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【2026年6月最新】ナフサショックによる建材受注制限・値上げ情報まとめ

    こんにちは。埼玉県を拠点に広報渉外を担当しております、髙橋秀樹です。 20年間、構造設計からCAD、営業、そして広報と、木造建築のあらゆる場面を歩いてきました。

    今日、社内の人から突然電話がありまして。 『「ナフサショックについて情報をまとめて」ってAIにお願いしたら、髙橋秀樹のnoteが出てきたんだけど、もしかしてnoteやってます?』と。

    予期せぬところで、こっそり書いていたこのnoteの存在がバレてしまいました(笑)。

    でも、AIが情報元として拾ってくれるくらい、この発信に注目が集まり、実務の現場で必要とされているのだと実感しました。それならば、今回の6月更新もさらに気合を入れて、どこよりも確かで動向の追えるまとめに仕上げていこう、と改めて心を決めたところです。

    先月、断熱材、接着剤、底盤の鉄筋、そしてルーフィングまでもが受注制限・値上げのリストに名を連ねた際、思わずXで「家が、建たない。見通しすら、立たない。」と呟いてしまいました。

    2025年4月の法改正は、私たち実務者が知識をアップデートし、ルールに適応することで、自分たちの努力で乗り越えていけるものでした。 しかし、2026年のナフサショックは違います。私たちの努力や熱意とは無関係に、物理的にモノが届かない。昨日まで当たり前に引けていた図面が、資材の欠落によって「絵に描いた餅」になってしまう。

    この圧倒的な停滞感を前に、今私たちができることは、正確な情報を武器に、少しでも確かな「見通し」を手繰り寄せることではないでしょうか。

    6月に入り、メーカー各社の公式な価格改定日や具体的な値上げ率、受注制限の最新ステータスがクリアになってきました。そこで、実務に直結する各社の動向を公式発表ベースで【6月版】として大幅にアップデートしました。社内共有や施主様への説明資料としてご活用ください。


    【一覧】受注制限・価格改定状況(2026年6月2日現在)※順不同・随時更新

    1. 構造材・鋼材(基礎・骨組み)

    「家が、建たない」の根幹に関わる部分です。石油化学製品だけでなく、鋼材や耐震ボードにも火がついた状態が続いています。

    ・共英製鋼
    【制限】
    4/9より当面の間、異形棒鋼(鉄筋)をはじめ全製品の新規販売契約を停止(オファー止め)が継続中。
    【改定】 4/1受注分より計15,000円/tの値上げ実施済み。
    ※HP未掲載ですが、日経新聞や鉄鋼新聞等の業界紙で報じられている通り、最大手の受注停止・数量制限により現場は逼迫しています。

    ・ノダ
    【制限】 構造用ハイベストウッドについて、直近の実需ベースを基にした受注数量の調整を継続中。また、ラスカット専用部材の透湿防水シートは4/24より受注停止。
    【改定】 6/1受注分より、構造用ハイベストウッドを一律30%値上げ(実施済み)。 さらに、フロア・その他板物関連も6/1出荷分より15%値上げとなっています。


    2. 断熱材(石油系・繊維系)

    石油系断熱材の不足と高騰が、代替品であるグラスウールやロックウールに完全に波及しました。今や上棟後の断熱・造作工事を止める最大の懸念材料です。

    ・旭化成建材
    【制限】 4/20よりネオマフォーム全品種(複合品含む)、ネオマゼウス、関連資材も含め一時的に注文受付を完全停止中。
    【改定】 5/7出荷分より当面の間、20%の値上げ実施済み。

    ・カネカ
    【改定】 4/1より押出ポリスチレンフォームを40%値上げ、発泡ポリオレフィン・発泡ポリスチレン樹脂を150円/kg値上げ実施済み。6/1出荷分からは耐衝撃性改良樹脂(カネエース等)を35〜85円/kg値上げ(実施済み)。

    ・デュポン・スタイロ
    【改定】 5/1出荷分よりスタイロフォーム、ウッドラック等を40%値上げ実施済み(状況次第でさらなる追加値上げの可能性あり)。

    ・JSP
    【改定】 6/1出荷分よりミラフォーム等を40%値上げ実施済み。

    ・アキレス
    【制限】 硬質ウレタンフォーム断熱材「キューワンボード」などについて、出荷数量・納期・取引条件等の調整および供給制限を実施中(価格改定の可能性あり)。

    ・フクビ化学工業
    【制限】
    フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」など取扱全製品で、4/1より製品供給制限・受注制限および納期調整を実施中。

    ・パラマウント硝子工業
    【改定】 6/1出荷分より、グラスウール断熱材全品種を一律15%値上げ(実施済み)。

    https://www.pgm.co.jp/news/news_137.html

    (※ニュース一覧ページがカード化されないため、URLのみ掲載)


    ・旭ファイバーグラス

    【制限】 4/1より当面の間、供給状況によりグラスウール製品の数量制限・納期調整・分納等を実施中(新規取引案件および見積もりは抑制)。

    ・JFEロックファイバー
    【改定】 6/1納入分より、ロックウールを20%以上、気密部材を40%以上値上げ(実施済み)。

    ・マグ・イゾベール
    【制限】 実績レベルでの受注制限を継続中。
    【改定】 7/1出荷分より25%以上の値上げが確定しています。

    https://www.isover.co.jp/news/

    (※ニュース一覧ページがカード化されないため、URLのみ掲載)

    ・エンデバーハウス
    【制限】
    4月7日から当面の間、ポリエステル断熱材などの注文・数量制限、納期調整を実施。原材料費・物流費の大幅変動による価格改定の可能性あり。

    ・シップス・ジャパン
    【改定】 4/20出荷分より、防蟻断熱材 「パフォーム・ガード」シリーズなどの価格改定を実施済み。


    3. 屋根材・外装材・防水・シーリング

    「雨仕舞い」を左右し、ここが止まると現場が完全にストップする最重要ラインです。

    ・田島ルーフィング
    【制限】 アスファルト系防水材料・ウレタン系防水材料について、6月中〜下旬にかけて段階的に新規受注を再開できる見込み(ただし供給量の減少や制限、納期変更の可能性あり)。
    【改定】 5/1納品分より、アスファルト系防水材料・ポリスチレン断熱材・ウレタンフォーム断熱材を40〜50%程度値上げ、ウレタン系防水材料等を10〜30%程度値上げ実施済み。7/21納品分よりビニル床タイル・シート、巾木、接着剤等を20〜30%値上げ予定。

    ・アイジー工業
    【制限】
    4/16より当面の間、サイディングおよびルーフ用部材の受注数量を調整(昨年同月比110%上限)。またエコシーリングの「Fガンメタリック」「Fミストアイボリー」は受注停止中。
    【改定】 6/1出荷分より、アイジーサイディング・ルーフ・アイジーヴァンド全商品(本体・付属品)を18%以上値上げ(実施済み)。

    ・日新工業
    【制限】 ウレタン塗膜防水材類(キシレン、NSソルベント)、アスファルトルーフィング・フェルト類全製品に出荷制限。トップコートシンナーは出荷停止。
    【改定】 4/21出荷分よりアスファルトルーフィング・防水材料・下地調整剤・断熱材などを40%値上げ実施済み。

    ・ニチハ
    【改定】 7/1出荷分より、金属製外壁材センターサイディング、金属製屋根材センタールーフ(本体・付属品)を15%程度値上げ。 また、防水部材(透湿防水シート20%程度、防水テープ30%程度、シーリング25%程度、アスファルトシングル「アルマ」15%程度)の大幅値上げが控えています。

    ・ケイミュー
    【改定】
    7/1納入分より、パナソニック雨といおよび関連製品を値上げ。(雨とい全般:20%以上、JIS管本体:30%以上、部材:15%以上)。

    ・オート化学工業
    【制限】
    4/9より当面の間、シーリング材・防水材など取扱全製品で過去実績(2025年4月〜2026年3月の月間平均販売実績)を上限とする供給制限を実施中。

    ・旭ファイバーグラス(屋根材)
    【改定】 7/1出荷分より屋根材「リッジウェイ」および専用部材を30%値上げ。

    ・ヨドコウ
    【改定】 2026年5月帳破(出荷)分より、鋼板商品全種、ヨドルーフ、ヨド角波サイディング、ヨドスパン、パネル商品、金属サイディングを10~15%値上げ実施済み。

    ・一村産業
    【制限】 当面の間、実績数量を超えた受注を制限(新規受注も中止)。 【改定】 備蓄在庫に限りがあるため、顧客ごとに「緊急価格」を個別案内。

    ・七王工業
    【制限】
    アスファルトフェルト、ルーフィング各種、エラスタイトNEXTなど、当面の間は前年同月の実績を目安に出荷量を調整。 

    ・ガムスター
    【改定】
    5/1以降の出荷分より、改質アスファルト製品全般、アスファルト製品および副資材全般を40%以上値上げ実施済み。

    https://www.gumstar.co.jp/news-index.html

    (※ニュース一覧ページがカード化されないため、URLのみ掲載)

    4. 接着剤・副資材・化学原料

    ナフサショックの影響を最も強く受けているグループです。地味ながら合板や仕上げを止めるトリガーになります。

    ・シャープ化学工業
    【改定】
    4/20出荷分より溶剤系製品を40%以上、5/11出荷分よりその他製品を20%以上値上げ実施済み。

    ・フクビ化学工業
    【制限】 4/1より全製品で供給制限・納期調整を実施。

    ・日本住環境
    【制限】 5/1より新規の大口見積を一時停止していましたが、5/11より取扱全商品の受注を再開。
    【改定】 5/1出荷分よりダンタイト・ダンシーツ等の各種副資材は40%アップの価格改定が適用されています。

    ・城東テクノ
    【制限】
    5/25より、樹脂枠、防水役物、つかボンドW、気密スペーサー(SK/SK2を除く)などの受注を「制限付きで再開」。

    ・BXカネシン
    【制限】
    BXウレタンボンド、BX養生シート、プロイズ表面処理品 (プロイズS含)、石油由来関連商品 (シート・フィルム・テープ類等)について、従来実績を大きく上回る注文を制限。新規注文は当面中止。価格・配送料の見直しや代替品提案の可能性。

    ・東洋テックス
    【改定】
    5/1出荷分より接着剤を30%以上値上げ実施済み。

    ・サンスター技研
    【改定】
    5/1出荷分より建築用シーリング材・接着剤・プライマー・副資材(テープ・バッカーなど)を30%以上値上げ実施済み。

    ※HPに掲載していないので新建ハウジングの記事より


    5. 住宅設備(キッチン・バス・衛生陶器)

    納期未定が相次いでおり、竣工・引き渡し時期に直結する設備群です。

    ​・LIXIL
    【改定】
    8/3受注分より水回り全般を最大20%値上げ。さらに秋にかけてサッシ・建材・外装などほぼ全製品の一斉値上げへ。 夏〜秋の予算組みにおける最大の警戒ポイントです。

    ・永大産業
    【改定】
    7/1受注分よりカタログ価格を改定。 床材:15%、室内ドア・階段・収納・キッチン・洗面化粧台などは10%値上げ。※新デジタルカタログは6/22公開予定。

    ・TOTO
    【制限】
    システムバス・ユニットバスの新規受注は4/20より段階的に再開。現在は通常通り生産・出荷を継続していますが、事前の納期確認は必須です。
    ※HPに掲載していないので日本経済新聞より

    ・クリナップ
    【制限】 4/22よりシステムバスルームの新規受注を再開。ただし注文集中時は納期調整・都度回答を実施中。全製品で価格や物流費改定の可能性をアナウンス。

    ・ウッドワン(住宅設備分)
    【改定】 8/18受注分より、システムキッチンなどの住宅設備を一律15%値上げ。 先行する建材類(6/22〜)に続き、住設の値上げタイミングも完全に確定しました。

    ・ハウステック
    【制限】
    4/15よりシステムバスルーム全般で新規注文の納期回答を一時停止中。
    【改定】 6/1受注分(5/11見積分)より「緊急原材料付加金制」を導入(実施済み)。 原材料価格の変動分を1カ月ごとに価格へ追加設定する措置をとっています。

    ・トクラス
    【改定】
    6/1以降の見積もり分より価格改定(実施済み)。 キッチン全シリーズ(水栓・食洗機・加熱器・レンジフード除く全部材)が10%、バスルーム全シリーズ(本体)が10%、ドレッサーが10%値上げ。※5/31以前の見積もりでも納品が9/1以降になる場合は新価格適用となるため要注意です。

    ・ノーリツ
    【制限】
    5/20の発表通り、水回り製品などの在庫注文受付数を「前年同月の110%まで」に制限中。今後3カ月先以降の新規注文は納期回答に時間を要する見込み。
    【改定】 8/3より、ガス給湯器・温水暖房熱源機(約5〜18%)、ガスファンヒーター(約11〜30%)、温水機器関連部材(平均11%)を値上げ。

    ・亀井製作所
    【制限】
    キッチンなど一部製品で部材調達遅延による生産遅延が発生中。通常の納期回答が困難な場合は受注制限、および仕様変更や価格改定の可能性あり。


    6. 配管・電材・塗料

    インフラや仕上げに関わる塩ビ・溶剤・シンナー類です。短期間での連続値上げや、高水準の価格維持が続いています。

    ・積水化学工業
    【改定】 5/20出荷分(雨とい全般・波板等20%以上、カラーパイプ30%以上値上げ)に続き、6/1出荷分より塩化ビニル管(12%以上)、塩化ビニル継手・マス(6%以上)、ポリエチレン管(10%以上)をさらに値上げ(実施済み)。

    ・クボタケミックス
    【改定】 5/7出荷分より塩ビパイプ類を30%以上、ポリオレフィンパイプ類を20%以上、継手類全般を15%以上値上げ実施済み。

    ・アロン化成
    【改定】
    5/7出荷分よりパイプ類を15%以上、継手等を5%以上値上げ実施済み。

    ・ヴァンテック
    【改定】
    5/7出荷分より塩化ビニル管を12%以上、塩化ビニル継手を6%以上値上げ実施済み。併せて出荷制限を含む供給調整を実施。

    https://www.van-tecs.com/topics/

    (※ニュース一覧ページがカード化されないため、URLのみ掲載)

    ・信越化学工業
    【改定】
    4/1より塩化ビニル樹脂を30円/kg以上、5/1よりシリコーンを10%以上値上げ。

    ・三菱電機
    【改定】 7/1受注分より配電制御機器を30〜80%値上げ。

    ・日本ペイント
    【改定】 6/1出荷分より、溶剤系塗料を25〜35%、水性塗料を20〜30%値上げ(実施済み)。(※運賃についても地域等により別途案内)。

    ・関西ペイント
    【制限】 過去実績を上限とする出荷制限を継続中。
    【改定】 4/13出荷分よりシンナー製品全般を50%以上値上げ実施済み。

    ・ロックペイント
    【改定】
    4/1出荷分よりシンナー類全般を30%値上げ。

    ・エスケー化研
    【改定】 5/11出荷分より建築塗料・仕上げ材全般を値上げ(水性15〜25%、溶剤20〜30%、粉体10〜15%)。※溶剤形主力製品は4/21から前倒し実施済み。

    菊水化学工業
    【制限】
    当面の間、前年実績を基にした出荷制限を実施中。
    【改定】 5/1出荷分より塗料製品全般を20%以上値上げ実施済み。


    7. 内装材(壁紙・床材・ボード)

    最終的なコストを押し上げる仕上げ材のグループです。6月から7月にかけて、主要メーカーの値上げドミノが完全に本番を迎えました。

    ・吉野石膏
    【改定】 6月出荷分より石膏ボード関連製品を20%値上げ(実施済み)。 今月の現場から仕入れコストが跳ね上がっています。
    ※HPに掲載していないので新建ハウジングの記事より

    https://www.s-housing.jp/archives/413930

    ・エーアンドエーマテリアル
    【制限】
    内装不燃化粧板「ステンド」シリーズの受注生産色の製造を5/7より一時停止中。
    【改定】 7/1出荷分より、不燃ボード・不燃断熱材・耐火被覆材などを20%以上値上げ。

    ・ウッドワン
    【改定】 6/22受注分より建具・収納・床材・階段部材などの建材カタログ価格を一律15%値上げ。 駆け込み発注による寸前の大混乱が予想されます。
    ※HPに掲載していないので日本経済新聞より

    ・朝日ウッドテック
    【改定】 6/1受注分より、床材を10〜15%、その他取扱い全製品を15%値上げ(実施済み)。

    ・サンゲツ 
    【改定】 7/1受注分より、壁装材・床材・ファブリック・エクステリア・副資材・接着剤等を18〜30%程度値上げ。

    ・リリカラ
    【改定】
    6/29出荷分より、壁装材・床材・副資材等を15~30%値上げ。

    ・ルノン
    【改定】
    7/1より壁装材・副資材等を20~30%値上げ。

    ・ 東リ
    【改定】 7/27受注分より、ビニル床タイル・床シート、カーペット、壁装材、接着剤等を20〜30%アップ。

    ・アイカ工業
    【制限】 4/27よりシーラー、タイル用接着剤の新規受注を一時停止中。
    【改定】 6/1出荷分よりメラミン化粧板・化粧ボードを10〜30%値上げ(実施済み)。 さらに、6/29出荷分より壁装材・住設建材製品(不燃化粧板、壁面材、カウンター、メラミン扉等)を8〜30%値上げ。二段階の大幅改定となります。

    ・日本デコラックス
    【改定】
    6/26受注分より不燃メラミン化粧板「パニート」スタンダード等を10〜20%値上げ、メラミン化粧板「フィレンツェエコ」等を約15%値上げ。さらに7/1受注分よりパニート施工部材を15%以上値上げ。

    ・東洋テックス
    【改定】
    6/22出荷分よりフローリングを10%以上、造作材を20%以上値上げ。 7/1見積もり分からは階段・関連部材も10%以上値上げとなります。

    ・DAIKEN
    【制限】
    水まわり・引戸用のシステム造作部材の一部で注文数量の調整や新規受注の一時停止を行う可能性あり。また5/18よりリビングドアのPPバンド本数を削減して梱包中。
    【改定】 7/1出荷分より広範囲に及ぶ建材製品の値上げを敢行。(床材15%、ダイライト耐力面材15%、インシュレーションボード10〜20%、室内ドア・収納・階段10%値上げなど)。

    ・ナカ工業
    【改定】
    6/1出荷分より、点検口・収納・金属建材など取扱全製品を5〜20%値上げ(実施済み)。

    ・シンコール
    【改定】
    7/1受注分より、壁装材、カーテン、床材、巾木、接着剤等の副資材を20〜30%以上値上げ。



    【分析】現場を襲う「二次的なリスク」の正体

    今回のナフサショックの本質的な恐ろしさは、単なる「モノ不足」に留まらず、一つの部材の欠落が全工程をストップさせる「連鎖停止」にあります。

    例えば、屋根ルーフィングの受注制限。これが手に入らなければ屋根を葺くことができず、建物内部を雨から守れません。結果として、たとえ断熱材や石膏ボードが確保できていても、内部造作工事を進めることは不可能になります。また、接着剤やシーリング材といった「小さな化学製品」の不足は、外装・内装・設備据え付けのすべてにブレーキをかけます。

    これは単なる工期遅延の問題ではなく、職人の方々の「手待ち」を発生させ、地域の施工体制そのものを疲弊させる「現場の空洞化」という二次被害を招いています。昨日まで当たり前だった「工程表」が、今やもっとも崩れやすい積み木のようになっているのが実状です。

    【背景】2025年法改正の余波とナフサショックの二重苦

    私たちは今、かつてないほど厳しい経営環境に立たされています。 思い返せば、2025年4月の法改正(4号特例の縮小や省エネ基準の適合義務化)への対応で、構造計算の日常化や省エネ適合への実務など、制度という「ソフト」への適応に必死に向き合ってきたのがこの一年です。

    しかし、その適応の努力がようやく形になり始めた矢先、このナフサショックという「物理的な断絶(ハードの欠落)」が襲いかかってきました。

    法改正が求めているのは「より質の高い、確かな家づくり」です。しかし、その質の根拠となる資材が物理的に届かない。ルールが厳格化されたタイミングで、そのルールを遵守するための材料が手に入らないというこの乖離は、実務者にとってあまりに過酷な試練です。

    これは制度の問題ではなく、私たちの努力の及ばない「不可抗力」によるものですが、結果として現場がその板挟みになっている現実は、20年のキャリアでも経験したことのない異常事態だと言わざるを得ません。

    【重要】経営を守るための「セーフティネット」の活用

    一番怖いのは、現場が止まってしまうことでキャッシュフローが断絶し、地域を支える工務店や建設会社が倒産してしまうことです。そうならないよう、国(中小企業庁)も令和8年3月23日付で相談窓口を拡充し、「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」などの支援策を強化しています。

    特に、以下の支援策は必ずチェックしてください。

    1. 特別相談窓口の活用 日本政策金融公庫や商工会議所、信用保証協会等に設置された窓口にて、資金繰りや経営に関する具体的な相談が可能です。

    2. セーフティネット貸付の要件緩和 原油価格高騰や中東情勢の影響を受けている事業者を対象に、貸付要件が緩和されています。4月1日からは、金利引下げの対象も拡充されました。

    3. 適正な価格転嫁の要請 国は関係団体に対し、原材料費の上昇を考慮した適切な価格転嫁を要請しています。これは、お施主様や元請け企業と価格交渉を行う際の、重要な公的な根拠となります。

    また、経済産業省では、資金繰り支援だけでなく、輸出入や原材料高騰への対策など、事業者が利用できるあらゆる支援情報を集約したワンストップポータルを公開しています。

    一社で抱え込まず、こうした公的支援を「会社を守る武器」として活用してください。

    【指針】この状況にどう向き合うか

    「見通しが立たない」という言葉が飛び交う中、広報・渉外担当として、日々氾濫する情報の収集と精査に努めております。

    情報の真偽を見極め、客観的に整理し直すこと。それが、この未曾有の事態において私たちが誤った判断を避け、前進するための第一歩になると考えています。この混乱期を乗り越えるための指針として、今取り組むべきと感じていることをいくつか整理しました。

    • 情報の透明性を大切にする 「大丈夫です」と根拠なく言うよりも、こうした一次情報を提示し、お客様と「今、社会で何が起きているか」を率直に共有すること。それが、結果として信頼を守ることに繋がるのかもしれません。

    • 早めの意思決定を心がける 先が見えない時だからこそ、今決断できることだけは早めに確定させる。小さな「見通し」を積み重ねることが、数ヶ月後の現場を支える助けになるはずです。

    • 業界内で支え合う 一社で抱え込める問題ではありません。情報を共有し、知恵を出し合う。このnoteが、そのための小さなきっかけになれば幸いです。

    【情報】背景を知るための重要ニュース

    なぜ今「不可抗力(フォースマジュール)」という言葉が飛び交っているのか。その根本的な原因を理解するための参考資料です。

    https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/04/ab28e860304fe71f.html

    https://toyokeizai.net/articles/-/939543

    【結び】おわりに

    かつてのウッドショックを、私たちは代替部材の活用など知恵を出し合って乗り越えてきました。 今回のナフサショックも、一人で抱え込まず、業界全体で手を取り合っていければと思います。

    5月から6月にかけ、状況は「見通しの悪化」から「公式発表に基づく確定的な値上げ・制限ラッシュ」へとフェーズが変わりました。この記事が、皆さんの現場の「見通し」を立てるための一助となれば幸いです。

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    木造建築業界に携わり20年。構造設計、CAD、営業を経て、日本住宅・木材技術センターへ出向。現在は埼玉の企業で広報渉外として木造建築普及に努めています。Xでの発信に加え、noteでは日々の業務を通じた気づきや、木造建築への想いなど、腰を据えて言葉にしていきたいと思っています。

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