メインコンテンツへスキップ
見出し画像

しゅうちゅうごううって言ってみて

    ごはんたいたよ

    保育園で避難訓練があった。

    火事や地震の設定が多いが、今月は風水害だった。

    昨今、台風や豪雨での災害も増えているため、避難訓練のテーマも細分化している。

    保育士は絵本を見せながら、台風や豪雨、竜巻について子どもたちに話している。
    私も子どもたちと一緒に話を聞いた。

    「集中豪雨」のページに切り替わると同時に、私の思考回路も切り替わる。

    「“集中豪雨”って、口を尖らせて発音するワードだな」と思った。
    画面の向こうの貴方の口も、さぞ尖っていることだろう。

    隣に座る子どもに、
    「ねぇねぇ!“しゅうちゅうごうう”って言ってみて!くちびるとんがるよねぇ!」
    と言いたい気持ちを飲み込んで
    「“お・か・し・も”の“お”は“おさない”」
    を、真面目な顔で耳に流し込む。

    しかし脳内では、“口尖らせワード”の作成で忙しない。

    牛乳
    空洞
    工場
    救急
    毛布
    腹痛
    終了
    重症
    宇宙
    ・
    ・
    ・



    “牛乳”を一気飲みしてお腹を痛めた。
    “腹痛”は“重症”化し、“救急”搬送された。
    “救急”車の中では“毛布”にくるまりながら、“宇宙”について考える。
    “宇宙”にある巨大な“空洞”には何が詰まっているのだろう。
    そんなことを考えていると痛みが和らぐような気がした。

    病院に到着するやいなや、出際よく検査をされたり“チューブ”を通されたりする。
    一命は取り留めたものの、ある“報道”が目に入る。

    “牛乳工場”の不祥事があったそうだ。
    適切に管理されておらず、“食中毒”の“報告”が相次いだ。
    私もそのうちの1人だったようだ。
    “宇宙”規模で考えれば、命ある限り多少の問題はちっぽけなものだ。
    そんなことを考えながら“豆乳”を“コップ”に“注ぐ”。

    ※この話は“フィクション”です。


    ⸻“妄想終了”⸻




    さすがに“フィクション”は無理があったか…
    あぁ、口を尖らせすぎて発作が起きそうだ。
    表情筋が強張るのを感じたが、叫びたい気持ちを抑える。

    その分、これでもかと大きな口を開いて給食のカレーライスを頬張る。

    その時、巨人が人間を捕食する時の気持ちがわかった。


    画像
    (イメージ雑コラ:『進撃の巨人』より)


    口を尖らせすぎた副反応で、食べるカレーライスは絶品だった。

    カレーライスを頬張っていると、
    「もしも、先生が米粒くらいの大きさになったらどうする?」
    と子どもに問いかけられた。

    いつかそんな未来が本当にくるかもしれない。
    巨人が来た時の避難訓練も必要かもしれない。


    仕事中に妄想が“集中豪雨”のように降り注ぐ。 
    “note”という“土嚢どのう”が堰き止めてくれる。

    ここに避難すれば、もう大丈夫。

    たとえ世界が濁流にのまれても、想像だけは、生きのびてここに辿り着く。



    あなたへのおすすめ