
217回断られても動き続けたシュルツの「軸」——それを般若心経はこう呼んでいた。
依般若波羅蜜多故(えはんにゃはらみったこ)とは、「般若波羅蜜多(彼岸に渡る智慧)に依るが故に」を意味する般若心経第33節の言葉です。
過去・現在・未来のすべての仏が悟りを得られた理由が、この一言に凝縮されています。
1986年のシアトル、ハワード・シュルツは217回目の「No」を受け取った翌日も、また扉を叩いた。
彼を動かし続けていた「軸」が何だったのか。
217回目の「No」の翌朝
「アメリカ人はコーヒーに3ドルなんて払わない」
1986年、ハワード・シュルツは242人の投資家にアプローチした。
そのうち217人に断られた。
断られるたびに、シュルツは手帳に記録した。
次の投資家の名前と、アポイントの日時。
「No」を受け取った理由も。
なぜ手帳を閉じなかったのか。
なぜ「やっぱり無理だった」と諦めなかったのか。
その答えは、投資家探しを始める前の1983年、イタリア・ミラノのコーヒースタンドにあった。
朝の光の中で、エスプレッソを飲みながら談笑する人々を見て、シュルツは確信した。
「これだ。働く人間が、家でも職場でもない、安心して座れる場所——アメリカにも作れる。」
その確信こそが、217回の「No」を超えた「軸」だった。
1,300年前の般若心経が、この軸に名前をつけていた。