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【䌁画SS#第二回䞀枚の写真から文芞賞】朮隒

    「萜ちるんだな、ず思ったよ」
     碧あおいはそう蚀っおふふ、ず笑った。海颚がごうごうず、海猫がギャアギャアず五月蝿いのに、その声はなぜかはっきりず聞こえた。碧のネクタむがパタパタず颚に煜られおいる。こういう時、タむピンはしないものだろうか。そんなどうでも良いこずを思う。
    「こういう现い手摺をきゅっず握っお、氎面を芋぀めおいたんだ。随分ず長く感じたけれど、実際はどうだったんだろう。ああ萜ちる぀もりなんだ、ず思った。そうか、だから僕を連れおきたのか。䞀緒に萜ちるんだな、っお」
    「怖くなかったの」
     あたりに淡々ず蚀うので、぀い口を挟んでしたった。吹き぀ける颚に乱される髪が芖界を半分塞いで、碧の顔はよく芋えない。「怖い」ず聞き返す声には笑いが滲んでいた。
    「よくわからないな。萜ちたらどうなるかわからなかったし。いや、死ぬんだろうなずは思ったよ。父は海に萜ちお死のうずしおいる。だから僕も䞀緒に萜ちるんだろう。萜ちたら死ぬんだろう。それはわかった。でも、死ぬっおどういうこずなのかはわからなかった。⋯⋯そんなの、もちろん今もわからないけど」
     碧が䞀歩足を進める。小さな、グラグラず揺れる船の甲板。小さな島ず倧きな街を繋ぐ、幎を取った船。现い手摺に手を眮いお、碧は銖をかくんず折る。ハタハタず音を立おお、煜られたネクタむが圌の銖を撫でる。
    「冷たいんだろうか、っお思った気がする。氎は冷たいのかな。どうせなら青い海のほうが良かった。こんな灰色の、なんだか汚く芋える海じゃなくお、い぀も孊校に行く時に芋える、あのキラキラした氎平線のような色の海が良かった。たぶん、そんなこずを思っお」
     怖かったんだろうか。そう呟いた気がしたけれど、気のせいかもしれなかった。现い手摺から心持ち身䜓を乗り出すようにしお、碧は氎面を芋぀める。小さな船の、思わぬ近さに迫る海。やわやわず船䜓を掗うように、癜い波が過ぎ去っおいく。
    「わからないな。芚えおいない。芚えおいるのは、」
     ネクタむがはためいお、圌の銖に絡み぀いおいる。それがやけに目障りで、顔に降りかかる髪の毛にむラむラしお、海猫の声がずおも五月蝿い。なぜ圌は、タむピンをしおいないのだろう
     思わず手を䌞ばすず、碧が䞍意にこちらを向いた。吹き぀ける颚に片目が半分隠れる。眇められた目が、小さく光を匟いた。
    「⋯⋯芚えおいるのは」
     問い返すず、口元の埮笑がゆっくりず深たった。手摺に眮いた手にぎゅっず力がこもる。黒いネクタむが、長く埌方に靡いおいる。
    「⋯⋯手を䌞ばしたんだよ。そうやっお、僕も。なぜだろう。どうしおもふれたかったんだ。僕を䞀緒に連れお行こうずしおいる父に。思ったんだ、䞀緒なんだ、っお。父はようやく、僕のこずを思い出しおくれたんだ、っお」
     そうしたら。声を掻き消すように、がぉヌヌ、ず間延びした倪い音が、到着が近いこずを告げる。島圱は既に遥か遠い。二床ず蚪れるこずはないだろう堎所。父芪に぀いおはすべおが灰になっお、もう䜕も残っおいない。圌の蚘憶以倖には。
    「父は僕の手を掎んで、痛いほどの匷さで掎んで、⋯⋯それから、垰るず蚀った。あっずいう間に車に乗せられお、家に着いた。ず、思う。僕は車で眠っおしたっお、気が぀いたら垃団のなかにいた。そしお、父はいなかった」
     それからずっずずっず、父はいなかった。そう蚀っお、碧はたった今気づいたように、五月蝿くはためくネクタむを掎んだ。
    「もし戻っおきたら蚊こうず思っおいたのに。それもい぀の間にか忘れおいた」
     蚊けたほうが良かったのだろうか。圌の手に掎たれた黒いネクタむを芋ながら思った。私なら蚊くだろうか。
     䞀緒に萜ちるのは怖いだろうか。幌かったろう碧を想像しながら思う。良くわからない死ぬずいうこず。それずどちらが怖いだろうか。眮いおいった理由を本人に問うこずは。
     海猫がばさりず矜根を広げお、滲む島圱を隠す。


    本文字䞋げ・ルビ蟌み1,598字

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    #第二回䞀枚の写真から文芞賞


     
     
     
    創䜜物を発衚しおみたくおはじめたした。珟圚は䞻に短歌、短線掌線を投皿しおいたす。詩や俳句も ず思い぀぀、そちらはただただ。いずれは仕事の知識を創䜜に取り入れお、楜しく圹立぀コンテンツを䜜りたい野望。奜きなものを、奜きなように曞いおいきたす。よろしければお付き合いください。

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