AIで約200曲を配信して4か月。月間リスナーは3人でした
先に数字を出します。
配信している楽曲は約200曲。月間リスナーは3人。うち1人はたぶん自分です。収益は0.45ドル、日本円で70円ほどです。
AIでBGMを作り、DistroKid経由でSpotifyやApple Musicへの配信を始めたのが5月14日。そこから4か月で、アルバム・シングル合わせて約20作品をリリースしました。全曲の再生数は1,000回未満です。
「AI音楽で月30万円」という記事と、「AI音楽の収益化は無理」という記事が、検索すると両方出てきます。自分はどちらにもならず、そもそも聴かれないという第三の場所に着地しました。
この記事は、その4か月の全記録です。
4か月で出したもの
Deep Sleep Music Vol.1 / 2 / 3(各20曲)
Deep Sleep Music Vol.5(14曲)
Japanese Ethnic Fusion Vol.1(17曲)/ Vol.2(8曲)
Anime Style Orchestra Vol.1(10曲)/ Vol.2(16曲)/ Vol.3(4曲)
Global BGM Vol.1(12曲)/ Vol.2(2曲)/ Vol.3(6曲)
432Hz Healing Vol.1(12曲)
Tokyo Lofi Beats Vol.1(11曲)
Summer Lofi Vol.1(8曲)
Study Music Vol.1(8曲)
シングル3曲(Vinyl Rainfall / Rainwater Piano / Rain-Taxi Blues)
人力なら数年かかる分量を、4か月で出しました。AIで作れる量については、もう疑う余地がありません。
配信は簡単だった。聴かれないだけだった
始める前に一番心配していたのは「AIで作った曲は配信審査を通るのか」でした。
通りました。ここは障害ですらありませんでした。
使ったディストリビューターはDistroKid、プランはMusicianの年間24.99ドル。月あたり2ドルほどです。年間3,000円ちょっとで、曲数無制限でSpotify、Apple Music、Amazon Music、YouTube Music、TikTokまで配信されます。
つまり、AIで作った曲を世界中のストアに並べることは、もう誰でもできます。障害はそこにありませんでした。
4か月後の実数
月間リスナー:3人
全楽曲の再生数:1,000回未満(Spotifyは1,000回を超えるまで実数を表示しないので、正確な数字すら分かりません)
一番聴かれている曲:Midnight Ramen
プレイリスト入り:なし
約200曲に対して、月間リスナー3人。これが現実の数字です。
収益は0.45ドルでした
DistroKidの残高ページを最初に開いたときは「You have earnings!」とだけ表示され、金額が見られませんでした。支払い代行のTipaltiに税務情報を出すまで、残高が伏せられる仕組みになっているためです。
その後あらためて確認したところ、金額が出ていました。
総収益 0.44ドル。残高 0.45ドル。期間は2026年5月から7月まで。
日本円にして70円前後です。約200曲を4か月配信した結果が、これでした。
しかもこの0.45ドルは、受け取れていません。DistroKidの最低出金額は12.10ドルです。いまのペース(3か月で0.44ドル)だと、1回出金できるようになるまで単純計算で7年近くかかります。
ついでに分かったことが3つあります。
ひとつめ。配信先からの収益報告には2〜3か月の遅れがあります。5月に配信を始めて、いま集計されているのは7月分まで。実際の数字はもう少し後ろにずれ込みます。
ふたつめ。税務書類が一度で通っていませんでした。提出はしていたのですが、管理画面には「内容を確認して再提出してください」と表示されていました。出金方法も未設定のままでした。受け取るには、税務書類と出金方法の両方を揃える必要があります。
みっつめ。通知に「July earnings from YouTube」と書かれていたことです。YouTubeチャンネルも持っていて、動画は約200本公開しています。ただ登録者は2人で、チャンネルとしての収益化(YouTubeパートナープログラム)には参加できていません。それでもYouTubeから収益が発生していました。ディストリビューター経由で配信すると、YouTube MusicやContent IDにも楽曲が登録されるためです。チャンネルが収益化されていなくても、YouTubeからの収益は発生する。これは知りませんでした。
金額が小さいから軽視していたわけではなく、単純に、4か月間まったく確認していませんでした。
自分の再生数を見るのにもお金がかかる
DistroKidのStatsタブを開いたら、上位プランへの案内が表示されました。
契約しているMusicianプランには、再生統計が含まれていません。詳しい数字を見たければ、年間20ドルの追加が必要です。
月間リスナー3人の状態で追加課金する判断はしませんでした。代わりに、無料で同じデータが見られるSpotify for Artistsに申請しました。DistroKid経由で配信している場合は即時アクセスが付与され、待ち時間もありませんでした。最初からこれをやっておくべきでした。
何を間違えたのか
1. ジャンルを広げすぎた
これが最大の原因です。
4か月で出した約20作品のジャンルを並べると、こうなります。
睡眠音楽、Lo-Fi、432Hzヒーリング、アニメ風オーケストラ、和風エスニック、勉強用BGM、ワールドBGM、夏のLo-Fi、東京Lo-Fi。
9系統です。
リスナーから見ると、このアーティストは「何の人か分からない人」です。睡眠音楽で見つけてもらっても、次に出てくるのがアニメ風オーケストラなら、フォローする理由がありません。
1つのジャンルに200曲あれば強力な資産になります。9ジャンルに20曲ずつでは、どのジャンルにおいても存在しないのと同じでした。
AIで量産できるようになった結果、「何でも作れるから何でも作る」をやってしまった。これは量産できる時代特有の落とし穴だと思います。
2. 名前がバラバラだった
Spotifyのアーティスト名はYouta Libra。ジャケットに入れているロゴはYORU LOFI。このnoteのアカウント名はYoru Lofi。
聴いた人が名前で検索してもnoteには辿り着かないし、noteの読者がSpotifyで「Yoru Lofi」を探しても出てきません。複数の場所で活動しているのに、繋がっていませんでした。
3. 出したら終わりにした
リリースして、それで完了したつもりになっていました。
ストリーミングサービスは、出しただけでは誰にも見つからない場所です。YouTubeには「おすすめ」が、noteには「新着」がありますが、Spotifyで新規アーティストが露出する経路は実質的にプレイリストだけ。そこに入らない限り、名前で検索してもらう以外に到達手段がありません。
そして誰も、存在を知らないアーティストを検索しません。
4か月やってわかったこと
AI音楽についてよく言われるのは「量を出せ」「継続すれば伸びる」です。
4か月で200曲出しました。継続もしました。それでも月間リスナーは3人です。
つまり、ボトルネックは量ではありませんでした。
AI音楽の議論は、ほぼ全部「作れるのか」「配信できるのか」で止まっています。自分も両方クリアしました。それでも何も起きなかった。
本当の課題はその先、どうやって見つけてもらうかにあります。そしてこの部分については、AIは何ひとつ肩代わりしてくれません。曲は10分で作れますが、聴いてもらう仕組みは10分では作れない。
「AI音楽は稼げる」と言っている人は、この部分を既に持っている人です。既存のチャンネル、フォロワー、プレイリストとのコネクション。それを持たない状態で曲だけ増やしても、200曲で3人にしかならない。これが4か月で得た最大の学びです。
5か月目にやること
曲を増やすのをやめます。
代わりに、ジャンルを1つに絞ります。Tokyo Lofi Beatsの系統、深夜の東京をテーマにしたLo-Fiだけを残し、他のシリーズは止めます。200曲を9方向に散らすより、1方向に集中したほうが届くはずです。
アーティスト名をYoru Lofiに統一します。
Spotify for Artistsで、リスナーの国と流入元を確認します。
税務情報を提出して、実際の分配金額を確認します。
プレイリストへの掲載申請を試します。
順番を完全に逆にしていたので、そこを直します。
次回は、実際に使っている音楽生成ツールと画像生成ツールについて書きます。何を試して、何が残ったか。それと、ジャケット画像で詰まった話を。
おわりに
約200曲、月間リスナー3人、収益0.45ドル。4か月の結果はこの通りです。
正直、書くか迷いました。ただ、自分が始める前に一番読みたかったのは成功例ではなく、普通にやったらどうなるかでした。それがどこにも無かった。
なので、ここから毎月同じフォーマットで数字を出していきます。3人が4人になるのか、それとも変わらないのか。良い月も悪い月も同じ粒度で公開します。
同じ地点にいる人の役に立てば。
AIで音楽を作って配信する過程を、数字も失敗も含めて毎月記録しています。続きはフォローで届きます。
─────
この記事は、AI音楽チャンネルを4か月運用した実測記録の1本です。
同じ題材を、曲ができた後の7工程・51個の作業として全部書き出した教材をBrainに置いています。序章から第2章までは無料で読めます。
曲を作る時間より、曲を配る時間のほうが長い(2,980円)
https://brain-market.com/u/youtalibra/a/byYjN2YjMgoTZsNWa0JXY
先に書いておきます。著者はこの方法でまだ収益を出していません。月間リスナーは3人、配信収益は0.45ドルです。「これをやれば稼げます」という教材ではありません。
