
読書上手になりたい
36歳にして、今、すごく本を読みたい。
不思議なほど読みたい。
なのに私は、読書習慣というものを一切身につけないまま、ここまで生きて来てしまった。
だからなのか、どんなに魅力的な本でも、椅子に座って「さあ読むぞ」と構えると、なぜか落ち着かない。
私が本を読む場所は決まっている。
台所だ。しかも立ったまま。
あえて言葉にすると、ここは家族の視界に入りにくい、完全なる私の縄張り。
鍋をかき混ぜながら片手で本を読む。
感動的なエッセイや、心にずしんと来る文章に対して、ものすごく失礼な気もする。
でも今のところ、家でできる私の読書姿勢は、お恥ずかしながらこれが限界なのです。
さらに言うと、しおりも持っていない。
読みかけのページには、ティッシュを挟んでいる。
生活感がすごい。本を傷つけまい、という拙い配慮だけは補足させていただく。
本当は、美しいしおりを使って、素敵な紅茶でも飲みながら、ゆったりと本に没頭したい。
そんな理想を胸に抱えつつ、今日も私はカレーを煮込みながら本を読んでいる。
私の読書上手への道は、たぶん、台所から始まっている。
