
人は蓮華の如く 「現状」
荒れた古民家と畑と山
風は通っていたものの、古民家はそのままでは住めない状態でした。
庭も畑も山も、見渡せば雑草だらけ。まさに「草の楽園」と言っていいほどの有様です。
まず待ったなしだったのが自然との戦い。
そう、草刈りです。

草刈機を初めて購入し、
「これでサクサク進む!」
そう思っていました。
ところが現実は違いました。
家の前の庭はともかく、真横にある畑だったと思われる場所を見た瞬間、手伝いに来てくれた親友と二人で呆然としたのです。

長年、上の部分だけを刈っていたのでしょう。
稲科の雑草が切り株のようになり、地面をびっしり覆っていました。
草刈機では歯が立たず、根切り道具を使いながら一か月近くかけて草を刈り続けました。
作業を進めるうちに、
「この辺が昔の畑だったのかな」
と分かる場所も見えてきました。
同時に、将来的に瓦礫を撤去しなければならない場所も見つかり、思うようには進みません。
そんな中、草を刈っていると家のすぐ横から山へ続く道を発見しました。
親友と顔を見合わせ、
「ゲームのダンジョン攻略の音が聞こえるな」
と笑い合ったのを覚えています。

大量に積み上がった草をどうするか考えた結果、畑にすると決めた場所へ穴を掘り、乾燥させた草を燃やすことにしました。
察しの良い方ならお気付きでしょう。
草木灰です。
放置された土地を再生するための心強い味方。
土に混ぜれば栄養となり、眠っていた土地を目覚めさせてくれます。
せっかく火を起こすのだからと、サツマイモをアルミホイルで包んで中へ入れました。

焼けたサツマイモは特別美味しく感じました。
家族と親友と畑を作り野菜を育てて食べる。これは10年前からの夢の一つ。
そう気がついたら夢の一歩が始まっていたのです
同時に、家の修繕も進めました。
屋根、天井、床下など構造に関わる部分は業者へ依頼。
素人仕事では家の寿命に関わるからです。
私は再生したい。
だからこそ、見えない部分ほど大切にしたかったのです。
まだまだ庭も畑も山も手つかずの場所ばかり。
けれど、この場所は先人たちが守り、受け継いできた場所です。
だから私は大きく間取りを変えない。
よくある現代風にし過ぎない。
昔の良さを残しながら、今の暮らしに合う心地良さを加えていく。
なぜなら私は新しく作り変えたいのではなく、再生させたいからです。
先人の想いを繋ぎたいからです。
そして不思議なことに、この土地の再生に関わってくれた人たちにも、少しずつ良い変化が訪れていました。
土地が甦るように、人もまた甦っていく。
そんな気がしていたのです。
2ヶ月後


畑から山へ続く道もはっきり見えるようになりました。
まだこの頃は、山まで手を入れる余裕はありませんでした。
けれど、その先に広がる景色を見ながら、いつか山も再生しようと思っていたのです。