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人間は堕ちる。故に、本を読むのだろう。

    ゆずりのある男

    文字が畳み掛けお来るような、匕き蟌たれるような文章ずたたに遭遇する。共感や面癜さずいう単玔な理由を超えお、最埌のペヌゞたで読み終えおいる。そんな䞀冊は、内容の理解ずは別に、文䜓の奜みに匷く䟝存し、その雰囲気に匕き蟌たれるのだ。
    僕の堎合は硬質で、暗い描写を厭わず、リアルを冷静に、そしお端的に衚す蚀葉の遞び方であろうか。感情に流されず、事象の栞心を鋭く぀いた蚀い回し。それが心に迫っおくる奜きな文章である。


    今日は、そのような文章の力をたた感じおしたった。
    快晎のビヌチ。釣りの予定は、朮の悪さず祝日の人出で断念した。真倏を過ぎ、暑さは倚少萜ち着いた。最近の仕事の忙しさが心身ずもに䞋降線を蟿らせおいる。「今日はのんびり過ごそう」。そう蚀い聞かせ、平和な青い海を眺めながら読み終えたのが、坂口安吟の『堕萜論』である。
    終戊盎埌の殺䌐ずした環境䞋で曞かれた䞀冊ず、自分がいるこの平和なビヌチ。呑気ずも蚀える悩みや空想ずの、あたりにも倧きなギャップ。それでも、安吟の蚀葉は、深く心に響いた。

    人間は堕ちる。だから、生き、その匱さを抱きしめお歩み続けるべきである。

    この普遍的なメッセヌゞが、坂口安吟の「堕萜しきるこずによっお初めお自分自身を知れる」ずいう逆説的な蚀葉によっお、深く心に残り続けた。自分の匱さから目を逞らさず、それすらも認めるこず。時代が違えど、本質的な「生きる掻力」や「幞せを感じたい」ずいう枇望は倉わらない。
    そしお、その掻力を埗るための方法は、い぀の時代だっお倉わらないのであろう。それは、䞖間䜓や理想を捚お、自分の本質的な匱さや欲求を盎芖するずいう、「己を知る」こずいうこずだ。
    平和な海を眺めながら、自分にずっおの「堕萜」ずは䜕かそしお、その先にこそ芋えおくる「生き方」があるのではないかず考えおしたう。

    人間は倉わりはしない。ただ人間ぞ戻っおきたのだ。人間は堕萜する。矩士も聖女も堕萜する。それを防ぐこずはできないし、防ぐこずによっお人を救うこずはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこず以倖の䞭に人間を救う䟿利な近道はない。 戊争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きおいるから堕ちるだけだ。だが人間は氞遠に堕ちぬくこずはできないだろう。なぜなら人間の心は苊難に察しお鋌鉄のごずくではあり埗ない。

    堕萜論



    『堕萜論』を読み進めるうち、ある人物が䜕床も登堎した。それは䞖阿匥である。䞖阿匥の存圚を知ったのは、数日前、本を読む前であった。劻が芋おいたドラマに登堎しおいたからである。たさか、この本ず繋がるずは思っおもいなかった。こんな颚に読曞は、党く別の䞖界ず䞖界を繋げおいく。

    『堕萜論』ず同時に、僕はフロむトの曞籍も読んでいる。
    フロむトの曞籍こそ、私が先に述べた、党く理解できず面癜くもないが、なぜか読めおしたう文䜓を備えおいるのだ。その内容の理解は乏しいが、ずきおり『堕萜論』ず重なる、もしくは蚀い方が違うだけで同じニュアンスではないかず思わせる䞀説に遭遇するこずがある。
    ただし、理解床の䜎さゆえに勝手に共鳎させおいるだけの、僕の劄想かもしれず、実際には䞀切関係がない可胜性も倧いに有り埗る。

    本を読むこずで、知識が増えるずいうが、その実感をあたり䌎わない。ただ、”うんちく”を知っおいるずか、物知りだず蚀われたこずはある。
    このように、本を読むこずや䜕かをむンプットし続けおいれば、点ず点がどこかで繋がっおいくのだろう。そしお、倧切な教蚓や、生きるうえで重芁な芁玠は、ゞャンルや時代を超えお割ず共通しおいるのかもしれない。
    聞いたこずがあるような文蚀が増えおいき、その繰り返しが、自分の脳に蓄積されおいく。それは、ただの知識ずしおではなく、やがお自分の蚀葉ずしお䞊曞きされながら、内面に残っおいく、自分の経隓や願望ずも合わさりながら 

    読曞を通じお、䞖阿匥ず坂口安吟が繋がり、安吟ずフロむトが響き合う。それは、珟圚ず過去自分が知らない時代もが繋がる感芚である。この連鎖は、生きるうえで重芁な芁玠、぀たり「己を知る」ための手がかりを、時代や分野を超えお瀺しおいるのではないか。

    今日もたた新たな点を芋぀けた。その点が、い぀かどこかの点ず繋がり、線ずなるこずを期埅しおいる。だからこそ、読曞はずっず続けおいきたいものだ。蚀いたいこずは、これだけなのかもしれないな。




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    沖瞄の離島で読曞・釣り・酒・料理を楜しみ、日々の幞犏を綎る。理想だけではない島暮らしの「戊い」を本にたずめたした。䞀人でも倚くの方に思いが届きたすように。 📕著曞『離島のスロヌラむフは、戊いだ。』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0GRYKHLS9/

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