
【第63回】3つのお題に空想のひらめきを 「土管と僕と、ラムネのB玉」
第63回 3つのお題(昭和ノスタルジー)
お題①:「ラムネ瓶の向こうの青空」
お題②:「チャルメラが聞こえる夜」
お題③:「原っぱの土管」
僕らの集合場所は、原っぱの土管だった。
何故そこに土管があったのか、今となっては謎ではあるが、当時はそんなことは考えもせずに、僕らはそこに集まり、中に座り込んだ。
脚を伸ばせば背もたれがあり、雨が降っても濡れずに居られ、上に立てば視界が開ける。土管は僕たちを見守ってくれる。支えてくれる。居心地の良い空間を与えてくれる。今思えば、そんな存在だった。
ある時、ゆうくんが言った。
「明日、ラムネを買ってここで飲もうぜ」
ラムネを飲み干した僕らは少し大人になった気がした。中のB玉をうまく扱わないと、きれいに全部飲めないからだ。透かして見るラムネ瓶の向こうの青空が、僕らを祝福している。そんな気がした。
ある冬、すでに辺りは薄暗く、そろそろ帰る時間になって、遠くにチャルメラの音が聞こえた。あきらが言った。
「今度、みんなでラーメン食おうぜ」
さすがにそれは出来ないだろう。夜は家に帰らないといけない。お金はどうするんだ。無茶な話をするあきらはどうかしてると僕は思った。
あきらはそのあと、転校して行った。今にして思えば、最後の想い出を作りたかったのだろう。
ゆうくんは一足先に僕らから離れて、好きな子と遊ぶようになった。ラムネの味があの時少し苦く感じたのは、実は後から付け足した想い出なのかもしれない。
ある日、原っぱの土管が忽然と姿を消した。
残った僕らは唖然として立ち尽くし、それでもかろうじて歩き出した。
チャルメラの聞こえる夜、懐かしい気持ちで思い出す。
僕らは土管というラムネ瓶に守られたB玉だった。
とても大切な思い出だ。