
【創作現代落語】知りすぎた恋人
皆さん、こんにちは こんばんは。
今日は ですねぇ、私の友人の田中くん35歳独身と田中くんの妹の話を聞いてもらおうと思います。
最近、妙なことになっているようでしてね…。
田中くんは、言わゆるシスコンってやつでして…。
まあ、本人は「俺はシスコンじゃない!心配してるだけだ」と否定していますがね。
そんな田中くんの唯一(ゆいいつ)の楽しみと言ったら風呂上がりのビール。
缶をプシュっと開けようとした時
スマホが震えました。
時間を見ると23時30分。
妹からのLINEでした。
妹が「お兄ちゃん 今 大丈夫?」って言ってきたんで「わざわざLINEして来なくても… 2階にいるなら降りてこいよ」って返信すると「えーっめんどくさい」ってメッセージが すぐさま返ってきましてね。
ほら出ました。
すぐ面倒がるんですよ。
今どきの若い人は…。
田中くんも そうは思いましたが両親に聞かれたくないことでもあるんだろうと「どうした?」と返信しました。
すると「実は、付き合ってる人がいて、今日 プロポーズされたの!」って言ってきたそうなんです。
「おお、良かったじゃないか!どんな男なんだ?」って田中くんが妹に聞くと「知らない。会ったことないから」って言うんですって。
「ちょっと待ってくれよ。プロポーズされてるんだろ?会ったことがないって おかしいだろ?!どこで知り合ったんだ?」って田中くんが、ちょっと食い気味に言うと、
「LINEのグループチャットで知り合ったの。それから個人的にチャットで やり取りするようになってさ。声も聞いたことないし写真も交換したことないけどラブラブなんだよ」って妹は平然と言ったそうなんですよ。
「お前、それ詐欺だぞ!どうせ向こうはオッサンかジジイだぞ。それか どっかの国の男だ」と田中くんがムキになって言うと
「お兄ちゃんだってオッサンじゃん!この人は31歳のイケメンだよ。小さい時に見ていたアニメとか やっていたゲームとか 一致してるもん! 」って妹が言ってくるので
「じゃあ なんでイケメンってわかるんだよ」って田中くんが言い返すと
「プロポーズの言葉がロマンチックだったもの。ほら、見てよ」ってスクリーンショットを送りつけてきたそうなんです。
内容は、こうでした。
「俺は君の全てを知っているよ。
先週の金曜日、仕事帰りに雨に降られて慌てて お兄ちゃんを呼び出し迎えに来てもらったこととかも。ずっと君を見守ってるよ」
妹が「このことはヤキモチ妬くかな?って思って彼には言ってないのに凄いよね♪なんでも知ってるの」って言ってきて田中くんは背筋がゾクっとしたそうです。
しかし妹を守りたかった田中くんは
「コレのどこがロマンチックなんだよ!コイツと話をさせろ!」と妹に頼んで、この噂の男を入れた3人のグループLINEを作ってもらったそうなんですよ。
「お兄さん、ありがとうございます
。妹さんは幸せにしますので」とトオルと言う男からメッセージがきて田中くんは違和感を感じたそうなんです。
初対面なら、まず「はじめまして」と挨拶するよなぁって。
「君とは初対面だよね?!挨拶もできないのか?!」って田中くんが少し不機嫌に言ったのですが相手は動ずることもなく「だって初対面じゃないですよ」と返信が…。
田中くんは震える指で「お前は誰だ!」 と返しました。
「キミのスマホの中に、ずっといたよ」と一言(ひとこと)…。
その瞬間、驚いてスマホを落としてしまい拾い上げようとするとピロンっ! 通知音がなりました。
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「まだ気が付かないのかい?俺はキミなんだよ。田中トオルくん!!」
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田中くんには、私や周りの連中が 「そんなんじゃ彼女もできねーし妹も可哀想だ」って、さんざん注意してたんですけどもねぇ……。
ご清聴ありがとうございました。