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JSTを掎め#7 ゚ピロヌグ

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

    ゚ピロヌグ

    愛おしい蚘憶

     倫が亡くなっおから、これたで男性にずきめくこずはなかった。しかし、陜翔は別だった。初察面のずきも、そうだった。離れ難い愛おしさを陜翔に感じ、躊躇なく綟銙から飲み䌚に誘った。だから、暹が陜翔を連れおきたずき、心臓が飛び出るほど驚いた。倫ずは違う異性ずしお、陜翔に奜意を持っおいたこずを思い出したからである。結婚しおいたのに、劊嚠もしおいたのに、最初から陜翔に惹かれたこずを思い出したからである。

     成田空枯駅は、綟銙の家の最寄り駅である新町䞭倮駅から぀目である。途䞭に、陜翔が䜏んでいる氎沌駅がある。やたしさを感じながらも、月に陜翔を実家に招いおから陜菜乃が保育園に行っおいる間に、綟銙は回、氎沌駅に行った。行動的であるこずに、自分も驚いた。

     最初は、陜翔がステヌション勀務に就くずいっおいた土曜日の前日、先々週の金曜日の午前である。陜菜乃を保育園に送っおから、思い立っお陜翔の䜏んでいる街に行った。駅を過ぎるたびに胞の高たりが増加した。
     氎沌には、時間もいなかった。マンションが䞊ぶ通りを歩き、駅から少し離れたずころのスヌパヌを芗いた。陜翔に最初に䌚ったずきのずきめき、湧き䞊がるように感じた陜翔ぞの思いを、隠しごずのように思い出しながら歩いた。
     回目は、先週の氎曜日の午前である。前日、暹に教えおもらった陜翔のマンションに行き、陜翔に近い空気の䞭にいたいず思った。䜏所は、暹に気持ちを悟られるかもしれないず思いながらも、実家から届いたものをお裟分けしたいので、送り先を知りたいずいう口実で蚊いた。
     陜翔のマンションの前を通るずき、埌ろめたさを感じお、思わず呚りを芋回した。その日は、『陜翔さんも買い物に来おいる店』ず思いながら、金曜に来たずきに芗いたスヌパヌで買い物をしお垰った。

     月の保護者䌚が始たる前の雑談で、倫婊の盞性が話題になった。劻ず盞性が合わないずか、倫が私に合わせおくれおいるずか、䌌たもの同士で家を建おるずきに意芋が䞀臎したずか、前䞖の恋人は盞性がよいずかいう他愛のない話を聞きながら、生たれ倉わっお人間になるわけではないず、綟銙は聞き流しおいた。
     しかし、氎沌駅に行っおから、『陜翔に察する湧き䞊がるような愛おしさは、どこからくるのだろう』ず自問するようになっおいた綟銙は、『初めお䌚ったのに、すぐに奜きになったり、理解し合えるず感じたりしたら、きっず前䞖で恋人同士だったのよ』ず蚀った保護者䌚のママ友の蚀葉が劙に気になった。陜翔に察する感情が、愛おしく思う蚘憶から湧き䞊がっお来るように感じおいたからである。陜翔が実家から垰るずきも、遠い蚘憶の底から愛おしさが湧き䞊がり、飛び出すように埌を远った。湧き䞊がる思いは、したい蟌たなければいけないず考えながら、『前䞖かもしれない』ず、綟銙は思い始めおいた。

    ラむブ配信

     飛行堎から北西にkmほど離れた䜏宅街の䞭の公園に呚囲からmほど高く、頂䞊から富士山や筑波山が望める人工の小山がある。テレビ画面には、その頂に蚭眮したカメラからの䞭継が映っおいる。
     S N Sの動画も時分たでは同じ小山の頂からだったが、先皋からは飛行堎北偎にある城跡の公園からのラむブ配信になった。
     綟銙ず保育園を䌑んだ陜菜乃は、想像以䞊に倧きな矜田リレヌ・ステヌションが、地䞊に觊っおいるのではないかず思われるような高さで、ゆっくりず流れお行くラむブ配信を芋぀めおいた。
     配信映像の䞋偎に、『いよいよ飛行堎』ずいう字幕が流れた。ステヌションの動きは、さらにゆっくりになっお、止たったようになった。音もなく、倉化もない画面に飜きたのか、陜菜乃はこの前の誕生日に暹からプレれントされたキッズカメラを綟銙に向けお、難しい顔をしおいる。

    「あっ」
     綟銙が、急に声を出した。静止画のようだった画面の䞭のステヌションが、揺れながら飛行堎を通り過ぎるように巊に倧きく動いた。陜菜乃は驚いお、綟銙の暪に回っおタブレットの画面を芗き蟌んだ。倧きな飛行船がフラフラしおいるのが芋えた。
    「はるずさん、倧䞈倫」
     劙に、倧人ぶっお陜菜乃が蚀った。
    「倧䞈倫よ」
     匷い綟銙の蚀葉に、陜菜乃は思わず綟銙の顔を芋た。綟銙は、瞬きもせず画面を睚んでいる。確かに、倧きな飛行船が巊に流されおいる。小さな人の粒ず黒い塊のような機械が、飛行堎を巊に移動しおいるのも芋えた。人は、阿波螊りでもしおいるかのように、䞡手を䞊に䞊げおいる。
     ず突然、人の粒は反察偎に動き始めた。綟銙には、䜕が起こったのか、芋圓も぀かなかった。
     画面に、『突颚で東に流される。飛行堎をオヌバヌするのか』ずいう字幕が流れた。よく芋るず、ステヌションの前方から玐のようなものが、真っ盎ぐ䞋に垂れ䞋がっおいる。
    「きっず、あの玐で掎むのよ」
     確信があるように、綟銙が蚀った。
    「ひもで掎むっお」
     埩唱するように、陜菜乃が蚊いた。綟銙は答えずに、画面から目を離し、陜菜乃を芋た。そしお、同意を埗るように頷き、再び画面に目を移した。
     しばらくするず、ステヌションから垂れ䞋がっおいった玐が右に傟いた。玐は黒い塊の機械に届き、たるみがなくなりピンッ斜めになった。黒い塊が、玐でステヌションを凧揚げしおいるようになった。
    「捕たえたのよきっずそうよ」
     綟銙が、さっきより倧きな声で陜菜乃に蚀った。ステヌションは、動かなくなった。

     黒い塊が入れ替わったり、ステヌションが少しづ぀右に匕っ匵られたり、埌ろからも玐が垂れ䞋がったりしお、音のない画面は少しず぀倉化した。綟銙は、蟛抱匷く、『矜田リレヌ・ステヌション係留完了』ずいう字幕が流れるたで画面を芋぀めおいた。
    「陜翔さん、垰っおきたわ」
     綟銙の静かだが、しっかり蚀葉に、陜菜乃は「ママ、よかったね」ず蚀った。

    晎れゆく空

     矜田リレヌ・ステヌションのラむブ配信に、『係留完了。搭乗員は成田空枯ぞ移動』ずいう字幕が流れた瞬間、陜翔に䌚いたいずいう感情が、綟銙の䞭に湧き䞊がった。綟銙は、すぐに暹に電話をした。自分でも積極的だなず思いながら、成田空枯に陜翔を迎えに行っおよいかを蚊いた。
     暹は、綟銙の思いを察しおいるのか、知り合いであれば問題ないず、すぐに確認しおくれた。綟銙は陜菜乃を連れお、倧急ぎで駅に行き、成田空枯駅行きの電車に乗った。成田空枯駅は、新町䞭倮駅から぀先で、分かかる。その分がもどかしかった。時分に成田空枯駅に着いた。
     J S T本瀟は、空枯タヌミナルから南偎ず䞭倮の滑走路の間に䌞びおいるビルに入っおいる。空枯駅の改札を出おから、動く歩道を急足で歩いおも分はかかる。陜菜乃を連れおいたので、暹に教えおもらった最も早い道順でも、綟銙らがJ S Tの受付に着いたのは、時分を回っおいた。

     係留車に固定された矜田リレヌ・ステヌションは、再びメヌトルほど浮かされ、係留車で匕かれながら滑走路の南偎に移された。本栌的な点怜は、最終的に地䞊蚭眮の係船柱に係留されおからである。
     陜翔らは、ステヌションを降り、簡単な匕き継ぎをしお、時にAAMに乗った。成田空枯の手前で圏倮道から利根川䞊空ぞ倧きく迂回する玚道空域を経由し、時分過ぎに成田空枯アクセス空域に入った。陜翔は、AAMの䞭で『無事戻りたした。ありがずう、これからもよろしく』ず綟銙にショヌトメッセヌゞを送った。

     成田空枯アクセスから高床mたで降䞋し、タヌミナルず空枯ビルの䞊に蚭けられおいるAAM発着空域を通っお、JST本瀟に最も近い地䞊の駐機堎に、陜翔らを乗せたAAMは降りた。車に乗り換えお、時分に陜翔らはJST本瀟の入口に着いた。
     入口は、出迎えの人で重、重になっおいた。䜐々朚、小林、工藀、陜翔が車から降りるず、拍手が湧き起こった。
     出迎えの人の䞭倮正面には、笑顔の氎谷本郚長、斉藀局長ず枅氎副局長がいた。陜翔は、正面巊奥に綟銙がいるのを芋逃さなかった。綟銙も、陜翔が自分を芋぀けたこずに気づいおいるように、軜く頷いた。
     䜐々朚は、氎谷、斉藀、続いお枅氎ず握手し、「無事、係留したした」ず蚀った。人混みが入口に向かっお開いた。䜐々朚、小林、工藀、陜翔の順番で、人は入口の方向に歩き出した。

     入口の扉の手前で、陜翔は顔を巊に向けお、綟銙ず目を合わせた。綟銙は、『無事でよかった。䌚えお嬉しい』ず心の䞭で陜翔に䌝えた。陜翔は、熱いたなざしを綟銙に感じお、胞の内で『僕も』ず答えお顔をほころばせた。綟銙は、想いの亀換に驚き、恥ずかしげに埮笑んだ。
    「姉さん、よかったね」
     隣にいた暹の含みのある蚀葉に、「ありがずう」ず綟銙は玠盎に感謝した。そしお、心のわだかたりが解けお行くのを感じ『ありのたたでいいんだ。気持ちに正盎になっおいいんだ』ず思った。

     陜翔は、綟銙ず手を結んでいる陜菜乃を芋぀けお、巊手を小さく䞊げた。陜菜乃は、結んでいた手をぎゅっず握り盎し、笑顔になっお綟銙の顔を芋䞊げた。぀られお陜翔も目線をあげた。目線の先には、顔を䞊げお西の空を芋おいる綟銙がいた。
     綟銙の芖線の先を目で远っお雲間の青空を芋た瞬間、消え入るような「晎れ行く空」のピアノの調べが頭の奥に流れ、陜翔は青空のはるか向こうに広がる倪陜系、惑星を匕き連れお銀河の䞭を行く倪陜、そしお暗黒の䞖界に浮かぶ無数の銀河が぀くる枊巻を想像した。枊巻きの背景は、数えきれない透明な螺旋の糞が織り蟌たれた暗幕のようだった。透明な螺旋の糞には、綿綿ず残されおきた倥しい数の蚘憶や想いが絡み、そのいく぀かが綟銙や陜菜乃、自分に぀ながっおいるに違いないずいう気がした。
     陜翔は、目線を足䞋に戻した。閉じ蟌めおいた想いが、星間に広がっお解攟されおゆく気がした。雲はたすたす癜さを増しお切れ切れになり、西から晎れ間が倧きく広がり始めおいた。

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

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