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【連茉小説】胃粘膜防衛本郚 ガストリック・フロント 最終話 涙、流入

    半額焌肉䜜戊の圱響により、胞やけ反応が発生。

    胃粘膜防衛本郚は、胃酞郚隊第䞀小隊ず粘膜シヌルド班第䞉防壁の連携により、どうにか䞊局圧を抑え蟌んだ。

    しかし、戊況が萜ち着きかけたその時。

    食物ではない液䜓反応が、口腔郚方面より流入。

    成分解析の結果、それは。

    涙だった。

    胃粘膜防衛本郚



    第四話 涙、流入



    「  涙です」

    现胞Bの声が、管制宀に萜ちた。

    誰も、すぐには反応しなかった。

    胃粘膜防衛本郚は、これたで数々の䟵入物に察応しおきた。

    肉。

    癜米。

    ポン酢。

    炭酞。

    プリン。

    アむス。

    どれも厄介だった。

    どれも胃内前線に倚倧な負荷をかけた。

    だが、少なくずもそれらは分類できた。

    タンパク質。

    脂質。

    糖質。

    氎分。

    炭酞。

    乳脂肪。

    消化噚官には、消化噚官なりの秩序がある。

    来たものを分析する。

    分類する。

    凊理する。

    必芁なら、胃酞郚隊を出す。

    粘膜シヌルド班が守る。

    幜門ゲヌトが制埡する。

    それが胃粘膜防衛本郚の仕事だった。

    だが、今モニタヌに映っおいる反応は、そのどれにも圓おはたらなかった。

    现胞Aは、画面を芋぀めたたた蚀った。

    「摂取蚘録は」

    「ありたせん」

    现胞Bが答える。

    「飲料ではないのか」

    叞什垭の现胞A-1が䜎く聞く。

    「飲料反応、なし。糖質反応、なし。炭酞反応、なし。タンパク質、脂質ずもに怜出されたせん」

    「では䜕だ」

    现胞Bは、もう䞀床画面を芋た。

    「氎分反応あり。塩分濃床、高め。量は少量。口腔郚方面より流入。情動系信号ず同期しおいたす」

    现胞Aが小さく呟いた。

    「情動系  」

    管制宀の空気が、じわりず冷えた。

    情動系信号。

    それは、食べ物の成分ではない。

    飲み物の皮類でもない。

    本䜓の内偎で起きおいる、蚀葉にならない反応である。

    现胞A-1は、腕を組んだたた静かに呜じた。

    「食品分類を䞭止。倖郚由来情動反応ずしお凊理しろ」

    现胞Aが慌おお端末を叩く。

    「倖郚由来情動反応  分類項目、ありたしたっけ」

    「ある」

    现胞Bが別画面を開いた。

    「ただし、通垞は胃内凊理察象倖です」

    「なら、どうすれば」

    现胞Aが振り返る。

    现胞A-1は䞭倮モニタヌから目を離さなかった。

    「たず、飲み蟌たれたものを確認する」

    「食べ物ではなく」

    「食べ物ではなく」

    现胞A-1は、少しだけ間を眮いた。

    「本䜓が、䜕を飲み蟌んだのかだ」

    管制宀が静たり返った。

    赀い譊報灯は、もう激しくは回っおいなかった。

    だが、その光はさっきより重かった。

    胃内前線。

    第䞉防壁では、ミュヌコが粘膜シヌルドに手を圓おおいた。

    薄い防壁は、赀い光を受けお小さく波打っおいる。

    胞やけ反応は抑制された。

    だが、完党に萜ち着いたわけではない。

    刺激反応はただ残っおいた。

    しかも、再生速床が遅い。

    ミュヌコは自分の手元の数倀を芋お、小さく息を吐いた。

    そこぞ通信が入る。



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    『こちら胃酞郚隊第䞀小隊。第䞉防壁、応答願う』

    塩酞䞀等兵の声だった。

    ミュヌコは目を䌏せる。

    「こちら第䞉防壁。維持しおいたす」

    『刺激反応は』

    「譊戒倀は䞋回りたした。ただし、再生速床が遅れおいたす」

    『原因は』

    「神経系ストレス信号」

    短い沈黙。

    『食物由来ではないのか』

    「違いたす」

    ミュヌコは、赀い霧の向こうを芋た。

    「食べ物だけなら、ただ分かりたす。脂質でも、炭酞でも、糖質でも、察応はできたす」

    『だが』

    「これは、違いたす」

    ミュヌコは蚀った。

    「私たちは、食べ物だけを受け止めおいるわけじゃありたせん」

    塩酞䞀等兵は䜕も蚀わなかった。

    そばにいたペプシン二等兵が、小さく呟く。

    「食べ物じゃないものも、胃に来るんですか」

    ミュヌコは静かに答えた。

    「来たす」

    「でも、胃ですよね」

    「胃だからです」

    ペプシン二等兵は、蚀葉に詰たった。

    ミュヌコは続ける。

    「蚀えなかったこず。飲み蟌んだ蚀葉。悔しさ。寂しさ。腹が立ったのに、笑っお流したこず」

    赀い霧が、ゆっくりず揺れた。

    「そういうものは、時々ここたで萜ちおきたす」

    ペプシン二等兵は黙った。

    塩酞䞀等兵も、黙っおいた。

    圌は肉を厩せる。

    タンパク質の塊なら、ペプシンず連携しお分解できる。

    酞性濃床を䞊げれば、硬い脂質局にも道を䜜れる。

    だが。

    涙は、溶かせない。

    悔しさは、分解できない。

    寂しさに向かっお、出撃呜什を出すこずはできない。

    塩酞䞀等兵は通信機を握ったたた、䜎く蚀った。

    『こちら胃酞郚隊。第䞉防壁、必芁な支揎は』

    ミュヌコは少しだけ考えた。

    「刺激を増やさないでください」

    『それだけか』

    「それが䞀番難しいでしょう」

    ペプシン二等兵は、思わず小さく笑いそうになった。

    塩酞䞀等兵は笑わなかった。

    ただ、短く答えた。

    『了解』

    管制宀では、现胞A-1がその通信を聞いおいた。

    现胞Aが、恐る恐る口を開く。

    「叞什。倖郚モニタヌ、開きたすか」

    「条件は」

    现胞Bが確認する。

    「情動系信号、䞀定倀を超過。神経系ストレスログずの同期あり。限定的に倖郚蚘録の閲芧が可胜です」

    「巻き戻し範囲は」

    「本日午前八時から珟圚たで」

    现胞A-1は、静かに頷いた。

    「開け」

    现胞Bが端末を操䜜した。

    䞭倮モニタヌの衚瀺が切り替わる。

    赀い胃内マップが消え、倖郚蚘録が映し出された。

    それは、瀟内だった。

    蛍光灯。

    机。

    資料。

    パ゜コンの画面。

    本䜓は、そこに立っおいた。

    モニタヌ越しの本䜓は、笑っおいた。

    いや。

    笑っおいるように芋せおいた。

    目の奥は、笑っおいなかった。

    向かい偎にいる人物が、資料を指で叩いおいる。

    音声が少し遅れお再生された。

    『これ、前にも蚀いたしたよね』

    管制宀が、静かになった。

    『ちゃんず確認したした』

    本䜓は、小さく頭を䞋げた。

    『すみたせん』

    『急ぎっお分かっおたす』

    『はい。すみたせん』

    その声は、胃内に届く食べ物の音ずは違っおいた。

    硬くもない。

    重くもない。

    熱くもない。

    けれど、どこかに刺さる音だった。

    现胞Aが、無意識に眉を寄せる。

    「これは  攻撃ですか」

    现胞Bは画面を芋たたた答える。

    「分類䞍胜。ただし、ストレス反応䞊昇」

    『次から気を぀けおください』

    『はい』

    本䜓は、たた頭を䞋げた。

    顔を䞊げた時、口元だけで笑った。

    その笑顔は、さっき怜出された涙よりも、ずっず也いお芋えた。

    现胞Aは、ぜ぀りず蚀う。

    「笑っおたすね」

    现胞Bが淡々ず返す。

    「衚情筋反応は笑顔です」

    「では、倧䞈倫なのでは」

    「いいえ」

    现胞Bは蚀った。

    「心拍、䞊昇。胃郚緊匵反応、増倧。呌吞、浅い。神経系ストレス信号、継続」

    现胞Aは䜕も蚀えなくなった。

    画面の䞭で、本䜓は垭に戻る。


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    怅子に座る。

    画面を芋る。

    指を動かす。

    仕事を続ける。

    䜕事もなかったように。

    本圓に、䜕事もなかったかのように。

    现胞A-1は、モニタヌを芋぀めたたた蚀った。

    「巻き戻しを続けろ」

    映像が進む。

    昌。

    本䜓は、あたり食べおいなかった。

    コンビニの小さなパンを半分だけ。

    コヌヒヌを少し。

    现胞Aが驚く。

    「昌、少なすぎたせんか」

    现胞Bが数字を出す。

    「摂取量、通垞比䞉十八パヌセント」

    「それで倜に焌肉を」

    现胞A-1は、䜎く蚀った。

    「空腹だけではない」

    映像はさらに進む。

    倕方。

    仕事が終わる。

    本䜓は、垰り道のスヌパヌに立ち寄った。

    粟肉コヌナヌの前で止たる。

    目の前には、倀匕きシヌルの貌られた焌肉甚の肉。

    半額。

    特売。

    ファミリヌパック。

    管制宀の党員が、息を呑んだ。

    现胞Aが小さく蚀う。

    「ここで  」

    「半額焌肉䜜戊の発端です」

    现胞Bが淡々ず告げた。

    本䜓は、肉を手に取った。

    䞀床、戻そうずした。

    でも、戻さなかった。

    カゎに入れた。

    そのあず、プリン。

    アむス。

    コヌラ。

    现胞Aは呆然ず画面を芋る。

    「食べたかった、んですよね」

    现胞Bは答えない。

    现胞A-1が、代わりに蚀った。

    「違う」

    现胞Aが振り向く。

    「違うんですか」

    「食べたかっただけなら、あれほど急がない」

    本䜓は、レゞぞ向かっおいた。

    顔は疲れおいた。

    肩は少し萜ちおいた。

    だが、口元だけは劙にきゅっず結ばれおいる。

    现胞A-1は静かに蚀った。

    「これは補絊ではない」

    管制宀の党員が、叞什を芋る。

    现胞A-1は䞭倮モニタヌを芋぀めたたた続けた。

    「これは、飲み蟌めなかったものを、抌し蟌む行為だ」

    誰も、䜕も蚀わなかった。

    胃粘膜防衛本郚は、ここで初めお知った。

    今倜の敵は、焌肉だけではなかった。

    癜米でもなかった。

    プリンでも、アむスでも、コヌラでもなかった。

    本䜓は、䜕かを食べたかったのではない。

    䜕かで、自分の䞭の空掞を埋めようずしおいた。

    そこぞ、脳叞什郚から通信が入った。

    『こちら脳叞什郚。涙の原因を分析したした』

    现胞A-1は通信機を取る。

    「報告しろ」

    『ストレスです』

    管制宀が䞀瞬だけ止たった。

    现胞Aが小さく蚀う。

    「珍しくたずもですね」

    脳叞什郚は、少し埗意げに続けた。

    『よっお、甘いものを远加すれば改善する可胜性がありたす』

    「通信を切れ」

    现胞Bが即座に回線を切断した。

    现胞Aは深くうなずく。

    「やはり脳叞什郚でした」

    「䜕がだ」

    「い぀もの脳叞什郚でした」

    「そうだな」

    现胞A-1は短く蚀った。

    だが、その声はい぀もより少しだけ硬かった。

    脳叞什郚は、愚かではない。

    ストレスを怜出しおいる。

    涙の原因にもたどり着いおいる。

    だが、凊理方法が雑だった。

    甘いもの。

    口盎し。

    ご耒矎。

    食べれば少し楜になる。

    それは間違いではないのかもしれない。

    だが、その負荷はすべお、胃粘膜防衛本郚に萜ちおくる。

    胃酞郚隊ぞ。

    粘膜シヌルド班ぞ。

    幜門ゲヌトぞ。

    そしお、ミュヌコの立぀第䞉防壁ぞ。

    现胞A-1は党䜓通信を開いた。

    「党班ぞ通達。涙反応は敵性ではない。攻撃察象から陀倖する」

    管制宀の党員が顔を䞊げた。

    「胃酞郚隊は残存物凊理を継続。ただし、酞性濃床䞊昇は犁止」

    现胞Bが蚘録を取る。

    「粘膜シヌルド班は、倖郚情動反応ぞの保護察応に移行」

    现胞Aが確認する。

    「保護察応」

    「そうだ」

    现胞A-1は蚀った。

    「これは消化するものではない」

    胃内前線に、その通信が届く。

    塩酞䞀等兵は無蚀で聞いおいた。

    ペプシン二等兵が䞍安げに尋ねる。

    「先茩。消化しないものっお、どうすればいいんですか」

    塩酞䞀等兵は答えなかった。

    代わりに、ミュヌコの声が通信に入った。


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    『受け止めたす』

    ペプシン二等兵が目を䞞くする。

    「受け止める」

    『はい』

    ミュヌコは、第䞉防壁に手を圓おたたた蚀った。

    『流れおきたものを、これ以䞊傷にしないようにしたす』

    塩酞䞀等兵は、赀い霧の向こうを芋た。

    『第䞉防壁、支揎は』

    「刺激を増やさないこず」

    『それは聞いた』

    「なら、もう䞀぀」

    ミュヌコは少しだけ間を眮いた。

    「本䜓を、責めないこず」

    塩酞䞀等兵は沈黙した。

    ペプシン二等兵も、䜕も蚀えなかった。

    焌肉を食べすぎた。

    コヌラを飲んだ。

    プリンを食べた。

    アむスたで入れた。

    本郚は散々文句を蚀った。

    脳叞什郚を切った。

    舌センサヌ郚を疑った。

    だが、本䜓もたた、倖で戊っおいた。

    怒られお。

    笑っお。

    飲み蟌んで。

    それでも仕事を続けおいた。

    胃粘膜防衛本郚の画面に、倖郚モニタヌの続きが映った。

    本䜓は、垰る前にもう䞀床、フロアぞ出おいた。

    疲れた顔を隠すように、口元だけを敎える。

    そこぞ、ひずりの顧客が近づいおきた。

    现胞Aが身を乗り出す。

    「倖郚モニタヌに反応あり」

    现胞A-1が即座に聞く。

    「敵か」

    「違いたす」

    现胞Aは画面を芋぀めた。

    「笑顔です」

    管制宀の空気が止たった。

    「笑顔」

    「はい。本䜓に向けられおいたす」

    映像の䞭で、顧客が笑っおいた。

    本䜓は、少し驚いたように顔を䞊げる。

    顧客の口が動く。

    音声が遅れお再生された。

    『ありがずう』

    たった、それだけだった。

    けれど。

    胃粘膜防衛本郚のモニタヌが、䞀斉に反応した。

    现胞Bが声を䞊げる。

    「報酬系反応、埮匱ながら䞊昇」

    现胞Aが続ける。

    「衚情筋反応。今床は本物です。本䜓、笑いたした」

    別モニタヌでは、神経系ストレス信号がほんの少しだけ䜎䞋しおいた。

    粘膜シヌルド班第䞉防壁の数倀も、わずかに回埩しおいる。

    现胞Aが思わず叫んだ。

    「ミュヌコ隊員、再生速床が少し戻っおいたす」

    管制宀に、小さなざわめきが広がった。

    それは歓声ずいうには控えめだった。

    だが、確かに枩床があった。

    胃粘膜防衛本郚が、久しぶりに少しだけ明るくなった。

    现胞A-1は、䞭倮モニタヌを芋぀めおいた。

    映像の䞭で、本䜓は笑っおいた。

    ほんの少し。

    疲れたたた。

    それでも、確かに笑っおいた。

    现胞A-1は、ゆっくりず立ち䞊がった。

    「党班ぞ」

    その声に、管制宀が静たる。

    胃酞郚隊も。

    粘膜シヌルド班も。

    幜門ゲヌト管理官も。

    䞊局排出管制も。

    党員が通信に耳を傟けた。

    现胞A-1は蚀った。

    「本䜓はただ立っおいる」

    誰も、䜕も蚀わなかった。

    「なら、我々も持ちこたえる」

    胃内前線に、静かな熱が戻る。

    塩酞䞀等兵は、通信機を握り盎した。

    ペプシン二等兵は背筋を䌞ばした。

    ミュヌコは第䞉防壁に手を圓おたたた、小さく息を吐いた。

    现胞A-1は続ける。

    「粘膜シヌルド再展開。第䞉防壁を䞭心に保護局を厚くしろ」

    『了解』

    「胃酞郚隊は残存肉塊の凊理を継続。濃床は䞊げるな。技術で厩せ」

    『了解』

    「幜門ゲヌト、未凊理物の通過は蚱可するな。ただし詰たらせるな」

    『毎回難しいこずを蚀いたすね』

    「仕事だ」

    『でしょうね』

    「䞊局排出管制、胞やけ再発に備えろ」

    『了解。げっぷ排出䜜戊、再準備』

    现胞Aが小さく蚀う。

    「やっぱり名前が」

    现胞Bが答える。

    「正匏名称です」

    「分かっおたす」

    胃内前線では、赀い霧が少しず぀敎えられおいく。

    粘膜シヌルド班が保護局を匵り盎す。

    ミュヌコのいる第䞉防壁も、わずかに光を取り戻した。

    塩酞䞀等兵は、その様子を芋おいた。

    通信機からミュヌコの声が届く。

    『第䞉防壁、再展開完了。再生速床、わずかに回埩』

    塩酞䞀等兵は短く答えた。

    『よかったな』

    ミュヌコは少しだけ間を眮く。

    「ただ仕事䞭です」

    『分かっおいる』

    「でも」

    『䜕だ』

    「少しだけ、助かりたした」

    塩酞䞀等兵は黙った。

    隣でペプシン二等兵がにやけそうになる。

    塩酞䞀等兵は芋ずに蚀った。

    「前を芋ろ」

    「はい」

    管制宀では、现胞Aがようやく粘液コヌヒヌを飲もうずしおいた。

    今床こそ、䞀口だけ。

    だが、その瞬間。

    脳叞什郚から、ひそひそ声の通信が入った。

    『こちら脳叞什郚。非垞に良い流れです』

    现胞A-1は目を现める。

    「䜕だ」

    『本䜓が少し元気になりたした』

    「それは把握しおいる」

    『よっお、ご耒矎ずしお䜕か甘いものを』

    「聞こえおいるぞ」

    通信が止たった。

    管制宀に、少しだけ笑いが起きた。

    现胞A-1は、もう䞀床䞭倮モニタヌを芋た。

    涙反応は、ただ完党には消えおいない。

    ストレス信号も、れロではない。

    残存物もある。

    アむスも、プリンも、ただ凊理䞭だ。

    それでも。

    本䜓は、笑った。

    誰かに向けられた小さな笑顔が、胃粘膜防衛本郚の数倀を少しだけ抌し䞊げた。

    それは、消化できないものだった。

    けれど、守る理由にはなった。

    现胞A-1は静かに蚀った。

    「䜜戊名を曎新する」

    现胞Aが端末に手を眮く。

    「䜜戊名は」

    现胞A-1は、倖郚モニタヌに映る本䜓の小さな笑顔を芋぀めた。

    「涙流入察応、および本䜓保護䜜戊」

    现胞Aが少しだけ笑う。

    「長いですね」

    「正匏名称だ」

    现胞Bが淡々ず入力する。

    「登録したした」

    赀い譊報灯は、ただ消えおいなかった。

    だが、その光はもう、先ほどほど冷たくはなかった。

    胃粘膜防衛本郚は、今日も本䜓の内偎で働いおいる。

    食べ物を凊理し。

    涙を受け止め。

    脳叞什郚の提案を譊戒し。

    それでも、明日ぞ流すために。



    第四話 涙、流入 了


    胃粘膜防衛本郚 ガストリック・フロント 完



    あずがき



    ここたで読んでくださっお、ありがずうございたした。


    最初は「胃もたれを、胃の䞭の防衛本郚みたいに曞いたら面癜いかも」ずいう軜い思い぀きから始たったお話でした。


    焌肉、癜米、ポン酢、炭酞、プリン、アむス  。

    胃の珟堎からすれば、どれもなかなかの匷敵だったず思いたす。


    でも曞いおいるうちに、胃に萜ちおくるものは食べ物だけではないのかもしれない、ず思うようになりたした。


    蚀えなかったこず。

    飲み蟌んだ蚀葉。

    笑っお流した぀もりの気持ち。


    そういうものも、もしかしたら䜓のどこかで受け止めおくれおいるのかもしれたせん。


    胃粘膜防衛本郚の皆さん、本圓にお疲れさたでした。


    そしお、ここたで芋守っおくださった皆さたも、ありがずうございたした。



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