
AIコーディング入門講座②:Claude Codeが聞かずに操作を止める理由
Claude Codeに任せたら、頼んだ操作が反映されていない。その正体は主に2つあります。見分け方と、Auto Modeに任せる3ステップのプロンプト6本です。
「仕様書はできた。Claude Codeに実装を任せてみたら、頼んだはずの操作が反映されていない。サボっているのか、壊れているのか」。そんな場面から始めます。
この記事を読むと得られるもの
・仕様書から実装計画を立てさせる、コピペ用プロンプト ・出てきた計画を承認する/修正を依頼する、プロンプト2種 ・Auto Modeの有効化手順と、出てこないときの原因3つ ・止められた操作を/permissionsで拾い直す方法 ・「テストは通ったのにアプリが変わらない」現象の正体と、復旧プロンプト
こんな人におすすめ
・Claude Codeで計画から実装まで進めたいが、指示の出し方に迷っている人 ・Auto Modeが気になっているが、何が起きるのか分からず怖い人 ・「頼んだのに、やってくれていない」と感じたことがある人
こんな人には向いていません
・作りたいものが、まだ1行も決まっていない人(先に①要件定義編へ。作りたい機能を箇条書きにしたメモが1枚あれば、この記事の手順はそのまま試せます) ・拡張機能superpowersを入れられない環境の人(ステップ①〜③は、superpowersを使う前提で書いています) ・テストで見つかった不具合の直し方を探している人(それは③不具合対応の基本編で扱います。この記事は「動くものを組み上げる」ところまでです)
このシリーズの6テーマ・9記事について
Claude Codeでアプリを作り、公開し、育てていくまでを6つのテーマ・9本の記事に分けて書いています。番号は読む順です。①から順に読むと「作る→直す→公開する→育てる」の流れになります。④⑤⑥は分量が多いので、それぞれ前編・後編の2本に分けてあります。
① 要件定義編 ── 「思っていたのと違うものができる」を、作る前に防ぐ( ② 計画→実装編 ── 「頼んだのにやってくれない」の正体を知って、Auto Modeに任せる (この記事)
③ 不具合対応の基本編 ── 直したバグが別の画面で再発するのを止める
④ セキュリティ監査編(前編・後編) ── 動くけれど安全か分からないアプリを、確かめてから公開する
⑤ 技術的負債編(前編・後編) ── 増えたコードのどこが危ないかを、壊さずに洗い出す
⑥ なぜなぜ分析と横並びチェック 完全版(前編・後編) ── 「他に該当なし」でも再発するのを、機械で止める
はじめてアプリを作るなら①→②→③。人に使ってもらう前に④。アプリが育ってきたら⑤⑥へ進んでください。テーマ①〜⑥はどれから読んでも単体で完結します。ただし④⑤⑥の後編は、前編で作ったものを手元に置いて進む前提です。
9本とも、コードを書いたことがない方が読める形にしてあります。④⑤⑥はコマンドの結果を読む場面が出てきますが、打つのはほぼClaude Codeなので、読んで判断できれば足ります(④で自分で打つのは数回だけです)。
9本を通して一貫しているのは、AIの出力をそのまま信じないという姿勢です。要件定義書も、実装も、AIが出したバグや脆弱性の指摘も、要所で人間が確かめます。その確かめ方を各記事で具体的に扱っています。
Claude Codeに任せたのに、頼んだ操作が反映されていない
Claude Codeに実装を任せていると、「頼んだはずの操作が反映されていない」と感じる場面が出てきます。わたしも最初は、AIがサボっているのかと思いました。
画面を見ると、作業は進んでいます。それなのに、頼んだ操作の1つが飛ばされている。そのまま同じ頼み方を繰り返しても、原因が分からないままです。
正体は主に2つあります。1つは、この記事の中心になる「見張り役」です。もう1つは、作業用の場所(ワークツリー)の取り込み忘れで、こちらはステップ③で扱います。3つ目として「そもそも計画に載っていなかった」(計画からの漏れ)もありますが、これはステップ②の確認で防ぎます。見分け方は簡単です。一部の操作だけ抜けているなら見張り役、「全部終わった」と言われたのに画面が何も変わっていないならワークツリーです。
前回の[要件定義編]では、Claude Codeで壁打ちをしながら要件を固めました。docs/requirements/に仕様書として書き出すところまでです。今回はその仕様書を使って、実際にアプリを組み上げていきます。引き続き、Claude Code向けの拡張機能「superpowers」を使います。
鍵になるのは計画を先に確認してから、Auto Modeに任せることです。何をどの順で確認し、どんな言葉で頼むのかを、この記事にまとめます。
始める前に必要なもの
1. Claude Codeと、有料プラン。 ①で書いたとおり、Claude Codeには有料プランが必要です。Freeプランには含まれず、Proプラン(月払いで月額20ドル、年払いなら月額17ドル相当)以上が対象です(2026年10月2日時点、Anthropic公式の料金ページで確認)。
この記事は Claude Code v2.1.228 以降(Windowsのターミナル版は v2.1.233 以降)の挙動を前提に書いています。それより古いと、Auto Modeが止める操作の範囲や、最初に選ばれているモードが変わります。なお、どのプランでも最初からautoで始まるのは v2.1.283 以降です。最新モデル(Opus 5.5・Sonnet 5.5)を選ぶのに必要な版は未確認です。/modelの一覧に出てこないときは、更新を試してください。Claude Codeを起動する前に、ターミナルでclaude --versionと打って確認し、古ければclaude updateと打って先に更新してください(自動更新される環境では、ふだんは不要です)。
2. 拡張機能superpowers。 ステップ①〜③で使います。前回の要件定義編で入れた方は、ここは飛ばしてください。まだなら、Claude Codeのチャット欄で次を実行します。
/plugin install superpowers@claude-plugins-official
3. gitで管理されたプロジェクトフォルダ。 superpowersが実装を進める前提になっています。次のように頼めば、gitが未導入かどうかも含めて面倒を見てくれます。
このフォルダをgitで管理できるようにしてください。
gitが入っていない場合は、入れ方も教えてください。
この記事で使う用語を、先にまとめておきます。
・git……ファイルの変更の履歴を記録しておく道具です
・GitHub……その履歴をネット上に置いておく場所です
・コミット……変更をひとかたまりで履歴に記録することです
・プッシュ……手元の記録を、GitHubなどネット上の保管場所へ送ることです
・ブランチ……作業を枝分かれさせておく場所(履歴の枝)のことです
・ワークツリー……ブランチのファイルを実際に置く、別のフォルダのことです。「作業用の場所を分けますか」に「はい」と答えると、いま開いているフォルダとは別のフォルダで作業が進みます
・リポジトリ……そのプロジェクトのファイルと履歴が入っている入れ物のことです
・デプロイ……作ったアプリを、実際に使う場所(サーバーなど)に配置して動かすことです
・マイグレーション……データの保管庫の形そのものを作り変える操作です ・トークン……AIとやり取りした文字量の単位です。プランごとの利用上限は、これで数えます
GitHubを使っていなければ、プッシュが出てくる話はすべて読み飛ばして構いません。
4. Auto Modeに対応したモデル(任意)。 ステップ③で使いますが、必須ではありません。使えなくても手順は同じで、承認を求められる回数が増えるだけです。制約はプランではなくモデルと組織設定の側にあります(詳細はステップ③で)。
所要時間の目安は、小さなアプリの初回で1〜3時間です。実装の待ち時間が大半なので、その間は他のことをしていて構いません。
/brainstormingの使い方は前回で解説しているので、そちらもあわせてどうぞ。前回の仕様書がなくても、お手元の仕様書やメモがあれば今回の手順はそのまま試せます。メモは、作りたい機能を箇条書きにした程度のもので構いません。
今回の全体の流れ
今回紹介する進め方は、3つのステップです。
ステップ①:仕様書を読み込ませ、実装計画を立てさせる 前回作った仕様書をClaude Codeに渡し、細かいタスクへ分解してもらいます。
ステップ②:出てきた計画を確認し、実装を許可する 専門知識がなくても確認できる観点が2つあります。そこだけ見て、承認か修正依頼かを決めます。
ステップ③:Auto Modeで、実装からテストまで一気に進める 自動モードを使い、テスト駆動開発のサイクルを回してもらいます。
テストで不具合が見つかったときの直し方は、次回の[不具合対応の基本編]で扱います。「直してもらって終わり」にしない手順です。今回は「動くものを組み上げる」ところまでに絞ります。

見張り役が止めても、聞いてこない
サボっているのでも、壊れているのでもありません。安全のための見張り役が操作を止めていて、しかも止めたことをあなたに聞いてこないのです。
最新版(v2.1.283以降)では、Auto Modeに対応したモデルを使っていれば、プランに関係なく、ターミナル版とVS Code拡張機能の新しいセッションは最初からAuto Modeで始まります(画面下部に⏵⏵ auto mode onと出ていればそうです)。だから、Auto Modeを入れた覚えがなくても、この現象に当たります。ただし、インストールや更新の直後の最初のセッションだけは、手動(⏸ manual mode on)など、別のモードで始まることがあります。故障ではなく、次のセッションからautoになります。その回はShift+Tabで切り替えてください。
この仕組みを知らないまま実装を始めると、「Auto Modeは怖い」か「Auto Modeは壊れている」のどちらかに倒れがちです。どちらも誤解です。

ステップ③で使うAuto Mode(自動モード)について、先に仕組みを説明しておきます。ここは誤解されやすいところなので、有料エリアの前に書いておきます。
Auto Modeでは、Claude Code本体とは別に「見張り役のAI」が働きます(公式には分類器と呼ばれます)。実行前のアクションを1つずつ見て、通してよいか危ないかだけを判定する仕組みです。
ファイルの読み取りや作業フォルダ内の編集は判定を経ずに通ります(設定ファイルなど一部の特別なフォルダは例外です)。実際に判定にかかるのは、主にコマンド実行やネットワーク操作です。
見張り役が自動では通さない操作があります。公式ドキュメントで「デフォルトでブロック」と明記されている代表例が次のものです。
・curl | bash のような、ダウンロードしたコードをその場で実行する操作 ・強制的な上書きプッシュ(force push) ・本番環境へのデプロイや、本番データベースのマイグレーション ・git reset --hard など、まだ保存していない変更を捨てるコマンド ・機密データを外部のサービスへ送信する操作
誤解しやすいのは、ブロックされても「聞かれない」こと
ここが一番大事な部分です。見張り役がブロックしたとき、あなたに「実行していいですか」と承認を求める表示は出ません。 画面には通知が出ますが、そこで止まって待ってはくれません。Claudeは、ブロックされた理由(該当したルールの名前)を受け取り、別の方法を試します。別の方法が無ければ、その操作は実行されないまま先へ進みます。それが「反映されていない」の正体です。
つまり「危ない操作なら聞いてくれるはず」と構えていると、待っている確認の表示はいつまでも来ません。Auto Modeは「危険な操作の前に人間を呼ぶモード」ではなく、「危険な操作をClaudeにやらせないモード」だと理解してください。
では、止められた操作をどこで確認するのか。/permissions と打って「Recently denied」タブを開くと、ブロックされた操作が一覧で残っています。内容を見て、進めてよいものはキーボードの r を押してください。その操作が、こんどは承認つきでやり直されます。内容が分からない項目は、その行を貼って聞いてから押してください(聞き方は有料部分の「ブロックされた操作を拾い直す」に)。通したくない操作が並んでいたら、rは押さず、「〇〇はせずに、(元の目的)を別の方法で進めてください」と頼み直します。止められた操作をその場でやり直すならrで足ります。次に頼むときに最初から通したいなら、対象を名指しして伝え直します(「よくあるつまずき」の2つ目)。タブの切り替えや画面の閉じ方は、画面下部にキー操作の案内が出ています。
「頼んだのにやってくれていない」と感じたときは、まずここを見てください。Auto Modeを使ううえで、これがいちばん実用的な操作です。
Auto Modeを使っていない方も、いまから試せます。Shift+Tabキーを何回か押すと権限モードが順に切り替わり、条件を満たしていれば「auto」が出てきます(画面下部に ⏵⏵ auto mode on と出れば成功です)。そのまま普段どおり作業して、あとから/permissionsを開いてみてください。何が止められているかが具体的に見えます。出てこないときの原因は、ステップ③でまとめました。
(例外として、ブロックが続くとAuto Modeが自動的に一時停止し、通常の確認の表示が戻ってきます。条件は後述します。)
なお、Auto Modeは条件を満たしていないと、そもそも選択肢に出てきません。切り替えても出てこない場合、多くは条件の問題です(後述)。ただし、Anthropic側で一時的に止めていることもあります。その場合は、そのセッションのあいだは戻りません。後述の原因3つのどれにも当てはまらないのに出てこないなら、/exitで終了してclaudeで新しいセッションを立て直してください。

ここから先で手に入るもの
ここまでで共有できたのは、Auto Modeが何を止め、止められた操作をどこで拾い直すのかです。残るのは「では、実際に何と打てばいいのか」です。
有料エリアには次のものを入れてあります。
・そのままコピペできるプロンプト6本の全文──①実装計画の依頼/②承認/③修正依頼/④ワークツリー(作業用の別フォルダ。詳細は本文で)の取り込み/⑤確認の表示の意味を聞き返す/⑥ブロックされた操作を通す言い方 ・Auto Modeの有効化手順(切り替える正しいタイミング、出てこないときの原因3つ、ブロックを解除する言い方・してはいけない言い方) ・「テストは通ったのにアプリが変わらない」現象の正体と、その場で打つ復旧プロンプト ・よくあるつまずき2場面の対処法(計画が細かすぎて読めない/ブロックが多くて進まない)
3本以上読むなら、マガジンのほうが安く済みます
このシリーズは9本(6テーマ)とも有料で、各680円です。9本そろえると6,120円になります。前編・後編も1本ずつ680円です。
マガジン「AIコーディングの開発手法」は1,500円で、このシリーズをまとめてあります。今後追加する回も、追加料金なしで読めます。
3本以上読むつもりなら、マガジンのほうが安いです。この記事1本(680円)で足りるなら、そのまま下へ進んでください。読める中身は同じものです。