
40代から始める人生再構築
人生はやり直せる。
若い頃の私は、その言葉を疑ったことがありませんでした。
努力すれば何とかなる。
失敗しても取り返せる。
頑張り続ければ道は開ける。
そう信じていました。
けれど40代になった今なら分かります。
人生をやり直すことは簡単ではありません。
失うものもある。
守らなければならないものもある。
それでも前に進まなければならない時があります。
私は今、その途中にいます。
私は20年以上、料理の仕事をしてきました。
学生時代から飲食業に興味があり、気付けば料理の世界に飛び込んでいました。
決して器用な人間ではありません。
でも、人に喜んでもらうことは好きでした。
料理が好きというよりも、誰かの笑顔を見ることが好きだったのだと思います。
「美味しかったよ」
その一言が嬉しかった。
お客様がまた来店してくれた時も嬉しかった。
自分の仕事が誰かの役に立っている。
そんな実感がありました。
若い頃には憧れていた現場で働く機会にも恵まれました。
業界では誰もが知るような一流の環境です。
厳しい世界でした。
怒られることもありました。
失敗して落ち込むこともありました。
それでも毎日が刺激的でした。
同じ目標を持つ仲間がいました。
営業が終わったあとに食事をしながら将来を語り合った夜。
「いつか自分の店を持ちたい」
そんな夢を本気で話していました。
今振り返ると、あの頃の私は仕事に夢中でした。
大変だったはずなのに、辛かった記憶より楽しかった記憶の方が残っています。
そしてやがて私は独立しました。
自分の店を持ったのです。
もちろん不安はありました。
失敗したらどうしよう。
お客様は来てくれるだろうか。
そんな不安はありました。
でも、それ以上に期待の方が大きかった。
自分の理想を形にできる。
自分の料理で喜んでもらえる。
そんな未来を想像していました。
実際、順風満帆なことばかりではありませんでした。
資金繰りに悩むこともありました。
寝る時間を削って働くこともありました。
それでも充実していました。
仕事が人生そのものだったからです。
休日も仕事のことを考える。
食事をしていても新しいメニューを考える。
もっと良くできないか。
もっと喜んでもらえないか。
そんなことばかり考えていました。
責任感が強い。
よくそう言われました。
私自身もそれを長所だと思っていました。
任された仕事は最後までやる。
途中で投げ出さない。
期待には応える。
それが当たり前でした。
だから当時の私は、自分の生き方を疑ったことがありませんでした。
仕事を頑張ることが正しい。
努力は報われる。
そう信じていました。