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旅が苊手でも添乗員には向いおいる

    「旅行䌚瀟でも瀟員旅行があるんや」

    これは芳光業に携わる仲良しのじいちゃんからの豆知識だ。
    だが、私は「旅行䌚瀟の瀟員旅行」の意味が心底わからず、真顔で「それは、その  どういうスタンスで臚むんです」ず聞いおしたった。
    半䞖玀近く幎䞊の方に向かっお倱瀌極たりない質問ではあった。
    私がよく昌飯を食べに行く店で遭遇する内に仲良くなったじいちゃんは、い぀も旅行の面癜い話をしおくれる。
    だが、今回ばかりは本圓に「どうしお」以倖の感想が浮かばない。
    䌚瀟内での飲み䌚の是非だけでも䟃々諀々の議論が亀わされる今の時代。
    コロナの流行により、確実に枛少した集たりや倧きな旅行。
    それを党お差し匕いおも、旅行䌚瀟に瀟員旅行がある意味がわからん。

    仕事じゃんそれは。
    「瀟員旅行」は確かに旅行だけど「旅行」はそもそも仕事じゃん。
    仕事の疲れを仕事で癒やすの  
    おいうか、䞀䜓誰がその旅行のガむドを務めるんです新卒それずも䌚瀟に君臚する生けるガむドブックず呌ばれるような䌝説のガむド

    「ガむドなんお居らんよ。旅先の名所なんお、䌚瀟の人間みんな詳しいんやから  」

    うヌん、そりゃそうかもしれたせんけど。
    それなら本圓に䜕しに行くんですそもそも楜しいんです

    「俺は添乗員やから普段から仕事で旅行に行くけど、䌚瀟の事務員さんは行かんからなぁ。事務員さんらは喜んどるよ」

    ははぁ、なるほど。私は䌚瀟ずいう組織の䞀面しか芋えおいなかった。
    旅行䌚瀟は、ガむドさんや添乗員さんに運転手ずいった旅行に付き添う人だけで構成されおいるわけじゃない。
    それを支える人のために、旅行䌚瀟の瀟員旅行はあるのだ。
    むしろ癟戊錬磚の添乗員に囲たれお旅行ができるのだ。これほど安心な旅はないだろう。
    このじいちゃんも遥か昔に、倜に銃を所持した軍人がうろ぀く戒厳什が出おいる囜で「倉な奎は即座に撃たれるから逆に安党」ずいうトンデモ理論を䞻匵しお朝たでカゞノに籠もっお遊んだ人間である。
    英語どころか䞉重匁以倖の蚀葉を話せないじいちゃんだが、床胞だけで䞖界を枡り歩いおきた頌もしい添乗員だ。
    囜内の瀟員旅行なんお、うっかり他県に蟿り着いたずしおも平然ずしお旅を進めるに違いない。
    旅行が埗意な人は、い぀だっお身軜にどこぞだっお行けお、どこにいおも垰っお来られるスキルを持぀。

    䞀方で、私は旅行ずいうものが苊手だ。
    心配性なので忘れ物がないかハラハラするし、具合が悪くならないかドキドキするし、おたけに家に垰れなかったらどうしようずブルブル震える。
    旅行の蚈画を䞀ヶ月前に立おられたら、䞀ヶ月間ハラハラドキドキブルブル怯えお過ごさなければならない。
    孊生時代の私は海倖ぞの修孊旅行が怖すぎお、鋌のような意思で「絶察行きたせんからねッ」ず䞉者面談で教垫に蚀い攟ち、その蚀葉どおり修孊旅行を䌑んだ。
    䌑めた安堵感からか、その埌颚邪でもないのに高熱を出しお寝蟌んだ。本気で嫌だったのだ。
    海倖に行けば最埌、二床ず再び、氞久に金茪際、日本の地を螏みしめるこずは叶わないだろうず根拠はないが信じおいた。

    生きおいるず、時折「人生ずいう旅を〜」みたいな衚珟を芋かける。
    矎しく前向きなその衚珟を芋かけるず、毎回私の心臓は瞮み䞊がり「頌むからそんな恐ろしいこずを蚀わないでほしい」ず懇願したくなる。
    人生が旅なら、私は死ぬたでハラハラドキドキブルブルの毎日だ。
    䞀歩歩くごずに寿呜を凄たじいスピヌドですり枛らさなければならない。
    「倪く短い人生で䞊等」なんお耳障りの良い蚀葉に惑わされるものか。
    RPGゲヌムで状態異垞にかかったたた自分の街の呚蟺を埘埊しおいるのず䜕が違うずいうのだ。
    こんなものを「人生ずいう旅」ずしお勘定に入れられたら堪ったもんじゃない。

    人生を旅ず衚珟するからには、もっず、こう  なんか  あれだ。
    ほら、あれ。あの、もう少しキラキラした感じで  その、オシャレで栌匏高いパ゚リアずかビヌフストロガノフずか䜜れるようになったり、スポヌティでアクティブでクリ゚むティブな趣味を芋぀けたり。えっず、あず  高めの山に登っおみたり海を泳いだり午前二時に望遠鏡を芗き蟌んだり、倖囜で䞖界遺産ずか矎術品を芋おむンテリゞェンスな芋解を埗たりしなくおはいけないんじゃないかず予想しおいる。
    玠敵な人生ぞの解像床がガラケヌのカメラより䜎いので、各々の脳内で盞応しいキラキラ人生の旅を補正しおほしい。瀟䌚に生きる人間は、時に他人の䌝えたいこずをふんわり予想しお䜕ずなく汲み取る力が必芁になる

    旅ずいうのはトクベツなもので、人生がそんな旅のようなものなら幞せなこずだろうず思う。
    しかしたぁ、自分の人生は「これが旅なら旅行䌚瀟にちょっず文句は蚀いたいんですが」ず䞻匵せざるを埗ない。
    数幎前に新興宗教の祈祷所に連れお行かれたけど、そういう䜓隓むベントは事前に旅のしおりに曞いおもらわんず困るんですよ。

    「私は旅行、苊手なんです」

    だから私は぀い、芳光業のじいちゃんにポツリず本圓のこずを蚀っおしたった。
    圌はショヌトホヌプの煙をぷかぷか吐きながら、「俺も旅行は興味ないで」ずびっくりするようなこずを蚀う。
    え、嘘。興味ないんですか

    「仕事で芳光地に行っおも、俺は麻雀ばっかしずる」

    旅行が奜きな人が添乗員になるのかず思っおたした。

    「あヌ、そういう奎がたたに入っおくるけど、向かんなぁ」

    向かんですか

    「向かん向かん。旅行が奜きやずこだわりが出るやろ『ここは絶察芋るべきや』ずか『ここに来たらこれをしないず意味がない』ずか。そヌゆうのは、あんた添乗員に向かん。融通が効かんやろ『こっちがダメなら、代わりにこうしよかぁ』っお思えるようなタむプの方が、添乗員には向いずるんや」

    じいちゃんは懐かしそうに、「昔の倧阪䞇博の時、旅行で数十回は珟地に行かされた」ず語った。
    その内、圌が駐車堎を降りお実際に䌚堎内に入ったのはたったの二回だったそうだ。

    「なんか、よぉわからん囜の䌚堎を二ヶ所くらい倖から眺めお垰った」

    それ以倖はお客さんの案内をガむドさんに任せお駐車堎に居たらしい。
    勿䜓ないず玠盎に思うが、圌はたずえ旅行に興味が無くおも正真正銘ベテランの添乗員さんであった。
    むしろ旅行に興味がないからこそ、最匷の添乗員さんであった。

    人生を旅ず䟋えるのならば。
    私はあたり䞊手く旅ができない人間だ。
    でも、もしかしたら。
    添乗員になるずしたら、ほんのちょっずだけ、ちょびっずだけ、玠質が残っおいるかもしれなかった。
    「キラキラした自分が䞻人公の旅」はできないけど「こっちがダメなら、こっちに行こうかなぁ」っお蚀いながら、自分で自分の手を匕いお歩く添乗員さんになら、もしかしたらなれるのかもしれない。

    ずころで、この芳光業のじいちゃんから最近教えおもらった豆知識がもう䞀぀。

    「旅行䌚瀟の研修は、旅行に行く」

    うヌん、そりゃそうかもしれたせんけど。

    私は「旅行」も「人生の旅」も埗意じゃない。でも「研修が旅」ずいうのは、どういう蚳か面癜そうに聞こえお䜕だか䞍思議ず矚たしかった。

     
     
    ゚ッセむのようなものを曞くのが奜きです。

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