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Photo byyuya185263

【サイヤ人化】みんないったい誰と戦っているんだ…


    こんな経験はないだろうか?

    「それ、美味しいよね。」

    「そうかな? 私は好きじゃないな。」

    ただ、それだけの会話。

    それは本当に小さな溝だったのかもしれない。

    人は不思議な生き物だ。

    「私は好きじゃない。」

    たったそれだけの言葉なのに、

    「美味しいと言った自分」を否定されたように感じることがある。

    だから、理由を探す。

    「いや、あの店は有名だから。」

    「みんな美味しいって言ってるよ。」


    別にケンカがしたいわけではない。

    しかし、口から出る言葉はさも相手を否定するかのようだ。

    重ねるほど、紡ぐほど言葉は少しずつ相手を絡め取り、やがて後戻りできなくなっていく。

    ⸻

    ではこんな経験はあるだろうか。

    動画を視聴し、感想のコメントを書き込む。

    「面白かった。」

    ただそれだけのつもりだった。

    しばらくすると、通知が来た。

    自分の感想に返信があり、煽られ、貶された。

    その瞬間、胸の奥が少しだけざわつく。

    「いや、そういうことじゃない。」

    何かのスイッチが入った気がした。

    気がつけば、指が勝手に動いている。

    正しさを並べている。

    次第に言論は形を変えて、醜い言葉の応酬となる。

    ⸻

    「面白かった。」

    そのコメントを見たその瞬間、胸の奥が少しだけざわついた。

    気がつけば指が動いていた。

    「いや、全然おもしろくねーよw これが面白いとかレベル低すぎww」

    なぜこんな事を書いたのだろうか。

    虫の居所が悪かったのか?

    はたまた、人をバカにするのが好きなのだろうか?

    たぶん、どちらでもない。

    「面白かった。」

    その言葉に、つまらないと思った自分が否定された気がしたのだ⸻。

    ⸻

    気がつけば何時間か経っていた。

    どこの、誰かも分からない相手に。
    面と向かって言えるだろうか?

    おそらく言えない。

    では、なぜこんなことになってしまったのだろうか。

    自己の否定という錯覚から始まり、お互いを否定し合う合わせ鏡なのではないか。

    ⸻

    もはや納得させたいわけではない。
    相手を論破し、黙らせたい。

    相手から返信が来なくなれば勝ちだ。

    言い返せないのは自分が正しいからだ。

    そう信じて言葉が増える。

    相手の間違いを積み上げ、挙句の果てには揚げ足をとりにいく。

    もはや、なんでもありだ。

    全力で攻め立てる。

    ⸻

    しかし、冷静になってみればおかしな話だ。

    電脳世界の匿名の相手に何を求めているのか。

    自分が他人の論争を見る側の立場だったならば、

    「なんか必死だな。」

    そう思ってスルーすることだろう。

    自分に関係のない醜い長文をわざわざ読むわけもない。

    だが、自分事になった瞬間に人は気づけなくなる。

    自分の価値観と自分自身を同化させてしまっているからだ。

    誰だって自分を否定されるのは嫌だ。
    当たり前のことだ。

    だが、現実でここまでの言い合いになるだろうか?

    否だ。

    人は他人事はよく見えても、自分事になると我を忘れてしまうのだ。

    そういう時は、モニターの電源を切ってみることをおすすめする。

    【あとがき】

    実際にこういう経験をされた方は少なくないのではないか?

    要は自己正当化バイアスのお話だが、それ自体は悪くない。

    人間だ。自己肯定感は高い方が良い。

    問題はそれに振り回されてしまうことだ。

    自分の置かれた状況を理解せず、ただただ時間を無駄にしてしまうのは不毛だ。

    それってあなたの感想ですよね?

    そう、ただの感想なのだ。


    モニターは電源が切れると鏡のようになる

     
     
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