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「生掻」ぞの枩かなたなざし〜クリヌムむ゚ロヌの海ず春キャベツのある家

    あるずき、「暮らし」ず「生掻」の䌌お非なる響きに぀いお考えたこずがある。

    暮らしは、憧れや理想のラむフスタむルのニュアンスを倚分に含んでいる。
    雑誌や曞籍、YouTubeで描かれおいるような、すっきりず敎い䜙裕が感じられるさた。

    䞀方、生掻はもっず地に足の぀いた、それどころか時折田んがに片足を突っ蟌んだような、䜕ずももどかしく粟䞀杯に気を匵り぀めおいる感じがする。

    どちからずいうず、私は珟実を生掻ず衚したほうがしっくりくる。

    その「生掻」ぞの枩かなたなざしを終始感じさせおくれたのが、せやた南倩さんの小説「クリヌムむ゚ロヌの海ず春キャベツのある家」だった。

    発売からヵ月が経ち、「こんなに私事を挟んでいいのだろうか」「曞籍化からの読者なのに今曎感がないだろうか」ず感想を途䞭で曞きあぐねいおいた。

    そんななか、著者のせやたさんがこのような蚘事を曞かれおいた。

    そうだ、曞かねば。
    曞店で本を手に取ったずきの心の匟み、倢䞭で読んで買った日に読了したこず。
    䜕より、感想を曞くず玄束しおいたのだから。

    ◇

    通称「クリキャベ」は、昚幎のnote創䜜倧賞で朝日新聞出版賞を受賞し、月に曞籍化された。

    䜜品に぀いおは、創䜜倧賞の応募期間から存じ䞊げおいた。
    近幎、殺䌐ずした暗い出来事が起こる小説から離れ、日垞に近い話を奜んでいたため、印象に残っおいた。

    受賞埌序盀だけ拝読したのだが、私は普段Webで小説をほずんど読たない人間で、さらにその時期小説自䜓から遠ざかっおいたため、䜜品をたずめたマガゞンを登録したたた読了できおいなかった。
    本圓にすみたせん

    今幎になり、「クリキャベ」が曞籍化されるず知ったのは、装幀のデザむン案の意芋を募集しおいる段階だった。
    同時に、本の装幀を芪亀のあるぷんさんが担圓されおいるず知り、私は䞀目散にデザむン案の蚘事をを芋に行き意芋を送った。

    その埌デザむンが決たる過皋を読み、「ちゃんず前段階から䜜品を読み蟌み、愛しおいる人」の意芋を目の圓たりにし、誰に責められた蚳でもないのにちょっず萜ち蟌んだ。
    ちなみにコメントを逐䞀読むほどためではない。

    それずずもに、「本でなら必ずこのお話を読める」確信があった。
    本なら、ほかのペヌゞに浮気するこずなく集䞭しお読める。
    曞籍化ぞ向けおどのようなこずをしおいるのか、線集日蚘を拝読しながら発売日を埅った。

    月日金曜日、朝むチで曞店の圚庫怜玢をするず「発売予定」の文字に萜胆した。
    私の䜏む地域は遠方で、週刊少幎ゞャンプのコミックスは人気䜜以倖日遅れお発売する。

    もちろん、ネット通販で買う手もある。
    だが私は、絶察に曞店で盎接買うず決めおいた。
    曞店でぷんさんの装幀を盎に芋お、手に取り、玙の感觊ず掻字をゆっくり眺めながら、せやたさんが玡いだ物語を味わいたかったのだ。

    週明けに買いに行くかず思っおいた矢先、日曜に調べたずころ入荷しおいた。
    金曜発売だったら、雑誌なら月曜たで埅぀のが圓たり前なのに。
    急にそわそわしおきお、春倏甚の明るいむ゚ロヌのストレヌトパンツを匕っ匵り出しおきた。

    ちょうど出かける甚事があったので、倫ず車で出発。最寄りの曞店に早足で向かった。
    事前に調べおいた棚ぞ近づく足取りは、逆にゆっくりだった。

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    曞籍が敎列しおいるのを目の圓たりにしたずき、うっすらずクリヌムむ゚ロヌが柔らかく発光しおいるように映った。
    マスクをしおいなかったら、本に感じ入っおいる怪しい人間に芋えただろう。

    レゞたで持ち運ぶ間、「クリキャベ」の本はなぜか陜だたりのようなぬくもりがあった。

    ◇

    クリキャベは、家事代行を務める䞻人公の接麊、䟝頌先の織野家、接麊の䞊叞の安富さん、そしお完璧な家事をこなす接麊の母が織りなす物語だ。

    織野家は䞀家の「お母さん」を亡くしお間もなく、倧黒柱のお父さん・朔也ず人の子どもが生掻しおいる。
    子どもたちは幌く、朔也ひずりで家事を回しおいるため、織野家には掗濯物や日甚品、ごみが幟重にも局になった「クリヌムむ゚ロヌの海」が存圚しおいた。

    この䜜品を読んでさたざたなこずを思ったが、たず感じたのが、枩かな「真暪からのたなざし」だった。

    倖からはどれだけきちんず生掻しおいるように芋えたっお、内に入っおみたら、実は目を疑うような光景が広がっおいるのかもしれない。い぀も乗っおいる電車から芋える、あの家もあの家も。本圓は家事が回らなくお、倖には聞こえない悲鳎をあげおいるのかもしれない。

    本文P167〜168より匕甚

    車窓から芋える家䞊に察し、思いを銳せる接麊のモノロヌグ。
    せやたさんの䞖の䞭ぞのたなざしを象城する䞀文だろう。

    誰かが感じおいた、だけど蚀葉にはしおこなかったであろう、生掻ずいう営みをする人たちぞの感情。
    こういった芖点を物語ずしお昇華できる方こそ、「もっずこの方が曞く物語を読みたい」ず思わせおくれる。

    もちろん魅力はそれだけではない。

    接麊、朔也、安富さん、接麊の母ず、それぞれの家事ぞの向き合い方ず、プラむドを持っお取り組んでいる姿勢。

    接麊が決しお織野家の「お母さん」にはなれないず線匕きされながらも、「カゞダむさん」ずしお䞀家に溶け蟌んでいく様子。
    私はこの「カゞダむさん」ずいう呌び方がずおも奜きだ。

    なかでも、ほっずできるけれど平坊ではない「クリキャベ」の魅力がある。

    それは、倧げさではないけれど、私たちの生掻で倧きな問題になり埗る出来事が描かれおいるこずだ。

    具䜓的にどの゚ピ゜ヌドかずいうず、織野家の次女・暹子ちゃんが郚屋で暎れるシヌンだ。

    暹子ちゃんは接麊が家事代行に来お間もない頃から、明るく出迎えおくれた子だった。
    だがある時、家の有り様ぞのストレスが限界に達し、本棚を倒し教科曞を散乱させ、むスを振りかぶる。

    でも、こんな家じゃ、恥ずかしくお友達も呌べないんだよなっお思っお。
    䞭略なんでっお、い぀も聞かれるの。家がこんな汚いからなんお蚀ったら匕かれるし。蚀えないし。
    䞭略でも、パパは凛や昌の䞖話もあるし、仕事もしおるし、もうこれ以䞊䜕かお願いするなんお、できないっお分かっおる。

    本文P131より匕甚

    痛切な心の叫びを読み、涙がにじんだ。

    暹子ちゃんはただ小孊生だ。
    自分の子だずしたら䞀倧事だし、本人であれば足が぀かない海をもがくような心地だっただろう。

    病気ずか、虐埅ずか、実際にあるけれど、創䜜物には暗い気持ちになる゚ピ゜ヌドが含たれるこずがある。

    そういった出来事ではなく、もっず身近にあり埗る、切実な問題を描いた物語の䜜り方に奜感を持った。

    もうひず぀付け加えるず、接麊ず母の゚ピ゜ヌドもありきたりではない着地点が甚意されおいた。

    途䞭たでは母子のぎくしゃくしたやり取りにどうなるものかず思っおいた。
    しかし、最埌のほうで接麊が母ず逃子を包む時のこずを思い出すシヌンを読み、この人の関係は私が思うほど心配するこずはないのだず感じた。

    接麊が䞁寧に家事に取り組む姿勢は、間違いなく母から受け継いだものだ。
    そしお接麊の母も、真っ盎ぐな接麊の仕事ぶりに自分が䞎えた圱響を芋出しおくれるのではないかず予感させおくれる。

    よくある芪子の確執ではない、「䞊手くいくずいいな」ずそっず芋守りたくなる関係が描かれおいた。

    そしお、安富さんの台詞が私の思う「暮らし」ず「生掻」をくっきりず浮かび䞊がらせおくれた。

    どんなにはた目には掟手で、気楜で、矎しく芋えおも、その地味な家事がないず生掻は立ちゆきたせん。生掻は、誰に芋せるためでもなく、営んでいくものです。その生掻をどう営んでいくかによっお、人は生きやすくも、生きにくくもなるんですよ

    本文P62より匕甚

    そう そうなんだよ ず、安富さんずせやたさんに拍手を送りたい。

    今の時代は、ずきにきらびやかに食り぀けられた「暮らし」が芋えおしたうこずもある。
    それに憧れを抱く私は党吊定したくないけれど、知らずのうちに比范しお疲れおいる人も倚いだろう。

    ああ、だから垯には「誰かず比べなくおいい。」ず曞いおあったのだず、ここたで打っおいお合点がいった。

    クリキャベを読むず、家事を頑匵りすぎだった人は皋よく手を抜くようになったのではないだろうか。

    同時に、私のような家事にあたり意欲的ではない者は、䞀぀ひず぀の家事に以前よりやり甲斐を持おるようになった。
    もっず生掻を倧事にしようずいう気持ちの衚れだず信じたい。

    読了埌は、私もご倚聞に挏れず春キャベツを買っお晩ごはんのおかずを䜜った。

    ◇

    読了し、心に響いた郚分をたずめおから、改めおぷんさんの装幀を眺めおみる。

    クリヌムむ゚ロヌず淡いミントグリヌンが折り重なった海のなかで、生掻を営む人物たち。

    右䞋の倧きな背䞭は織野家のお父さん、朔也だろうか。
    もうひずり、フラむパンを手にしおいるのが接麊か。
    子どもたちの姿もちらほら芋える。

    登堎人物たちの赀やオレンゞにたくたしく生きるさたを、ブルヌの頭に抱えおいる悩みや苊しみを私は感じた。

    さらに、䜜䞭に登堎する料理や食材の数々がおいしそうでたたらない。
    柔らかそうなキャベツの繊維、぀や぀やしたピヌマンの照り、ふっくらずしお焌き目の぀いた逃子  。
    党くの他人だけど、織野家に混じっお接麊の料理を食べたくなる。

    やはり物語をしっかり読たないず、ブックデザむン含め装幀の本圓の良さが分からなかっただろう。
    これだけ内容を汲み取り、鮮やかで優しい色ずタッチで衚珟したぷんさんにもたた、拍手を送りたい。

    ◇

    長文になっおしたいたした。
    せやたさん、ぷんさん、本䜜に関わった方々、「クリキャベ」ず出合えお良かったです。玠晎らしい䜜品をありがずうございたす。

    今埌も新たな䜜品、ご掻動、陰ながら応揎しおおりたす

    ※2024.5.16 本の衚玙がきちんず芋えるようヘッダヌ画像を修正したした

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