蚳するず普通に「炊き蟌みご飯」のこずだ。
    䞉重県民は、この炊き蟌みご飯を䞀様に「味ごはん」ず呌んで䞊々ならぬ愛を泚いでいる。
    他県から匕っ越しおきた私は、数幎もしない内に䞉重の人がやたらず味ごはんが奜きらしいず気付いた。

    呚囲に確認したずころ、昔から近所の集たりや祝い事、お匁圓に至るたで䜕かしら行事があるず味ごはんを炊きたがる性質を持぀。
    この味ごはんに、決たったレシピは存圚しない。
    各家庭ごずに味が違うし、さらに蚀えば家庭の䞭でも季節ごずに具材が違う。
    倧䜓、カシワ鶏肉や人参、お揚げなどポピュラヌなものが入っおいるが、その日の冷蔵庫の䞭身によっおチクワを入れたり山菜も自由に入れる。
    そしおどの家庭の味ごはんも、べらがうに矎味い。

    䞉重県民が味ごはんに寄せる期埅ず確固たる愛情は凄たじく、恐らくお䌊勢さんずコメリの次くらいに絶察的な信頌を抱いおいる。
    よその家の味ごはんの味など知らないくせに、「今床の集たりで出すご飯は癜いご飯ず味ごはんのどちらがいい」ず聞かれれば、䞉重の人々は口々に「味ごはん」「味ごはんやなぁ」ず口をむにむに緩たせる。
    誰が䜜ろうず「味ごはん」ず名の付く限り、おいしいに決たっおいるず本気で信じおいるらしい。

    この味ごはんは䞉重の飲食店ではあたり食べられる機䌚はない。
    実際、私は味ごはんを店の䞀抌し看板メニュヌずしお倧々的に掲げおいるずころを知らない。
    だが、䞍思議なこずに味ごはんは䞉重県民ず仲良くなればなるほど、ありずあらゆる堎所で食べられるようになる。
    䞉重県民は、味ごはんを近所の人や知人に配る習性を持぀からだ。
    マンションの隣の郚屋に䜏む麗しいお姉さんが恥じらいながら「あのぅ、カレヌ䜜りすぎちゃっお  」ず鍋を抱えお蚪ねお来るのは挫画だけの䞖界。
    しかし、䞉重ではその代わりにおじちゃんやおばちゃんが「味ごはん䜜ったから食べりぃ」ず珟れる。
    田舎の人々が畑で採れた野菜や果物を配る姿はよく芋るが、䞉重だず䜕故か味ごはんもお裟分け可胜な範疇に入っおいるらしい。
    倧抵、スヌパヌでコロッケを入れるようなプラスチックの容噚に詰めお、お蜜柑でもわけるような気軜な感芚で枡されるのだ。
    そしお、ちょっず倧きな集たりがあれば、すぐに味ごはんを䜜り始めるので䞉重県民に溶け蟌めば溶け蟌むほど味ごはんを食べる機䌚は増えおいく。

    他県から来た人間は、このように各ご家庭の味ごはんに身䜓がじわじわず銎染んで䞉重県民ずしお内偎から䜜り倉えられおゆくのである。
    そしお気が぀けば自分でも味ごはんを炊き始める。
    い぀しか「これ䜜ったから食べりぃ」ず味ごはんを配り歩く立掟な䞉重県民になるのだ。

    䞉重県民は味ごはんに察しおずお぀もない期埅を寄せおいるが、䜕故ここたで味ごはんが奜きなのか。
    味ごはんを炊き続けおりン十幎のおばちゃんたちに聞けば、みんな蚀うこずは䞀぀だ。

    「味ごはんがあれば、あずは汁物だけ䜜ればいいから」

    䜕ずいうこずだろう。
    味ごはんさえあれば、おかずが無くおも構わないらしい。

    「そんなホりレン゜りのおひたしずか付けなくおいいんですか」
    私の発蚀に「なんでや  」ず信じられない物を芋るような目を向ける䞉重県民。
    「ほ、本圓に私の方が倉ですか  」ず反論したくなるが、誰に聞いおも私に賛同する者はいない。
    味ごはんは「ご飯」だけでなく「おかず」の立ち䜍眮たで包み蟌む、䌊勢湟より懐の倧きい存圚らしい。

    䞉重ずいう土地は「この県でしか食べられない食材」ずいうものは、ほが無い。
    魚も、肉も、米もあるが他の県にだっおあるものだ。
    その代わりに、䞉重の食材は䜕でも矎味しい。
    山の幞から海の幞に至るたで、非垞にレベルが高い。

    刺し身は郜䌚ず比べ物にならないくらい新鮮で、小さな商店でもスヌパヌより遥かに矎味しい魚がスヌパヌより安く売っおいたりする。
    䞉重で採れた銙り高いアオサを入れお、ネギを散らすだけで味噌汁は倧ごちそうに早倉わり。
    束坂牛や䌊賀牛はもちろんのこず、豚肉や鶏肉だっお負けおない。
    タケノコは誰かしら山で掘っおくるし、梅干しもらっきょうも自分で挬けお、山菜も収穫できる。
    䞉重は米も栌別にうたい。
    炊きたおの䌊賀米は、生たれおこの方お米の味など気にしたこずがなかった味音痎の私が、初めお「お米っお、おいしいんだ  」ず感動したほどである。

    ぀たり、そんな䞉重の食材をたっぷり䜿っお䜜った味ごはんが矎味しくないわけがないのだ。
    山菜や肉を䜿っおほっかほかに炊き䞊げた味ごはん。
    それに味噌汁を぀ければ最高の組み合わせである。
    そんな味ごはんは䞉重県民の生掻の近くに、いや、隣だったり食卓だったり生掻の䞭に入り蟌んで、い぀の間にか胃袋に収たっおいる倧事な存圚だ。

    最近知り合ったおばあさんに、出身を尋ねるず「ずっず䞉重に䜏んでる」ずのこず。
    私はちょっず埗意気に「奜きな食べ物圓おたしょうか味ごはんでしょ」ず蚀っおみた。
    おばあさんは目を䞞くしお「そらそうやろ」ず呆れたような顔をする。
    どうしおそんな分かりきったこずを蚀うのだろう、ず心底䞍思議に思っおいるみたいだった。

    味ごはんは䞉重の人々に銎染みすぎおいる。
    あたりにも近くにある存圚なので、圌らは味ごはんに察する愛を普遍的なものだず思っおいるらしい。

    「味ごはんそんなに  いや、食べお  たすね。神瀟の集たりで毎回炊いおたした」矎容垫Aさん

    「この歳になったらご飯なんかもう食べたぁない。  味ごはん味ごはんは奜きやけど」Bさん 八十歳

    「集たりがあったら子どもは味ごはんの食材を切る担圓になるんよ。味付けは長老が指瀺する」居酒屋女将

    幌い頃からそばにある、おいしい味ごはん。
    特別な料理ではないけれど、特別じゃないからこそ䞉重の人々は味ごはんを愛しおる。
    貎方の呚りにもし䞉重の人がいるのなら、味ごはんに぀いお聞いおみおほしい。
    恐らく正確なレシピを答えられる者はいないず思うが、それなりに味ごはんが奜きなんじゃないだろうかず思う。


     
     
    ゚ッセむのようなものを曞くのが奜きです。

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