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鬱の怪物

    『次のニュースです。〇〇本社前にて怪物化現象が発生しました』
    「また怪物か…」
    テーブル越しにニュースを見ていたパジャマ姿の少女は、朝ごはんを食べながらぽつんと呟いた。
    怪物化現象、数ヶ月前から突如人類に発生した原因不明の変異現象だ。
    『昨日昼過ぎ、〇〇本社ビルから出たと思われる男性が突如怪物化し、通行人と警備員数名を死傷させる事件が発生しました』
    監視カメラの映像では、鞄を手にサラリーマンが道端で項垂れており、少ししてうずくまったと思えば、身体が徐々に醜く変異していく様子を映していた。
    『怪物は通行人数名と警備員3名を襲った後、通報を受けた警官隊によって鎮圧され…』
    「朝から気分悪いニュース流さないでよね」
    テレビを消してごちそうさまと手を合わせ、立ち上がって食器を片付ける。洗い物と歯磨きを済ませ、制服に着替えた少女は、鞄を手に玄関のドアノブに手をかける。
    「行ってきます」
    高校の入学式に撮った両親との記念写真にそう言って、ドアを開けた。

    キーンコーンカーンコーン
    4限目が終わり、昼休みを告げるチャイムが鳴った。
    少女は今日までのレポートを取り出し、書き残していた最後の数行に取り掛かる。
    「社会科の先生、毎度毎度面倒な長文課題出すから時間が…、あっ」
    残り十数文字というところでボールペンのインクが切れた。
    「嘘でしょ〜」
    替えのペンを探しに、筆箱の中をガチャガチャと掻き分けていると、奥にひとつの年季の入ったボロボロのペンが目に入る。少女は神妙な面持ちで手に取り、デフォルメされたネコの頭のノックを押し込んで、レポートを書き上げる。
    「よし、終わり」
    レポート提出と購買へ向かいに少女は教室を出たところで、購買から小走りで帰ってきた女子グループとぶつかりそうになる。
    「あっすいません」
    「チッ、前見て歩けし」
    3人に睨まれ、すぐに脇に逸れると「マジ邪魔」と言いながら教室へ入っていく。彼女達は素行不良で有名で、髪染めや過度なメイクもあり生徒指導の常連だ。今日も4限目の途中にお手洗いと称したサボりに抜け出していた。面倒なのに絡まれちゃったと少女は思いながら、レポート提出に向かう。

    余り物のコッペパンを片手に少女が、いつもの3人が騒がしい教室に戻って席に着いた。レポートを書き終えたままの机の上を片付けようと、インク切れのボールペンを手に取ろうとしたとき、少女は違和感を覚える。すぐに筆箱の中身を確認し、机の中や下を覗き込む。
    「無い…」
    使ったネコのボールペンが見当たらない。少し焦りながらもあたりを見渡すが、床には落ちていない。物陰に入り込んだかもと歩き回って探していると、ゴミ箱の中にあのネコの頭を見つける。急いで惣菜パンの包みを退かすと、油とソースで少し汚れたペンが出てきた。
    「ぁあ…」
    すかさず拾い上げ、ポケットティッシュで拭いていると、後ろのあの3人が笑い始める。
    まさかと思い振り返ると、大袈裟に「ウケるんですけどぉ」と振る舞う。
    「これやったの、アンタたちなの?」
    「そだよ、あんまりにも汚かったから捨ててあげたの」
    「ふざけないで」
    「ふざけるも何も高校生にもなってそんなボロくて小学生が使うようなの持っとく方が変じゃ…」
    そう言われる間に少女は無言でつかつかと詰め寄った。
    「え?な、何?」
    「謝ってよ」
    「は?」
    「だから謝ってよ」
    「はぁ?嫌ですけど。大体そんなゴミ大切に持ってる方がおかしいじゃん」
    その言葉で少女の張り詰めてた何かが切れた。


    「それで殴っちゃったんだ」
    「…はい」
    少女は応接室で担任から事情聴取を受けていた。
    「ッスゥー…。まぁあなたの事情もわかるけど、暴力はダメだよ暴力は」
    「…はい、わかってます」
    「校則は校則だから、明日から停学して頭冷やしなさい。親御さんにも連絡入れておくから」
    「…はい」

    ことがことなので早退し、少女は小学校低学年達とすれ違いながら、トボトボと帰っていた。手にはあのペンを、母から貰ったネコのボールペンを大切に握っていた。
    「ごめんなさいお母さん」
    ネコの顔と目を合わせながら、少女は懺悔した。
    「人殴って3日も停学になっちゃった」
    夕日の影で、ネコの顔が少し悲しそうな表情を見せる。
    「私、誇れるような立派な大人になるって約束したのに…」
    このペンは元々、お母さんが子供の頃におばあちゃんにねだって買ってもらった誕生日プレゼントだった。大人になってお父さんと結婚して、私が産まれた後もずっと大切に使い続けてたところを、今度は小学生の私が欲しいとねだったのだ。お母さんはそんな幼い私に、ふたつの約束を守ることを条件に、そのペンを譲ってくれた。
    「じゃあ約束、ひとつは無くしたり壊したりせず、大切に使うこと」
    「うん、ぜったい大切に使う!」
    「もうひとつは立派な大人に育つこと」
    「立派?」
    「そうねー、誰にでも誇れるようなちゃんとしたお姉さんになることかな」
    「わかった!ちゃんとする!」
    「それじゃ指切りげんまんしよっか」
    「「ゆーびきーりげーんまーん嘘ついたらネコちゃんペンかーえす!ゆびきった!」」
    「はい約束のネコちゃんペンです」
    「ありがとうママ!大切にする!」
    その日以降、私の筆箱にはネコちゃんペンが常駐し、ボールペンが必要なときにはいつも使っていた。ただ劣化には抗えず、徐々にボロボロになっていく姿に、ここ数年は壊してしまうのが怖くて、使うのを控えていた。それでも、ただしまっておくのも寂しく、今日みたいに出番が回って来ることもあるから、切り札兼お守りのように変わらず持ち歩いている。
    「ただいまー」
    少女は自室のベッドに倒れ込むと、スマホを見て父からのボイスメッセージが入っていることに気づいた。
    「お父さんにも迷惑かけちゃったな」
    メッセージを再生し、携帯を枕元へ置いた。
    『もしもし父さんだけど、学校から事情は聞いたよ。災難だったな、まさか高校生にもなってそんな真似する奴が居るなんてなぁ。俺だったらもっと手が出てたよ』
    「お父さんもダメじゃん」
    父の声は明るく笑いながらも、呆れと怒りが混じりあっていた。少しの間の後、その声色は優しく諭すように変わる。
    『まぁ、暴力に訴えるのは褒められたことじゃないからなぁ。今度そういうことをされたときは、一旦冷静になって、とことん拒絶しなさい。相手に乗せられたら負けだと思え』
    「そうだね…お父さん」
    『もっと酷いことをされそうになったら、最大限抵抗するだけでいい。そうしたら、相手が一方的に悪くなって終わりだ』
    「うん」
    『ごめんな、父さん今日も帰ってやれなくて。まだ仕事が片付きそうに無いや。その分頑張って稼ぐから、今日は美味しいものでも頼んで、腹いっぱいにして元気出すんだぞ』
    それを最後に父からのボイスメッセージが終了した。
    「お母さんも言ってたな…、嫌なことあったら沢山美味しいもの食べて忘れろって」
    ベッドから起き上がって、リビングに置いてあった出前のチラシを手に取り眺める。特に食べたいものも思いつかない中、並ぶ食費数日分にもなる値段にげんなりする。
    「贅沢なんて、お金無いくせに…」
    私の学費に数ヶ月前の出費、お父さんが見栄張って買ったこの家も、あとどれだけローンが残ってるんだか。少女はチラシを置きキッチンに目線を移す。だが、自炊する気力も沸かなかった。
    「でもいいって言ってたし、お言葉に甘えちゃおうかな」

    少しお高めの夕飯を済ませ、作業用BGMを流しながら課題を進めていると、前のクラスメイトの友達から心配のメッセージが来た。どうやら同学年では話題になっているらしい。
    「まぁ顔面殴って停学だもんなぁ」
    とりあえず大丈夫と返信し、課題に戻る。少しして、ボールペンを手に取って書こうとしたところで、インクが切れていることを思い出す。替えのペンを探していると、また少し汚れてしまったネコちゃんペンが目に入った。大丈夫とは思っていても、少し怒りが再燃してくる。
    「はぁ…」
    ふと、時計に目をやると、9時を回りそうになっていた。
    「もうこんな時間か」
    風呂に入り髪を乾かし、歯を磨いてパジャマに着替え、時間は10時過ぎ。いつもの寝支度だったが、頭はずっと今日のことで悶々としていた。
    あのペンがただのペンなら、少女も一線を越えなかった。だが、あのペンは、今は亡き母との大切な繋がりなのだ。

    数ヶ月前、怪物化現象が起き始めた頃、母の勤め先で怪物化現象が発生した。突然のそれに社内は恐怖と混乱に飲み込まれ、冷静な避難ができずに社員の大半が犠牲となった。数分後に特殊部隊によって怪物が鎮圧されたのち、救急隊による遺体の回収作業が開始され、遺体の身元確認の連絡が父にも入る。急いで駆けつけた父は遺体と対面すると、その場に崩れ落ちた。頭部を潰されたそれは、首にかけた社員証と結婚指輪が、愛する妻であることを証明していた。
    父は数日間寝込んでから、何とか気を取り直すと、お葬式を開くと言い出した。相次ぐ怪物被害でどこも空きのない中、相場以上の大金を叩いて何とか取り付け、当日は何事もなく行われた。参加者の人数に対して、斎場は広く寂しかったが、父はこれで母をちゃんと見送れると前向きだった。
    諸々が終わって日常生活が戻ってきたが、母が居なくなった影響は大きかった。父は残業や仕事の掛け持ちで帰れないことも珍しくなくなり、身の安全を考えた父にバイトを辞めさせられた少女は、家事と学業に専念するようになった。

    11時過ぎ、ベッドに横になっても少女は眠れず、スマホを眺めていた。友達からの話によると、ペンを捨てた主犯も明日は停学になったそうだ。ことの発端ではあるが、暴行を受けた被害者だからか、この処遇らしい。なんとも腑に落ちないけど、そういうものだと納得するしかないのだろう。それよりも、お母さんとの思い出が今になって湧き出て、嬉しくもしんどかった。
    何気ない日常会話や買い物だったり、夏祭りに海やテーマパークとか旅行しに行ったり。今の家事スキルは、嫁に出しても恥ずかしくないようにって教え込まれたっけ。そういえばペンを貰って以降、お姉さんポイントなるものが導入されて色々あったな。毎日ちゃんと宿題を終わらせたり、家のお手伝いをしたらどんどん溜まっていって、友達と喧嘩したり悪いことをしたときに減らされて、ゼロになったらペンを返す約束だったっけな。一時期ゼロになりかけて、泣きじゃくりながら必死に謝りまくったっけ。卒業式と入学式は大体泣いてたよね。今の高校は第一志望ではあったけど、そこまで偏差値高くないのに受かったときにめっちゃ泣いて困ったなぁ。
    「お母さん…」
    もう、会えないんだよね。今更になって実感が湧いて、目頭が熱くなる。葬式のときにも確かに悲しかったけど、あんまり泣けなかったのに。

    染みのできた枕を洗濯し終え、干した洗濯物が乾ききった頃、家のチャイムが鳴る。担任が3日分の授業内容のプリントと課題を纏めて持ってきたようだ。
    「うげ、結構ある」
    「置いてかれないように各教科用意してもらったから、停学明けまでにサボらずやっておくようにな」
    「はーい」
    その日は今日の授業分で勉強時間が消し飛んだ。
    停学2日目、昼頃友達から例の女子達の様子が報告される。どうやら反省するどころか、私への恨みを募らせているようだ。停学明けには気をつけないとマズそうだ。
    停学3日目の夜、お父さんが数日ぶりに帰ってきた。「ただいまー」
    「おかえりなさい。って、どうしたのそれ?」
    鞄を持つ反対の手には、スイーツ店のロゴ入りビニール袋があった。
    「今日で停学終わりだから、復帰の景気づけにケーキ買ってきた」
    「もう、そんなお金使いしてていいの?ローンだってまだまだ残ってるでしょ」
    「いいのいいの、日雇いと残業代で充分稼げてるから」
    「やっぱり私もバイト、再開しようかな」
    「ダメだ。お前まで居なくなったら俺…」
    「それは私も一緒なの!お父さんこんなにくたびれて」
    「すまないけど、お前が自立するまで育てきる。それが親としての義務だ」
    「でも!」
    「心配してくれてありがとうな。大丈夫、無理はしないから。それに最近になって、そこそこ余裕出てきたところだからさ」
    「じゃあ約束してよ、これ以上無理しないって」
    「もちろん。ほら、ケーキ食おうぜ」

    翌日の朝、私が起きるよりも早く、お父さんは出勤していた。いつも通り洗濯と朝食を済ませ、制服に着替えて鞄の中身を確認する。教科書とノート、課題の入った封筒に昼食用の小銭入れ。
    「忘れ物は無いね」
    最後に筆箱の中のネコちゃんペンと目が合い、ひとつの迷いが生じた。このペンを家に置いて行くかどうかだ。
    「…………」
    また同じ目に会う可能性と、ずっと一緒にいたい気持ち。理性と感情が相対する中、少し悩んでペン取り出すと、鞄の内ポケットに忍ばせる。
    「さすがにここなら大丈夫でしょ」
    鞄を持って家族写真に行ってきますをし、私は3日ぶりの学校へ歩み出した。

    教室に着き荷物を置いた私は、課題提出の為に封筒を手に職員室へ向かう。その途中、例の女子達とすれ違ったが、特に何も無く彼女達はそのまま教室へと向かっていった。なんか、拍子抜けした。各教科の先生のチェックを終え、担任との軽い面談をした後、ホームルームまでまだ少し時間のある教室に戻った。

    「え?」

    目に入ったのは床に散らばった筆箱の中身に教科書やノート、荒らされたそこは紛うことなき私の席だった。
    「嘘…」
    そして机の上には、真っ二つに折られたネコちゃんペンが、見せしめのように置かれていた。急いで駆け寄って拾い上げるも、既に修復不可能なまでに破壊されており、破片がボロボロとこぼれ落ちそうになる。
    「あ……、ぁ…ぁあ……」
    その後ろで犯人が高らかに笑い、少女はぎこちなく振り返る。
    「あーあ壊れちゃったねそのゴミ」
    「………」
    「またわざわざ持ってくるとか当てつけがすぎるんですけど。しかもカバンの奥に隠してさ、アタシのこと舐めてるでしょ」
    「………」
    「言っとくけど、おあいこだかんね?アンタに殴られたとこまだ痛むし、オヤジにもガチギレされて反省文も書かされて…おい、何とか言えよ気持ち悪い」
    少女は何も言わぬまま、残骸を手にトボトボと歩き出し教室を出ていく。
    「何なのアイツ、意味わかんな」
    少女はそのまま下駄箱を上履きで通過し、門を出て宛もなく歩き続けた。帰宅路と違う道を真っ直ぐただ歩き、気づけばコンクリートの河川敷に座り込んでいた。
    「…めんなさい」
    ペンの残骸を両手に持ち、少女は泣き崩れた。
    「やくそく…、また…、まもれなかったぁ゛」
    壊したり無くしたりしないという、もうひとつの約束。それを朝の判断ミスで果たせず、少女は自責の念に駆られていた。
    「わたしが…わたしっがっ…ぁあぁぁぁ…。おかぁさあぁぁん」
    震える指がネコのノックに触れ、ポロッとこぼれ落ちた。
    「…あっ」
    遅れて少女が手を伸ばすも、斜面を転がって川へ落ちる。虚しい水音に飲み込まれ消えていき、残った残骸も足元に散らばっていた。あまりのショックに思考が停止し、絶望が全身を包み込む。そんな少女の中で、何かが手放された。
    皮膚や骨格が醜く歪み始め、体表は赤黒く変色し血管のようなものが複雑に浮き上がる。骨格は膨張し脚は獣のようになり、腕と頭はまるでペン先のように鋭利なものに形を変えた。その怪物には元の面影も無く、足元に散らばるペンと衣服の残骸だけが彼女であることの証明だった。怪物はのそのそと少女の歩みを逆行し始めると、その前には杖を突いたお婆さんが立っていた。
    「あんさん、大丈夫かね?」
    怪物より遅い足並みで歩み寄るお婆さん。彼女は河川敷での少女の一部始終を見ていた。
    「ほれ、飴でも舐めるかい?」
    よぼよぼのその手には、塩飴がひとつ握られていた。お婆さんにとっては怪物が、変異前の少女と変わらないように見えていた。前の少女であれば届いたかもしれない。
    「カ…ェ……シ…テ……」
    だが、怪物には届かなかった。
    「カエシテェ!」
    直後、怪物の頭がお婆さんを貫いた。遺体が力なく自重で抜け落ちると、その様子を見ていた通行人が慌てて逃げ出した。
    「怪物だ!急いで逃げろ!」
    通行人や車が全速力で怪物から離れていく、そんな空いた車道の真ん中を、項垂れた怪物がゆっくりと前進する。そうして、誰も居ない青信号に差し掛かったとき、1台のトラックが飛び出して怪物を跳ね飛ばした。エアバックに顔を埋めたドライバーは、怒りのあまり窓から身を乗り出した。
    「なんだよあぶねーじゃねーかバッキャロー!…か、怪物?!」
    アスファルトに這い蹲る物の正体に、慌ててトラックを捨て逃げ出した。
    「ィ……タイ…」
    怪物は体表を擦りむき、赤い体液を流すものの、立ち上がって進行を再開する。すると今度は複数台のパトカーが怪物を取り囲み、出てきた警官が拳銃を向ける。
    「止まれ!」
    「動くな!」
    静止命令にも怪物は止まらず、警官が発砲を開始する。何発か命中したものの、腕や頭の鋭く硬化した部位には効果はなく跳弾してしまう。胴や脚に当たっても、大きな効果が見られなかった。
    「ライフルを使用する!」
    警官の1人がスコープ付きの猟銃を取り出し、他の車両が後退していく。怪物の後方を陣取った警官は、ヨロヨロとした怪物の胴体に狙いを定めて、引き金を引いた。大きな銃声とともに怪物の背中が小さく弾け、怪物がよろける。しかし、まだ止まらない。また数発の弾丸が撃ち込まれ、次第に怪物の姿勢が低くなる。そして、マガジン最後の弾丸が怪物に直撃すると、怪物は地面に倒れ込んだ。怪物の無力化に成功した警官達は、状況確認と封鎖の為に駆け回り、赤い体液に塗れた怪物は小さく呟いた。
    「イタイ……、イタ…イ……、カ…エ……シ…テ……、オカ…ア……サ…ン………」

    『今日9時頃、××高校近くで怪物が発生しました。今回の事件で通行人1人が死亡、怪物に衝突したトラックの運転手が軽傷を負い、その後到着した警官によって制圧されました。警察の調査によりますと、怪物化したのは××高校の生徒と見られ、一度教室まで登校した後、この離れた現場付近に移動したとのことです。直前に生徒間トラブルがあったことなど、事件との関連性があるか現在調査中です』

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