
ヒューストンに行き、ロケットは見ない。
じゃあ何のために行くかといえば、出張だ。
ヒューストンといえばアポロ13の「ヒューストン、問題が発生した(Houston, we have a problem.)」が有名だが、我々は何が爆発したわけでもないのに、流れでわざわざアメリカまで行くことになった。
NASA宇宙センターにも行かず、頭の中で「せっかくだからロケット見たいよう」と駄々をこねながらも、涼しい顔でミッションに向かうのである。
移動日は日曜日
ユナイテッド、リクライニングの攻防戦
しかしミッションは初っ端から躓いた。成田に向かう電車が遅延したのだ。手荷物検査でも大幅に時間ロス。それでもなんとかボーディング開始直前にゲート前に到着した。
ほっとして近くのトイレに入ると、隣の個室から鳴き声が聞こえてきた。アメリカ人観光客と思われる女性が、泣きながら誰かと電話している。
「彼女が来なくて…2時間も待ったの。彼女は謝ったけど…。シクシク。ノー、彼女は変わってしまったわ。」
話の全体像が全く見えないが、残り少ない滞在時間で彼女に何か良いことがあると良いな。
機内に搭乗すると、中はギンギンに冷房が効いている。背後に流れる「ラプソディ・イン・ブルー」がいかにも「ユナァイテッド!ステェーイツ!ォブ!アァメェーリカー!!」 という感じで1ドル360円時代のムードが漂う。
離陸まで暇なので周りを見ていると、隣の50代くらいのおじさんが「30代からのMBA」みたいなタイトルの本を座席ポケットに入れている。(しかし、彼は離陸から着陸まで一度もその本を開かず、ずっと映画を見ていた。まあ気持ちはわかる)
斜め後ろの男性は今日が誕生日らしく、CAから何かをサービスされた模様。ウキウキした様子で「時差のおかげで誕生日が40時間続くんですよ」と話している。大人なのにそんな計算をしてるのがちょっとかわいい。
そして、真後ろの席は私の上司。試される座席。しかし、ここで全くリクライニングしないような弱腰で、アメリカ人相手にまともに商談できるわけがない。文句を言われないギリギリまでリクライニングするチキンレースが始まった。


ヒューストン、爆走ドライバー
11時間のフライトの後、ヒューストンに到着した。空気がムワッと、まるで蒸篭のような蒸し暑さだ。
空港からホテルまではUberで移動である。ドライバーは、グレーのレクサスに乗った愛想の良いお兄さん。静かにエンジンをかけたと思えば、猛加速&猛スピード。普通に怖い。しかし、今彼が生きているということは、この運転でも今まで重大な事故は起こしていないということだ。いや、それならフロントガラスのヒビはなんだろう……。
色々考えると怖くなってきたので、スピードを感じないように遠くを見る。デニーズやらマクドナルドやら、日本にあるチェーン店が並んでいるが、カタカナ表記がない。当たり前のことなのだが、本当にアメリカにいるな、と妙な感慨がある。
ガソリンスタンドの看板を見ると、91でガロン3.7ドル(円換算すると155円/L前後)。日本と比べて驚くほど安いわけではない。自国生産でも結局は国際価格で決まるのだ。石油会社はさぞかし儲かっているだろう。
しばらくすると、ドライバーからどこから来たのか聞かれた。日本からというと「いいね、日本とシンガポールに行ってみたいんだ。でも中国は嫌いだ。」と聞いてもないのに言う。話を聞けば、彼はナイジェリア移民で、普段は日系企業の工場で働いているらしい。ナイジェリアと中国の関係については一帯一路くらいしか知らないが、きっと私にはわからない色々な事情があるんだろう。道中少し雑談したが、気の良いヤツだった。いつか日本に来てくれ、と言って別れた。
商売上手なホテル
ホテルは、ガラリア地区のハイアットプレイス。
フロントのお兄さんは感じは良いのだが、声が小さくて何を言っているのか聞き取れない。ソーリー?と聞くと、少し困った顔で「ウェルカムトゥーハイアット」、聞き返すまでもない内容で大変申し訳ない。
チェックイン中にフロント横に並べられたクッキーをチラチラ見てたのがバレたのか、最後に「部屋で食べていいよ」と言ってティッシュをくれた。

このホテルはAIで「トコジラミや騒音のレビューがなく、清潔で出来るだけ新築」という条件で提案させたホテルである。部屋に入るとなるほど確かに清潔だ。ベッドシーツを引っ剥がし、マットレスの縫い目まで確認する。隅から隅まで真っ白。合格。
安心して荷物を開き、一応渋々メールもチェックするか、とPCを取り出した。が、充電器がない。「ない!ないない!!」と探し回った後に、すぐ目の前にあることに気がついた。
「やれやれ」とPCを立ち上げる。デスクの水を一口飲んでよく見れば、「無料」の下にこそっと「エリート会員の方」と書いてある。それ以外の客は6ドル。有料にしたって高級品である。大事にチビチビ飲む。空気とクッキーはタダだったが、水はタダではない、ということだ。先が思いやられる。

月曜日、滞在1日目
ホテルの朝食はセルフサービスである。片付けもセルフなので気軽だ。何よりチップが発生しないのが良い。しかし、よく見れば食べ終わった食器を片づけずに置いて帰っている人がいる。スタッフもいないので、食器はいつまでも放置されていた。

お城のダンスパーティへ
60マイル制限の道を80マイル超で爆走するUber(もちろんフロントガラスにはデッカいヒビ入り)で目的地に向かう。普通に怖い。
今日の訪問先は郊外のオシャレなビルにある。受付でオシャレなコーポレートムービーが流れていたり、トイレの中までオシャレなアメリカンポップスが流れていたりと、要はオシャレな会社なのだ。
その雰囲気ゆえか、同僚からは出張前にドレスコードを聞いておいた方が良いとアドバイスされていた。私は正直「ドレスコードってなんだよ、ダンスパーティじゃあるまいし」と思ったのだが、そうはそうとて他人の意見は聞くべきだ。素直に聞いたら「ドレスコード?Tシャツでもスーツでも何でもいいよ。もちろんドレスでもね?」とうっすら笑われた。うん、まあわかってたけども。
横で聞いていた上司がクスクスと笑っていたので「いや、アイツに聞けって言われたんすよ」と言い訳したが、面倒くさそうに流された。
そしてこの日、訪ねてみると彼らは適当なチェックシャツを着ていた。私のトンチキなドレスコード確認を弄ることもなく、上品なジョークを挟みつつ終始和やかな雰囲気でミーティングは終わった。
昼は先方がランチボックスを用意してくれていたので、ありがたくいただく。中身はビーフサンドイッチ、ポテトチップス、チョコチップクッキーである。どう見ても野菜が足りてないが、もしかしてポテトチップは野菜扱いなのだろうか。たまたま日本語が話せる現地人がいたので、コソッと聞いてみたら、普通にジャンクフードなだけとのこと。身も蓋もない。
にわかソロモン王現る
午後も関係先を回って打ち合わせ。色々あって議論がこじれかけたので、「そんなの離婚する親が子どもを取り合って半分にぶった斬るようなものですよ!」と適当なことを言ったら、相手はなぜか「はあ、ほんならまあええわ」みたいな感じで拳を下ろした。(後で調べたところによると、子どもの取り合い云々はどうやら旧約聖書に出てくる有名な話らしい。へえ、知らなかった。)
お後がよろしいようで、お仕事はお開き。夕食のご招待に与る。高級テックスメックス。
時差ぼけで食欲がないので、ウェイトレスに「一番軽いのを頼む」と言ったら、出てきたサラダがラーメン丼よりデカかった。しかも全体的に濃厚なドレッシングがベットリとかかっている。半分は頑張って食べたが、それ以上はギブアップした。(ちなみに、現地でまともに生野菜を食べるのはこれが最後である。)
ところで食事中、どういう流れだったか、エミレーツのファーストクラスにシャワーが付いているという話題になった。
気になって「シャワー中にシートベルトサインが付いたらどうするんでしょう?」と聞いてみると、真顔で「エミレーツは揺れない。」と返された。曰く「揺れない航路を買っているんだ」と。
嘘か冗談かは知らないが、こちらも真顔で「そういえば行きのユナイテッドはすごく揺れました。きっと航路を買ってないんですね」と返したら“Maybe.” とスーンとされた。
帰る途中、現地のドラッグストア「CVS」で水を買う。ついでに店内で憧れのアルカセルツァーを発見!(よく映画で二日酔いの時に飲んでるやつ!)
興奮していそいそ購入した。

突然の日土交流
レストランからホテルまでUberで帰る。ドライバーがトルコ人だった。運転が優しい。「チャイニーズ?ジャパニーズ?」と聞かれたので「ジャパニーズ」と答えると「トルコ語と日本語は文法が同じなんだよ」と言う。
「もしかしてsubject object verbの順?」と聞こうとしたら、その前に上司がエルトゥールル号の話を始めた。なんだか一方的に美談を押し付けるのも居心地が悪い感じがして、慌てて「トルコもイラク戦争で日本人を助けてくれた」という話で打ち消した。しかし、私の心配をよそにドライバーは「あー、それね」とアッサリ。大人の対応である。同胞の礼にチップを弾んでおいた。
火曜日
朝食に降りて行くと、今日も片付けられていない食器が目についた。それ以外は平和そのもの。パンケーキの最後の一枚を巡る争奪戦くらいはあるかと思っていたが、杞憂だった。パンケーキは潤沢に供給されている。

パンを食べる技術
今日は終日アポイントを取ってある。到着すると、先方は「朝食にどうぞ」とパンを用意してくれていた。クリームチーズが乗ったやつやらハムロールやらドーナツやら、いかにも美味しそうなのだが、残念ながら既にお腹いっぱいである。幸い先方のメンバーがワラワラと嬉しそうに群がっていたので、無理して食べる必要はなさそうだ。
商談が始まると、向こうさんのパンを食べる技術がすごい。パンというのは、けっこうよく噛まないと喉に詰まって飲み込めないと思うのだが、彼らは会話の流れを全く途切れさせずに器用に食べるのだ。他の人が発言しているわずかな時間でモグモグ、そしてさっと飲み込んで発言する。音声だけ聞いていたら、パンを食べているとは気づかないほどスムーズである。こんな嚥下力の奴らには敵わない。
ヒューストンの熾烈なビジネス競争
終日打合せをした後は、先方のアニキオススメのステーキレストランでディナーをご馳走になる。しかし、店内がうるさすぎて目の前の相手が何を言ってるのかさっぱりわからない。アニキが心底愉快そうに身振り手振りを交えて話しているのだが、もう全然聞き取れない。「シベリアでさ……」「……で、もうワヤでさ……」「……だったんだよ、アハハハハ。」
アニキよ。一体シベリアで何があったんだい。

その後、諦めて適当に「ハーン」「ワーオ」「フゥ」みたいな反応でお茶を濁した。本当に何も聞きとれなかったんだけれども、それでもアニキは終始楽しそうだった。良いやつだ。
ディナーが終わると、アニキが(軽くワインは飲んでいたが)車でホテルまで送ってくれた。信号待ちの間、ライバル会社のロゴの入った巨大なタンブラーでドリンクをごくごく飲むアニキ。「うちのやつより使いやすくて良いんだよね、コレ」と言って愉快そうに笑う。
アニキよ。君は一体どうやってそんなヤバいブツを手に入れたんだい?
水曜日
朝食。今日も食器を片付けていないやつがいる。しかし、コレを見るのがちょっと楽しみになっている自分がいる。もし明日片付けられていたら少し寂しいな。

意味深なバナナ
Uberを呼ぶと、でっかいアメ車がやってきた。サッカーボールのステッカーを車両のあちこちに貼り付けて、実にお楽しみの模様である。
しばらく進むと、ドライバーが前方に黒人のホームレスを認めて「彼にバナナをやる」というのでギョッとした。アメリカで黒人にバナナを食わせるのは、ちょっとシャレにならない差別表現なんじゃないだろうか。
しかし、車を路肩に止めて窓を開けると、ホームレスは勝手知ったる雰囲気で近づいてくる。ドライバーはさっとバナナを渡すと「Have a nice day!」と発車した。そして、あんぐりと見ている私に気づいたのか、「お金を渡すとお酒やドラッグに使ってしまうから、食料を渡すんだ」と淡々とした調子で説明した。
つまりは、完全に私の早とちりだったのだ。罪悪感と恥ずかしさを隠すように「Oh!なるほど!ナイス!」と言ったものの、言葉が続かずに気まずい空気が流れた。
そのうち道路が混雑してきて、遂には渋滞に巻き込まれた。原因は反対車線で起きたトレーラーの横転事故らしい。みんなが事故現場を見るためにゆっくり走り、事故現場を通り過ぎると急に流れ出す。こういうところは日本もアメリカも同じだな。俗にいう野次馬根性ってやつだ。
Houston, we have some problems.
訪問先では、うっかり余計なことを言って語るに落ちたり、渾身のボケが滑ったり、眠気覚ましにコーヒーをいただき過ぎてお腹がグルグルになったりと、辛いお仕事を片付けた。ありがたいことに、お土産に宿題までたくさんいただいた。
想定より用が早く済んだので、ホテルの部屋に戻って仕事。社畜たるもの、米国出張といへども日本の通常業務も片付けなければならぬ。
しかし、夕方になるとどうしても眠くてたまらない。15分だけ仮眠するつもりで横になるとそのまま熟睡し、目が覚めたのは夜中の3時だった。お腹は空いているが、時間も時間なので仕事をしながら朝食時間を待つことにした。
日本へ事務的なメールを送ると、しばらくして「米国ですよね。時差ボケ大丈夫ですか?ちゃんと休んでくださいね」と返事が来た。特にそれほど近い関係でもないのだが、彼には生涯親切にしようと心に誓った。
木曜日
念願の朝食。ちょうど上司が朝食を終えて部屋に戻るタイミングであった。テーブルには食器が残されたまま。いつも食器を片付けない犯人は彼だったのだ。

午前中はそのままホテルで仕事をして、昼は近くのアルゼンチン料理屋でエンパナーダ。美味しい。いや、本当に美味しいんだけど、さすがにそろそろ新鮮な野菜が食べたい。緑の葉っぱをワシワシ食べたいのだ。

訪問先に向かう途中、黒塗りのデカい車が日の丸をはためかせて爆走していった。日本の政治団体もアメリカに出張してきているのかとドキドキしていたら、その後にフランスやドイツやメキシコの国旗をはためかせた車が続く。どうやらワールドカップ応援団らしい。強豪国の国旗を、我らが日の丸が先導していたのが何やら誇らしい。
ちなみにメキシコの車などは、お姉ちゃんたちが体を外に乗り出して窓枠に座り、陽気に「イェーーーイ!フゥーーーッ!!」とかやってた。楽しそうでなによりだ。
オフィカジ問題は奥が深い
さて、今日訪ねて行くのは、妖精が住む泉のような美しいペールブルーの瞳を持つ太ったオジサンと、バリキャリお姉様である。
オジサンは会社のロゴ入りポロシャツを着ていた。このロゴ入りポロシャツ、アメリカのビジネスマン(というかオッサン)がよく着ている。思うに、あれは服に興味のない人が愛社精神に見せかけて手抜きをするための最適解なんじゃないかと踏んでいる。
一方、お姉様はカーキの半袖セットアップに凝った装飾の白いTシャツ。抜け感絶妙なオフィカジで実にセンスが良い。ドラマに出てきそうなオシャレなビジネスパーソンという感じ。この辺りは個性だな。

政治と宗教と野球
打合せで和やかにバチバチやった後は、バリキャリお姉様オススメのイタリアンに連れていってもらう。先方の会社からもう何人か合流し、屋根の保険の話からワールドカップ、そして野球の話で盛り上がった。リーグが違うヒューストンでも話題に上るオオタニサン。きっとデコピンも鼻が高かろう。
その後トランプの話を振られたので、「日本では宗教と政治と野球の話をするのは禁止なんだ」と悲しい顔で答えたら、その日一番の爆笑を取った。
なお、その日一番野球の話をしていた上司だけはポカンとしていた。
たくさん食べてお腹いっぱいだったのだが、お姉様からデザートを勧められた。なんとなくティラミスか気になったが、お姉様の「アメリカといえばキーライムパイよ」との一言でキーライムパイに。
しかし、出てきたのは思ってたのと全然違う(そして多分米国でも一般的ではない)形状の謎のシロモノである。しかし、食べてみれば実にうまい。ガツガツと平らげた。
お姉様は勧めたわりには「あら、完食したのね」と意外そうな反応。オジサンだけは「うまいだろ?うまいよな」と美しい瞳を輝かせて共感してくれた。ああ、うまかったぜ。

ちなみにこのオジサン、ビールが大好物らしくて、見ていると10杯くらいは飲んでいた。そんなに飲んでも全然態度が変わらなかったのだから、我々のようなALDH不活性な大和民族とは肝臓の作りからして違う。
もっとも、彼と初めてリモート会議をした時は少し様子が違った。オジサンが「イエース」だの「オォゥケーイ」だのと妙に母音を伸ばして喋るので「ほほう、なるほど。これがテキサス訛りというやつか」と感心していたら、後で単に酔っ払っていただけだと判明。米国はまだ19時であった。一体どれほど飲んだのだろう。この時ばかりは彼の瞳の中の泉もドロンと濁っていたに違いない。
金曜日
滞在最終日、朝食で上司に遭遇した。やはり彼は食器を片付けず、「じゃ、お先に!」と颯爽と去っていった。何の曇りもない実に爽やかな笑顔であった。

シュレーディンガーのジャンクフード
訪問先でハチハチとプロレスごっこを繰り広げたり、それが綺麗に帰着して一同満足したり、突然始まった「ワサビはスパイスか論争」に困惑したりしているうちに、午前中のお仕事は終了。
土産(宿題)までいただいた上に、先方は気を利かせてランチボックスまで用意してくれていた。
しかし滞在初日のランチボックスの記憶が蘇る。シュレーディンガーのアレ的に言えば、箱を開けて観測するまではジャンクフードとヘルシー野菜サラダが重ね合わせの状態にはある。しかし、箱を開けてしまったら、中身が何でも食べないわけにはいかない。丁重に断り訪問先を辞する。
これで米国での予定は全て消化した。
外に出ると、太陽がちりちりと眩しい。近くのケイジャン料理レストランに入り、ナマズ(Catfish)のフライを挟んだポーボーイサンドイッチとガンボを注文した。大口を開けてかぶりついたナマズサンドは、意外にもクセがなくて美味しい。


Uberで空港に向かう間、上司から色々と指示を受けたが、車に酔うのでメモも取れない。一応全部覚えたが、1個ぐらい忘れてても許されよう。指示の出し方が悪いのだ。
さあ日本へ帰るよ
飛行機の時間までユナイテッドラウンジで時間を潰す。クッキーが最後の一枚だったので、慌てて取ろうとしたら目の前でおばちゃんに掠め取られた。グヌヌとソファに座って見張っていると、すぐに補充されたので、すかさず入手。アメリカ人、本当にクッキー大好きだな。

ユナイテッド国内線、ほどよいカオス
帰りはLA経由である。例のラプソディ・イン・ブルーを聞きながら搭乗。
荷物を収納してトイレに向かうと、オッサンCAにすれ違い様に「はあやれやれ、離陸もしないうちからトイレですか」みたいな顔をされた。うるせえトイレくらい好きに行かせろ。
ちなみにトイレの扉はロックが固く、最後まで閉まり切らなかった。仕方なく誰かに開けられる不安と戦いながら、薄暗く青い照明のまま用を足す。屈辱。
離陸してしばらくすると、ドリンクサービスが始まった。CAに緑茶を所望すると、ティーバッグを雑に投げつけられた。続いて渡されたぬるいお湯に、いじいじとティーバッグを浸し、ボケた味の薄緑の液体をすする。緑茶というより、緑茶の香りの白湯である。
そのままウトウトと眠り、目が覚めると既に着陸していた。全然気づかなかった。グレイトなソフトランディング!
不戦勝のリクライニング
到着したLAXは工事中、まさにLAトランスフォーメーションである!
案内に従って国際線ターミナルに向かうと、工事のせいか途中で進めなくなり、来た道を戻ったり、文字が小さすぎて読みづらい案内図を解読したり、陽気な係員を捕まえて尋ねたりしてなんとか国際線ターミナルにたどり着いた。ヒューストンと違って湿気も低く、ひんやりしていて良い気候である。
LAからはANAに乗る。ユナイテッドと比較すると面白味には欠けるが、安心感は抜群だ。CAは皆優しいし、一つ一つの所作が丁寧である。間違ってもティーバッグを投げて寄越したりしない。機内も清潔だし、空調も体に優しい。乗客も訓練されている。欠点といえば面白味に欠けるくらいだ。
幸い後ろの席には誰もいなかったので、心置きなくリクライニングして目を瞑る。
眠りに落ちる前にふと、行く前より仕事が増えた気がしたが、月曜までは見ないふりを決め込むことにした。
Houston, we had NO problem.

おまけ
そして私の土曜日は日付変更線の隙間に消えた。

終わり