
もっと好きになれると思っていた
私は、小さい頃から特に将来の夢はなかった。
周りの友達が「先生になりたい」「スポーツ選手になりたい」と話している中、私は自分が何になりたいのかよくわからなかった。
そんな私に初めて夢ができたのは、中学生の頃だった。
コロナ禍を経験し、笑うことの大切さを知った。思うように外へ出られず、不安なニュースばかりが流れる日々の中で、私を元気にしてくれたものがあった。
元気な時はもっと元気にしてくれる。
辛い時は、その辛さを忘れさせてくれる。
気づけば私は何度も救われてきた。
だから今度は、自分が誰かを笑顔にする側になりたいと思った。それが私にとって初めてできた夢だった。
そして今、私はずっと憧れていた仕事に関わり始めている。
もちろん簡単な世界ではないことくらいわかっていた。
好きなだけでやっていけるほど甘くないことも、頭では理解していたつもりだった。
でも実際に足を踏み入れてみると、想像していたものとは少し違った。
わかったことは、好きという気持ちだけではできないことばかりだということ。
そして、好きだからこそ一歩引いてしまう自分がいるということだった。
私はずっと、この仕事に近づけば近づくほどもっと好きになれると思っていた。
毎日が楽しくて、夢に向かって進んでいる実感に満たされると思っていた。
憧れていた世界の中で、いきいきと過ごしている自分を想像していた。
でも現実は違った。
好きだからこそ知りたくなかったことがある。
今まで見えていなかった裏側がある。
知ることは必要なことかもしれない。でも、これ以上踏み込んだら、自分がこの仕事を好きじゃなくなってしまうんじゃないか。そんな不安を感じることがある。
何より苦しいのは、そんなことを考えてしまう自分自身だ。
少し前まで、あんなに夢中で、あんなに好きだったのに。
なのに今は、好きなのかわからなくなる瞬間がある。
本当は楽しいはずなのに。
本当は憧れていたはずなのに。
必死に「好きだ」「楽しいんだ」と言い聞かせながら、心のどこかでため息をついている自分がいる。
何か一つのことに全力で向き合える人を見ると、本当に尊敬する。
どうして私はこんなにも迷ってしまうのだろう。
どうして私はこんなにも不安になるのだろう。
あんなに憧れていたのに。
なんでだろう。
まだ答えは出ていない。
好きという気持ちだけでは足りないのかもしれない。
もしかしたら、本当に好きだからこそ苦しいのかもしれない。
それもまだわからない。
ただ一つわかっていることがある。
私は本当は、この仕事を心から楽しみたい。
もっと好きになれると思っていた。
だから今も、その「好き」を見失わないように探し続けている。