メインコンテンツへスキップ
見出し画像

第2回東京国際サメ映画祭と『ジョーズ・イン・ジャパン』の衝撃

    第2回 東京国際サメ映画祭
    2025.7.4[金] ~8.3[日]内で開催(主な金土日)
    会場・池袋HUMAXシネマズ

    画像

    10年以上続いている謎の「サメ映画」ムービメント

     ジャンル映画に関心の無い人からすると信じられないことかもしれませんが、一部の映画愛好家たちの間ではここ10年以上、「サメ映画」のブームが続いています。

     「サメ映画」といえばやはりスティーヴン・スピルバーグ監督初期の傑作『ジョーズ』(1975年)が有名でしょう。映画本編を観たことがない人でも、サメが口を大きく開けたビジュアルと、ジョーズという名称は誰でも知っているのではないでしょうか。

     また、大作映画としては、サミュエル・L・ジャクソン一世一代の見せ場がある『ディープ・ブルー』(1999年)や、私も大好きなアクションスター、ジェイソン・ステイサムがデカすぎるサメと互角に戦う『MEG ザ・モンスター』1&2(2018/2023年)などは、映画好きならみんな知っているかもしれません。
     ですが、そのような「誰もが楽しめるちゃんとしたサメ映画」がコンスタントに製作されるようになったのは、ごく最近の傾向です。

     海の岩場に取り残された女性のサバイバルを描いた『ロスト・バケーション』(2016年)と、海底のサメ観察ゲージに閉じ込められる恐怖を描いた『海底48m』(2017年)。それら名作サメスリラーが劇場公開された頃から、劇場公開もされるちゃんとしたサメ映画が時折顔を覗かせるようになってきました。
     しかしそれ以前は、モンスターパニック映画に関心の強い人々の間では、『レッド・ウォーター/サメ地獄』(2004)、『パニック・マーケット』(2011年)、『シャーク・ナイト』(2011年)など、いくつかの佳作が知られてはいたのですが、誰にでもおススメできるような立派な名作サメ映画は『ジョーズ』と『ディープ・ブルー』しか無い。わりと長い間そんな空気でした。

     しかし水面下では、それらとは趣の異なる作風の、知らない映画が徐々に増えつつありました。怪獣クラスにデカいサメとタコが雑に戦う『メガ・シャーク VS ジャイアント・オクトパス』(2009年)。サメとタコが合体したサメが海から出て襲ってくる『シャークトパス』(2010年)。頭が二つあるサメが出る『ダブルヘッド・ジョーズ』(2012年)など、「ちゃんとした映画」とは予算も映像クオリティも志の違う「なんだかヘンなサメ映画」が、レンタルビデオ店の新作/準新作の棚に謎の劇場未公開作品として増えていきました。

    画像

     毎週なんとなくTUTAYAに通いつめていたようなマニアたちは、そのおかしな状況にいち早く気づきました。SNSや、当時はまだ動画サイトの主流だったニコニコ動画などでは、それら「ヘンなサメ映画」とその周辺ジャンルの作品を扱った面白レビューが楽しまれました。

     しかし、そういう傾向の作品の多くは雑で大味な場合がほとんどです。小津安二郎やフランソワ・トリュフォーを愛しているような真面目な映画ファンが観ると、怒りのあまり倒れてしまうかもしれない健康上のリスクがあります。

     また、娯楽映画が好きな人であっても、その基準がスピルバーグやリドリー・スコットのような「この世で映画が一番上手い監督」の水準を当然だと思っている場合、テンポの悪さ/脚本的に意味のない長い雑談/チープ過ぎるCGなどの試練的要素に耐えられず、激しい苦しみを感じる可能性がありました。

     それら新世界に現れたルーキーたち(ワンピース風に言っている)は、作品の質が通常考えられる「B級映画」の水準を大幅に下回っていることから、俗に「Z級サメ映画」などと呼ばれました。時には「本編は観なくてもいい」「こちらでは一切の責任を負いかねます。」などのような形で親しまれています。

     そんな中で、「台風で巻き上げられた大量のサメがロサンゼルスに降ってくる」という常軌を逸した設定のサメ映画『シャークネード』(2013年)の登場が、一つのブレイクスルーとなります。
     『シャークネード』も、設定だけで分かる通り真面目な映画ではありません。ですがこの作品は、ありえない設定を真正面から映像化したバカバカしさを「面白さ」に昇華している「普通に楽しいZ級サメ映画(言葉の崩壊)」でした。「おバカ映画」というくくりで観賞すれば、かなり面白い作品だったのです。(私も好きで、シリーズ6作をコンプリートした『シャークネード 完全震撼ブルブルBlu-ray BOX』が家のどこか深淵にあります…)。『シャークネード』は、サメ映画の存在を人々に広く知らせ、ファンの裾野を広げました。

     そのころから、コアな愛好家の中に「サメが出ている映画ならとりあえず観る。それがどんな内容であってもだ…」という、誠実すぎる姿勢に目覚めたニュータイプ達が目につくようになっていきました。

     外国の映画会社サイドもそのムーブメントに気づき、「手堅い(?)ジャンル」の一つとして、新世代の自由なサメ映画たちは、がむしゃらに製作されるようになりました。(需要と供給)

     2015年以降はサメ映画は毎年10作以上も作られ、2024年には確認されただけで27作品も作られています。(参考資料『第二回 東京国際サメ映画祭パンフレット』)

    画像
    このパンフレットは実在します(資料性が高い)

     どんなジャンルにも言えることですが、ブームで作品が量産されると、質は玉石混合になります。玉石混合というと悪いことのように聞こえますが、多数の作品が作られると差別化の為に多種多様な試みが行われ、作品同士が刺激を与え合い、これまでにない面白さの作品を生み出すきっかけにもなります。(例えば、70年代のスーパーロボットアニメのブームで量産された多数のロボットアニメの中から生まれたのが『機動戦士ガンダム』だったりします)

     ところで、2010年代の中盤から続いている「新しいヘンなサメ映画」のブームが他ジャンルと違うところは、玉石の「玉」はもちろん歓迎しますが、どんな「石」が流れてきても愛好家たちが楽しんでしまう、ポジティブな黄金の精神にあります。

     作品の質の底は毎年更新されており、サメ映画なのにサメがほとんど出てこない。CGが個人YouTubeレベル。資料映像を借りて尺を稼ぐ。など、まるで映画文化全体の平均レベルの底下げ選手権を行っているかのようです。

     また、湖、砂浜、雪山、空、とうもろこし畑、家の中など、サメが海以外の場所に出るのは当たり前になり、あらゆるイマジネーションとサメを結びつける実験場と化しています。上で挙げたZ級サメ映画の初期代表作の多くは、今となっては相対的に普通の映画みたいな雰囲気になりました。

     またそれだけ数が作られると、2023年に公開された国産サメ映画『温泉シャーク』のような、めちゃくちゃ面白い名作も生まれています。

    ほんとにあった!サメ映画だけの国際映画祭

     そんな混沌とした世界で、誰にも頼まれていないのに自分たちでサメ映画の布教をやっている人たちがいました。「俺たちがやらねば誰がやる」と、みずからあらゆる手段を使い、知らない未公開サメ映画を日本に輸入し広めようと奮闘している、なんかスゴイ人たち。それが「日本サメ映画学会」という謎の団体です。

     学会員のみなさんの布教活動の熱意は凄まじいものがあります。地下トークライブハウスで未公開映画の上映イベントを開いたり、ラジオやYouTubeなどでサメ映画の面白がり方を喋ったりもしてきました。
     今ではとうとう、池袋HUMAXシネマズというメジャー映画館で、1ヶ月にもわたる特集上映を開催するまでに至りました。信じて行動すれば夢は実現する…

    画像
    サンシャイン60通りに謎の看板出現
    ※コラではありません

     会場となる池袋HUMAXシネマズのロビーには、こんな楽しいフォトスポットもあり、力が入っています。

    画像

     また、会場ではランダム(全2種)で上映作品のカードがもらえるコラボドリンクも販売されています。魚類繋がりで、アーモンドフィッシュが強引にセットされてもいるのが楽しいです。(映画館の暗闇の中ではちょっと食べにくいのも笑います)

    画像

    映画祭オープニング作品『ジョーズ・イン・ジャパン』の衝撃

    『ジョーズ・イン・ジャパン/ HDリマスター版』監督:ジョン・ヒジリ
    ※2009年ソフト発売作品のリマスター版

     7/4(金)の夜、映画祭初日のオープニング上映作品として選ばれたのが、国産商業サメ映画の第1作と言われている『ジョーズ・イン・ジャパン』でした。

     この作品がソフトリリースされた2009年は、先に説明したようなサメ映画を豊かに楽しむ文化は醸造されていませんでした。さらに、この作品は劇場公開されなかった上に、普通のサメ映画とは明らかに違うオンリーワンの内容だったため、日本国内でほとんど話題になることがなく、現在のようなサメ映画ムーブメントが起きてから有識者らによってSNSや文献で語られるのみ。ほとんど幻の作品です。

    画像
    ポスター

     『ジョーズ・イン・ジャパン』は、女の子2人が人けのないビーチのロッヂに宿泊し、バカンス先で大変な何かが起きたり起きなかったりするお話です(撮影は沖縄ロケとのこと)。
     新しいサメ映画ムーブメントよりも前に撮られた作品ですが、「サメがなかなか出てこない」など、後輩のサメ映画たちによく見られる特長をこの作品も兼ね備えています。先駆者です。

     映画の冒頭では、水着の女の子ふたりが波打ち際でキャッキャするホームビデオ映像の合間に、サメ映画では定番の「海中を何者かが進んでいく視点」の映像が挿入されます。

     ホームビデオで撮影されたカットが入るという手法は、劇映画作品に予算をかけずにリアリティを出したり、フェイクドキュメンタリー(モキュメンタリーともいう)の作品でもわりと使われるテクニックです。

     しかし、本作では水着で女の子がキャッキャするホームビデオカメラ映像が、いたる場面で無闇やたらと流れまくります。映画の冒頭や、女の子たちがビデオカメラで撮影されているシーンなどで繰り返すのは分かります。ですが、女の子がロッヂの中のテレビで撮ったビデオを再生してみるシーンがわざわざある。など、ドラマの合間にとにかく何度も何度も水着でキャッキャしてるホームビデオ映像が流れます。

     この映画の優れている点はいくつかありますが、その一つに不穏な音響があります。水着でキャッキャしてるホームビデオがスクリーンに映されていても、その映像に合った楽しそうなBGMは流れません。無音だったり、いわゆるメロディのあるタイプのBGMではない、不協和音のような神経症的に不気味な音が鳴り響きます。不穏です。

     私は予備知識ほぼゼロでこの作品を観ましたが、その不穏な音響の中で何度も何度も同じ動画に見える水着ホームビデオが繰り返されるので、もしかしてこの映画は同じ一日が何回も繰り返される「ループものSF」なのか?と勘違いしかけたほどです。
     ですが、そうではありませんでした。この作品はサメ映画ですが、モンスターパニック映画ではありません。実は『ジョーズ・イン・ジャパン』のジャンルはサスペンス映画なのです。

    解消されることのないサスペンスの感触

     主人公の女の子ふたりは映画全編を通して、だいたい浜辺かロッヂで過ごします。時折、暗闇から女の子を覗いている謎のカメラレンズの存在が示されます。また、二人の女の子は何か言葉にできない不安や気配を感じています。

     監督のジョン・ヒジリは本作1本しか映画を撮っていないそうですが、サスペンスが好きで、映画史に残るサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督をリスペクトしていることは、この1作を観ただけで伝わります。定番の『サイコ』をオマージュしたシャワーシーン(女性がシャワーを浴びていると、カーテン越しに何者かの気配を感じ、恐ろしいことが起きる)も、ギャグではない場面であります。サメ映画なのに。

     また、ホームビデオ映像があまりにも繰り返されるのでそちらに気を取られて気づきにくいですが、『ジョーズ・イン・ジャパン』はドラマパートの撮影も良いです。映画評論家 蓮實重彥が呼ぶところの「ショット」がある方の映画です。これはあらゆるサメ映画の中でも稀です。

     そしてそれらショットや演出は、サスペンスの要である「不安」や「緊張」を生み出そうとする明確な意図で設計されています。ですがそのサスペンス演出も、通常よくあるサスペンス映画やドラマとは異なる味付けになっています。

     映画監督/脚本家/スクリプトドクターの三宅隆太は、2015年11月14日に放送されたTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』内「なんだ猫か特集」の中で、映画の定番となっている演出手法として、「クローゼットから物音がして殺人鬼が潜んでいると思わせておいて、急に猫ちゃんが飛び出る」というタイプの映画手法について解説したことがあります。

     「サスペンス」=不安や緊張を継続させてハラハラさせる手法と、「ショッカー」=観客を驚かせる手法。それらは通常両立しないとヒッチコックが言っている。しかし、『13日の金曜日PART2』(1981年)などでの猫が急に出る場面を例に、サスペンスが継続している途中でフェイクとして猫ちゃんを出す手法により、観客を緊張から一瞬解放させながらも、サスペンスも継続させることができる。という話をしていました。

     その放送の中で三宅さんは、サスペンスの中でも珍しいタイプの1作として『ストレンジャー・コール』(2006年)という外国映画も紹介しています。この作品は、お金持ちの家で夜のベビーシッターのバイトを受けた女子高生の元に不審者から何度も電話がかかってくるサスペンス。独特の珍しい作風として、「本格的に解消されないままの緊張と不安」の味わいがあります。

    画像
    全米NO.1

     『ストレンジャー・コール』では、「殺人鬼が潜んでいるかと思ったらネコだった」タイプのイベントが、普通に映画を観ていて想定される範囲の何10倍も発生します。

     豪邸では黒猫を飼っているので「何者かの気配を感じたらネコだった」イベントは当然あります。

     他にも「階段の上に誰かがいると思って見たら階段の向こうに見えるドアに誰かの気配を感じ、ドアに近づくと通路の左奥に怪しい気配。進んでいくと屋敷のメイドが魚にエサをあげてるだけだった」

     「不意に鳴った警報機アラームの誤作動を止めた直後に不意に電話が鳴り、おそるおそる電話に出たら警備会社からの確認の電話。電話を切った途端に電話が鳴るが、雇い主からの確認の電話だった」

     「不審な音の原因を探ったら冷凍庫の中の氷が崩れる音だった」。など、ネコだけではなく、不穏な気配を感じた、がそうではなかったという演出が怒涛の連続で発揮。

     普通のサスペンスやホラーのように、ネコでホッとした後に反対側から殺人鬼が飛び出てくるような、各場面ごとのサスペンスの完全解放がありません。その独特の味わいが『ストレンジャー・コール』の魅力です。そしてなんと『ジョーズ・イン・ジャパン』は、その味わいに最も近い日本映画である可能性があります。

     『ジョーズ・イン・ジャパン』は、前述の音響や良い撮影、ヒッチコックのリスペクトを感じる演出により、サスペンスの要である「不安」や「緊張」を生み出しています。ですがこれはサメ映画でもあり、その中でも比較的リアリティのある現実的な世界設定のため、サメはシャワーやビデオ映像の中から雑に飛び出してきたりはしません。

     作品はサスペンスとして撮られていますが、作中で最も脅威的な存在であろうと予想されるサメは全然出てこないので、何かが起きそうな予感はマンマンなのに特に何も起きない。サスペンスの「不安」や「緊張」が決定的に解消されることはないまま映画は進行します。

    90年代サイコサスペンスの遺伝子

     それだけでも希少な作風なのですが、さらに独特の味付けを加えるのが、先に述べた「無限ループかと思わせるほど繰り返し流れる水着ホームビデオ映像」です。

     この繰り返される水着ビデオ映像は、映像内の女の子ふたりの能天気さも相まってサメ唯識者たちの間でも「尺稼ぎ」とネタにされることが多いようです。イベント上映後に行われた助監督 能登秀美さんのお話によれば実際尺稼ぎだそうで、超低予算の特急スケジュールで沖縄で撮影して戻り、素材を編集したらどうしてもソフト発売規定の長さに足りなかったことによる苦肉の策だそうです。

     ですが、制作側の事情は観客には関係ありません。尺稼ぎが理由であっても、無限に繰り返される水着ビデオは作品に独自の効果を生み出しています。

     先にループものかと思いそうになったと述べましたが、不穏な音響が鳴り響く中で無限に繰り返される水着ビデオ映像を映画館の闇に閉じ込められて強制的に見せられるうちに、自分の頭がおかしくなったのではないか?これは悪夢ではないか?という感情が生じてきます。

     これは、投稿系ホラービデオの中にたまにある不可解系ビデオを偶然見てしまった時の感情にも似ています。また、デヴィッド・リンチ監督作品で不意に挿入される不条理なカットを見た時のおかしな気持ちにも通じるところがあるかもしれません。

     デヴィッド・リンチ監督の名前を出しましたが、『ジョーズ・イン・ジャパン』は2009年の作品でありながら、部屋の薄暗さや不穏さなど、作品全体を包む雰囲気は『ツイン・ピークス』(1990-91年)や黒沢清監督『CURE(キュア)』などに代表される、90年代にブームとなったサイコサスペンスの遺伝子を受け継いでいます。

     その90年代的サイコサスペンス的雰囲気をまといつつ、他に『ストレンジャー・コール』くらいしか類似作のない「解消されないサスペンス」演出の作風が生み出すグルーヴ感はこの作品しかありません。オンリーワンです。

     さて、近年はネタバレを知ると面白さが半減するタイプの作品が増えており映画の感想を書くのも工夫が必要です。2009年の作品である『ジョーズ・イン・ジャパン』にも、知らないまま観たほうが絶対に楽しめる決定的なネタバレ要素があります。安易に検索すると知ってしまう危険があるため、お気を付けください。

     「全く解消されないサスペンス」の映画作り。サスペンスという言葉には「観客の心を宙吊りにする」という意味でズボンのサスペンダーを語源だとする説がありますが、それにならうなら「伸ばし続けられるサスペンダー」が、映画演出として何を目的としているのか?
     ネタバレ厳禁のラストは、思わずガッツポーズが出るお見事な手腕でした。

    (また、細かい要素で話が逸れるのでここまで述べませんでしたが、映画史に残るホラー映画『悪魔のいけにえ』を監督したトビー・フーパーのマイナー作品『悪魔の沼』のオマージュ要素があるのも好きです)

    『ジョーズ・イン・ジャパン』はまだ評価を必要とする作品

     そんなオンリーワンの作品である『ジョーズ・イン・ジャパン』ですが、今のところ、サメ映画ファンの中でも特に情熱のある人にしかほとんど知られていません。

     また、作品の手触りから、ジョン・ヒジリ監督は本格的な映画を撮りたい志向を持っている方だと思われます。そのような監督が撮る作品は、映画館で実力を100%発揮できるように設計されています。

     そのため、DVDが発売した2009年にたまたま観た人がTVのモニターで観賞しても、この作品の持つオンリーワンの魅力に気づけなかった可能性があります。(もちろん、謎のサメ映画の群れと正面から対峙して楽しさを見出すような観賞リテラシーも、まだ育まれていませんでした)

     現在中古DVDはプレミア化しており入手困難ですが、持っているマニアの方は一度、部屋を真っ暗にして、良いヘッドホンで音量をかなり大きくしてスマホの電源を切って作品と1対1で向き合ってみてください。これまで単なる「本編は観なくてもいい」系サメ映画の一つだと思っていた方も、考えが変わるかもしれません。

     今回は「第2回 東京国際サメ映画祭」の中のイベント上映という形で幸運にも良い環境で観ることができました。

     「映画館の暗闇に閉じ込められて大音量で不穏な音響で混乱しながら観る」のが重要なので、音響に強みを持つ映画館。例えば立川シネマシティの【爆音上映】や、川崎チネチッタの【LIVE ZOUND】。池袋新文芸座の極上の音響や、各地で実施されている「爆音映画祭」などでも上映してほしい作品です。よろしくお願いいたします。

    ジョン・ヒジリ監督の新作も観たいですね。

    画像

    みんなで「第2回 東京国際サメ映画祭」に飛び込もう

     そのような、全く知らない、誰も知らないサメ映画をちゃんとした映画館で観賞できる奇跡のイベントが8月頭まで開催中です。

     6/12(土)の回にも参加したのですが、ピラミッドを作ったのは太古に宇宙から来たサメだったという世界史の真実が暴かれる『サメナプトラ』​(2024年、監督:マーク・ポロニア)。湖畔のピエロ殺人鬼の魂がサメに憑依して殺戮を再開する『クラウンシャーク -帰ってきた"それ"-』​(2024年、監督:マーク・ポロニア)。どちらも見たことが無いタイプの凄い映画でした。

     また、サメ映画をはじめとする謎の映画を年間7〜12本も大量生産しているマーク・ポロニア監督が来日され、舞台挨拶でお話を聞けたことも良かったです。

    画像

     今後のラインナップも何だか大変そうな作品が待ち構えています。※以下、公式ホームページを写メしたもの。

    画像
    画像

     『国宝』や『鬼滅の刃』のような大ヒット映画は長い期間上映するので後回しでも大丈夫です。サメ映画ファンはもちろん、謎の映画との未知との遭遇を熱望している方も、みんなで「第2回 東京国際サメ映画祭」の荒海に飛び込みましょう。

    画像
    日本サメ映画学会の会員には誰でもなれます。
    会場で売ってる(500円)

    第2回 東京国際サメ映画祭
    2025.7.4[金] ~8.3[日]内で開催(主な金土日)
    会場・池袋HUMAXシネマズ
    とりあえず公式サイトをご覧ください↓

    関連記事

    昨年2024年に観た映画のベスト10↓

    映画や展覧会の感想記事まとめ↓

    この記事が参加している募集

     
     
    好き→映画/アニメ/漫画/特撮/お笑い/絵画/猫。世界一かわいいぬいぐるみ だいあぱん の布教と発展の為みんなにサブリミナルする《空想だいあぱ案内人》。絵も描く。感想を書くのも読み聴きするのも好き。booth: https://daiapan-guide.booth.pm/

    あなたへのおすすめ