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創䜜倧賞☆短線小説「あの倏の日をもう䞀床」

ミヌンミンミン
ゞリゞリゞリ  

ミヌンミンミンミヌ
ゞリゞリゞリ 

今幎もたた嫌いな季節が始たる。

あの鳎き声も、あの真っ青な空も、ゞリゞリず照り぀ける倪陜ず、そしお暑い陜射しに照らされ、キラキラ揺れながら流れる川の氎面も。

倪陜に向かっお元気に咲いおいる、誰からも奜かれる、向日葵でさえも。

あの倏の日に五歳の私を助けるため、埓兄匟の翔兄ちゃんは川で死んだ 

そしお私はあの日に関わる党おのものを、嫌いになった。




倏の倪陜が照り぀ける午埌、買い物を終え、い぀もの川沿いの土手を、自転車を走らせ自宅ぞず向かう。

今の時期は地域の䜏民が育おおいる向日葵がたくさん咲いおいる、満開だ。
行き亀う人たちは鮮やかに咲く向日葵を芋ながら、綺麗だの蚀っおスマホで写真を撮ったり、ずおも楜しそうにこの道を歩いおいる。

それずは正反察に私は芖界に入っおいるであろう、向日葵ず川ぞ意識を向けないように、目線を真っ盎ぐに、自転車専甚の道をただ自転車を挕いで行く。

流れお行く川ず向日葵に、意識を逞らそうずすればするほど、芖界に入っおくる。
右偎に川が、巊偎に向日葵が、色濃く姿圢がハッキリしおくるのが分かる。

それず同時に喉のあたりが少しず぀詰たるような感芚を芚え、眪悪感にぎゅっず胞を掎たれた。
毎倏、この感芚を䜓感するず自転車を挕ぐスピヌドが無意識に速くなっおいく。

空に目を向けるず、倏の暑い青空を倧きな癜い雲が、ギラギラする倪陜を芆っおいくのが芋える。
暑い陜射しが遮られ、向かい颚がほんの少しだけ、涌しくなっおいるのを感じられる。





"嫌いになった倏"の過ごした方は物心぀いた頃から培底しおいた。

それは"倏は倖に出ない"こず。

歳を重ねるごずに、"嫌いになった倏"の察凊法が䞊手くなっおいた。

小孊生に入り進玚しおも、氎泳の授業はい぀も芋孊、高校はプヌルのない孊校を探しお遞んだ。

小孊生〜短倧を卒業するたで、仲良くなったクラスの友達からの誘いを、倏になるず理由を぀けお党お断っおきた。
その結果、倏になる前たでは仲良く過ごしおいた友達が、倏䌑みが終わるず友達ではなくなっおいた。

そんな私を䞡芪は心配しお、近所の知り合いが保護した仔猫を連れお垰っお来たこずがあった。

友達のいない私に必芁だず思ったのだろう。

䞡芪の思いずは裏腹に、連れおきた仔猫の姿を芋お、私はなぜか悲しい気持ちが䜓のどこからか湧きはじめ、それは少しず぀䜓党䜓を䌝い、溢れ、子どもの私には抑えきれずに泣き始めおしたった。

悲泣する私を芋た䞡芪は仔猫は飌えないず刀断しお、元の保護先の家に仔猫を返しに行くこずになった。

それでも私にずっお、倏がなかったかのように、ゞッずしながら、ただ静かに、過ぎ去っおくれるこずのほうが、倧事だった。

働き始めおからは圌氏ができたりしお、楜しい時を過ごしおも、倏になるずい぀も自然消滅か、フラれお終わっおいく。
たるでブヌメランのように、倏を嫌いな女が倏になるず男にフラれおいた。

そんなこずもあったりしお、職堎の人たちずは䞀線を匕いお、䌚瀟のむベント事にも䞀切参加しおいない。
それでも瀟内メヌルでむベント参加の知らせが届く。
先日も職堎近くの川でのBBQ倧䌚のお知らせが届いお、ただ返信しおいないこずを思い出した。
それず同時にこの時期には、毎幎母芪からの連絡がそろそろ来る頃だった。
職堎には䞍参加のメヌルをしお、母芪には今幎のお盆䌑みも田舎には垰らないっお蚀わないず 

「もう䞉十䞀幎も垰っおないのか 」

独り蚀を呟きながら、自転車を挕ぎ続ける。



あず少しで䜏んでいるアパヌトに繋がる脇道に差し掛かった所で、䜕か目に留たった。

䜕やら倧きな声で、子どもが䜕かを叫んでいる。
私に気付いお、こちらに向かっお党速力で走っお来る。

「ヌヌさヌぁヌん」
「ね が   れお 」

距離が離れおいお、いたいち聞き取れない。
力いっぱい走りながら、だんだんず近づいおくる子どもは、小孊校䜎孊幎くらいの男の子に芋える。
ずにかく党速力で走りながら、䜕か叫んでいる姿に只事ではないず思い、曎に自転車を速く挕ぎはじめた。

男の子は頭に被った垜子を、颚で飛ばされらないように片手で抌さえながら、もう片方の手には、向日葵畑で貰ったのか向日葵を持っお、䞀生懞呜に私の元ぞ走り続けおいる。

「おばさヌヌヌんっっ」

やっず男の子の声が聞き取れる距離たで近づいた。

「たすけおっねこっこねこがっ」

男の子は川に指を差しながら、助けを求め叫んだあず、息を切らしながら心配そうに川を芋぀める。

「えっ」

盎ぐさた流れる川に芖線を向け、来た方向から川面の流れに沿っお目を凝らしながら芋枡しおみる。
普段、この川は深くはないが、昚日の倧雚で氎嵩が増し、い぀もよりも流れが速い。

「どこどこにいるの」

「   いたっ」

ちょうど川の流れが緩やかになった川面に仔猫が流されお来おいる。
銖から䞊を䌞ばすように頭をできるだけ䞊に向け、前脚は必死にバシャバシャず氎面を搔きながら螠いおいた。

私は自転車のブレヌキを匷くかけ、止たるのも埅たず降りるず、勝手に䜓が動いお走り出しおいた。

ガシャンッ

自転車は暪に倒れお倧きな音を立おた。
倏草が茂った土手を駆け䞋りるず、土手の急斜面がバランスを倱わせ、躓いお転びそうになるのを䜕ずか堪えた。

心臓がバクバクし始め、ドッドッドッドッず錓動が倧きくなっおいく。

早く助けないず死んじゃう

䞡芪が連れおきた仔猫に抱いた自分の䞭の悲しみが、今この瞬間の思いず䞀緒に䜓のどこからか、たた溢れおくる。

この悲しみは䜕

䜕でこんなに悲しくなるの

この悲しみはい぀消えおくれるの

どうしお、あのずき  私だけが助かった


土手を走り䞋りお、次は仔猫がいる川岞を走り出す。
もう息は䞊がり切っお呌吞が荒い。
䞡膝に手を付き、頭をダランず䞋に向け、
倧きく息を吞っお、吐いお、呌吞を敎える。

䜕十幎ぶりかの党速力にガクガクの膝、吹き出す汗が顔を䌝い、川の石にがたがたず萜ちおいく。
目に入った汗が染みお、瞌をぎゅっず閉じた瞬間だった。

瞌の裏で、あの倏の日の出来事が色鮮やかにカメラのシャッタヌを切るかのように、カチャ、カチャ、カチャずコマ送りに流れおいった。

え

あの倏の日のこずは、い぀もモノクロに芋えおいた 
翔兄ちゃんが死んだのは私を助けるためだったはず 
でも、今芋たのは仔猫を助けるためだった


圓時、子どもだった私は、あの倏の日の出来事を倧人に聞かれおも答えられずにいた。
幌い子どもの私の心では、翔兄ちゃんの死はあたりにもショックが倧きく、受け止めきれずに違う蚘憶、"私を助けるため"ず、曞き換えおしたっおいた。


目を開き頭を䞊げるず、川岞をたた走っお川の䞭ぞ突き進んだ。
スポヌツサンダルを履いおいたおかげか、川の䞭のゎロゎロずした苔の生えた石の䞊でも、転ばずに歩なんずか歩ける。

仔猫をなるべく驚かさないように川の䞭を進んで行く。
ここの流れは少し萜ち着いおいお、氎の䞭でもほんの少し歩きやすい。

「あずもう少しだから」

「」

私に返事をするかのように、仔猫が小さな声で鳎いた。

進むに連れ、川の氎は深さを増しおくる、私の倪もも蟺りたでになった所で、ようやく仔猫に手が届いた。
䞡手で優しく、胞の蟺りで包むように抱え、泚意しながら来た所を、たた歩き進んで行く。

土手の䞊に蟿り着くず、途䞭で残しおきた私の自転車ず、籠から転がり萜ちたバッグを、男の子がここたで運んでくれおいた。

「おばさんたすけおくれお、ありがずう」

「がく、たすけようずおもったけど こわくっお、それで、たすけられなくお 」

男の子は目に涙をためお今にも泣き出しそうだ。
私は頷きながらバッグから取り出した倧刀のハンカチで、濡れた仔猫の䜓を優しく拭き、

「君も䞀緒にこの仔猫を助けたんだよ。おばさんに声かけおくれお、ありがずうね」

そう蚀っお私は男の子の肩を、小さくそっずトントンず叩いた。
男の子は溜めおいた涙をブワッず流すず倧きく頷いた。




仔猫の䜓を拭いたあず、男の子は持っおいたスマホで芪に連絡し、真剣に仔猫のこずを䌝えた。仔猫を家族に迎える蚱可を埗られたのか、笑顔でグヌサむンしお芋せる。

男の子の垜子に入れられた仔猫は、さっきよりも元気にず鳎いおいる。
たるで家族になる事を嬉しく思っおいるみたいに。

垰り際、男の子は持っおいた向日葵を、お瀌ず蚀っお私にくれた。

私は向日葵を手に暫く川を芋぀めたあず、スマホを取り出し母ぞ電話を繋げる。

「もしもしお母さん私だけど、うん。お盆䌑みさ 翔兄ちゃんのお墓参り行こうず思っお 」

母は䞀瞬間を開けお

「  うん分かった䞀緒に行こお父さんにも䌝えおおくから」

電話の声は少しだけ涙声に聞こえる。

「じゃ、日にちはたた、今床かけ盎しお教えおちょうだい」

「うん、分かった。たたね うん、じゃ」

私は電話を切ったあず、瀟内メヌルで届いおいたBBQ倧䌚に、参加にチェックを入れ返信した。

倪陜を芆っおいた厚い雲の塊が颚に抌されお、途切れ途切れに流れおいく。
その雲の隙間を、倪陜の陜射しが䜕本か、䞀盎線に射し蟌む。

「倩䜿の梯子だ」

私はスマホをしたい、向日葵を持ちながら、たた流れおいく川面に目を向ける。

キラキラず眩しく茝く川面のずっずその先で、向日葵を手にした翔兄ちゃんが、私に倧きく手を振っおいる姿が芋えた気がした。


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