
『期待の外で呼吸する』7 | 街に戻る朝。
鳥の声が聞こえる。
そうだ、
キャンプに来たんだった。
薄い幕1枚を隔てて、初めて1人で外の世界で
一晩を過ごした。
テントの生地を通して、うっすらと光がテントの中に差し込んでいる。
ゆっくりと起き上がると、
頭がボーっと重たく、背中が痛い。
寝れたような、寝れてないような感覚。
多分、あまり寝れなかったのだろう。
家では何の心配もなく、ふかふかの布団で眠る。
昨夜とはまるで違う。
当たり前から飛び出したというより、人間が元々持っていた感覚に少しだけ触れたのかもしれない。
のっそりとテントの外に出る。
木々の間から差し込む朝日が眩しくも、
心地よい。
一晩だけ自然の中で過ごしただけで、
少し自然の一部に馴染めた気がする。
ここにある空気と光の鮮度を誰よりも味わうことができている。
街の暮らしではきっと味わえない。
そんなことを考えながら、朝食のパンをかじる。
朝食後、ゆっくりと撤収を始める。
テントを立てて、翌朝には撤収する。
勿体無い気がするけど、その手間をかける理由がなんとなくわかった気がする。
荷物を積み終わると、
ほんのり汗が滲んでいる。
チェックアウトの時間にはまだ早い。
でも、帰ろう。まだ日曜日の朝。
これから1日を楽しめる。
気づけば、これから始まる1日を楽しみにしている自分がいた。
なんだか名残惜しい。
それでも、車を走らせ街に戻っていく。
あ、帰ったらキャンプの片付けしないとな。