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鼻くそよりも大きな愛

    ずっと、鼻の穴の中が痛い。

    ある日、帰宅すると鼻がとてつもなく痒かった。小鼻をゴリゴリしながら悶えた。

    くしゃみも鼻水も止まらない。
    何かしらのアレルギー反応があったようだ。

    でも翌日、アレルギー反応はぱったりと止まった。

    くしゃみや鼻水は止まったが、小鼻ゴリゴリのせいで粘膜がやられた。

    鼻の穴に違和感があり、そっと小指を入れるとかさぶたができていた。

    鼻の下を伸ばしたり縮めたりすると、鼻の中がつっぱったり痛痒くなったりする。
    人がいない時に、こっそり小指を差し込んで、かさぶたの生存確認をする。

    かさぶたの存在が、私の中でどんどん大きくなって、片時も忘れられない。
    いなくなってほしいけど、独りにはしないでほしい。
    こんなに好きになるなら、出会わなければよかった。

    私からかさぶたへ。
    想いを乗せて、鼻をかむ。

    大きな愛のかたまりが、勢いよく飛び出した。
    白いティッシュの上で、愛を描く。
    お互いの愛を確かめ合うように、もう一度強く噛む。


    大流血。


    愛と鼻血に溺れる。

    それ以降、別れたり復縁したり、ダラダラとした関係が続いている。

    「そんな関係やめなよ」
    「未来が見えないよ」

    そう言われても、きっと私は、LINEのブロックと解除を繰り返したり、時々スタンプを送ったりするだろう。
    Instagramのストーリーズを見て、一喜一憂するんだ。
    街で同じ匂いに出会ったら振り返ってしまうんだ。

    そして忘れた頃に連絡してきて、私の心のかさぶたを剥がしにくるんだ。
    こんなだから、いつまで経っても治らない。
    どんなにつついても、流血する未来しか見えないのに。

    絆創膏を貼れない場所って、どうやって治せばいいんだろう。
    この傷はどうしたら癒えるのだろう。
    忘れられない人はどうやって忘れたらいいのだろう。
    もう会いたくないけど、早く会いたい。




    そんな時に出会ったのが

    —— 家に余っていたホホバオイル。



    私が泣き腫らして干からびていると、綿棒に乗って、そっと会いにきてくれる。
    振り回されてすり減った心を癒してくれる。

    LINEはブロックした。
    Instagramも消した。
    鼻を強く噛むのもやめた。
    小指を突撃させるのもやめた。

    これで、少しは前を向けたかな。
    街で偶然会ったって、堂々としていられるかな。


    次に会った時は、綺麗な鼻の穴をかっぴらいて笑ってやる。


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