
I133:惜しい推しパン
最近、よく買うパンがある。
ベーカリーの「よもぎパン」だ。
生地のもちっとした感じも、
よもぎの香りも好きだ。
でも少しだけ甘い。
たぶん、シロップが塗ってあって、
きなこもかかっている。
「ここだけ、わたし的に『惜しい』んだよなぁ。」
と、心の中で一瞬思うのだけど、
それでも、
またそのパンを買ってしまう。
・・・
人生には、
「惜しい推しパン」がたくさんある。
ここさえなければ。
もう少しこうだったら。
そんな気持ちは、
確かにある。
でも、
その「惜しい」のために、
嫌いなのかと言われると、
そうでもない。
むしろ、
それ込みでも、
好きだったりする。
・・・
パンだけじゃない。
人も。
モノも。
きっと、
自分自身も。
私は昔から、
考えすぎる。
頑張りすぎる。
すぐ疲れる。
昔は、欠点をなくせば、
もっと「わたし」は良くなると思っていた。
もっと強くなれば。
もっと賢くなれば。
もっと上手くできれば。
そんなふうに。
でも、
長所だけで存在している人なんて、
たぶんいないように、
「ここさえ変われば」が、
いつも正解になるとは限らない。
責任感がある人は、
考え込みやすい。
優しい人は、
遠慮しやすい。
思慮深い人は、
立ち止まることがある。
たぶん、
いいところだけを
切り取ることはできないのだ。
・・・
「ここが惜しい」
があったところで、
「まぁ、許容範囲かな」
なんて思いながら、
今日も頬張っている。
それ込みで、愛おしい。
・・・
また、
ベーカリーで見かけたら、
わたしはきっと、
またそのパンを買う。
少し、
シロップやきなこの
少なく見える感じのものを選んで。
完璧じゃなくても、
好きなものは、好きなのだ。