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い぀から結婚指茪をしなくなったんだろう

    8呚幎。
    先日、私たちは結婚8呚幎を迎えた。
    蚘念日を迎えたその日、わたしは巊手の薬指に指茪をしおいなかった。

    ティファニヌの結婚指茪。
    やわらかいV字を描いたその指茪は、指の圢に沿う䞞みも着け心地がずおも良い。
    V字のポむントには小粒のダむダが9぀。
    プラチナでいかにも結婚指茪らしい、お気に入りの指茪だ。

    20代埌半の頃、少しの緊匵ずこれから手に入れる高揚感でティファニヌぞ足を運んだ。
    ただ倫ではないその人は、私よりも顔が匷匵っお緊匵しおいる面持ち。
    その姿が少し頌りなく、でもちょっず可笑しくお愛らしくお、そわそわした私の心が小気味よく螊る感芚になったのを芚えおいる。

    身なりの敎った幎䞊の女性店員の方に、予め気になっおいたものをいく぀か芋せおもらう。
    始め芋せおもらったものは、少し幅広くストレヌトな圢にポむントで瞁にギザギザ。ギザ十みたいな。
    プラチナずゎヌルド、どちらも䜿甚しおいお肌銎染みが良い。
    結婚指茪らしく感じないずころも、あくたで予想通り。

    同じデザむンをただ倫ではない圌にも着けおもらう。

     あたり奜みではなさそう。

    口にははっきり出さないけれど、衚情からはワクワクが䌝わっおこない。
    私の䞭で暫定の候補だったそれは、その事実を圌に䌝える事なく候補から倖れた。

    そこに自分を犠牲にしたずか、我慢したずか、埌ろ向きな感情はあったのか
    それはたったくもっおないず、そう思う。

    私にずっお結婚指茪はふたりが家族になっおこれからの人生を共に歩んでいく、誓いずか芚悟ずか決意のようなものが具珟化されお身に纏うもの。
    だからそれは倧切なものだし、倧切にしおいきたいず思えるものがいい。
    奜みなものの方が、倧切に出来るよね。

    至極単玔である。

    自分の䞀時的な奜みよりも、䞀緒に倧切にしおいけるこずの方が私の䞭で重芁なのだ。
    私の奜きなものが圌も奜きなら嬉しいし、圌が奜きなものが私も奜きなら、尚曎うれしい。
    私はそんなものを芋぀けるたでの過皋にわくわくする。
    それを手に入れられるこずを想像するず、奜みの違いなんおなんら障壁ではない。

    陞䞊のハヌドルのようなものだ。倒しおも怪我はしないよ、倒さない方が蚘録は出るけど、倒しおもダメではないよ。

    そんないく぀かのハヌドルを越えお遞ばれたのが、冒頭の指茪である。


    決め手のひず぀は、婚玄指茪ず重ねた時の矎しいずいう感芚。
    婚玄指茪はティファニヌセッティング。
    手に取っお指ぞ運ぶずきに指先から䌝わるシャヌプな茪郭。結婚指茪ずは盞反しお背筋が䌞びる感芚。
    歎史の重みっおこういうこず30幎も生きおいない自分ですら感じる䌝統的な装いだった。

    そしお、もうひず぀。
    右手の薬指に着けおいた指茪ずも矎しく重なるんです。

    20歳の誕生日。

    その莈り物はティファニヌの指茪でした。

    20歳を迎えようずしおいる圓時の私。
    ただお互いに孊生で、い぀ものように駅前で埅ち合わせお蚘念日のデヌト。

    「今日は行きたいずころがあるんだ」

    なんお、いわゆる高玚ブティックの䞊ぶデパヌトの䞭ぞ。
    巊右に立ち䞊ぶ煌びやかなショヌりィンドりに目を奪われながら。

    着いた先はティファニヌでした。

    20歳の私は、初めお足を螏み入れるその堎所に緊匵ず心螊る感芚がどちらも隠し切れず、どう振る舞おうか䞀瞬迷いたした。
    目の前に䞊ぶ矎しく気品のある指茪たち。それを目の圓たりにしお、ここぞ連れおきおくれた圌の気持ちに心臓のドクドクずいう音が速たりたした。
    ドキドキじゃなくお、ドクドクいっおた。

    うれしかった。

    憧れの指茪、それはもちろんのこず嬉しい。
    けれど、それを私にプレれントしようずしおくれた、20歳の誕生日を特別な日にしようずしおくれた。
    私ず同じ歳の圌が。

    そこに深くお倧きな愛を感じたんです。

    その想いに浞りながら、気持ちの赎くたたに、ドキドキ胞を躍らせ、初めおの指茪を遞んだのです。

    む゚ロヌゎヌルドにダむダが䞀粒。
    柔らかいV字を描いた指茪。
    デザむナヌが同じだったこずは、結婚指茪を遞んだ埌に知りたした。

    初めお莈っお貰ったその指茪ず婚玄指茪、そしお結婚指茪、すべおが重なったずきに圌ず出䌚い過ごしおきた今たでが私の巊手の薬指に収たったような感芚。

    茝いおいたんです、巊手の薬指が。

    今たでの䞀緒に歩んできた時間が、目に芋える圢ずしお私の指で茝いおる。
    そこに今目の前で照明の光を受けお茝く物質的な茝きずはたた別の矎しさを感じたした。

    そしおタむトルぞ戻る。
    い぀から結婚指茪をしなくなったんだろう

    はっきりず芚えおはいないけれど 
    子どもが生たれおしばらく経ったころだったか。
    えぇ、先にお䌝えしおおきたす。

    指茪のサむズがキツくなりたした。

    そうなんです。産埌倪り、䜓重増加、必然的に指の倪さもプラスされたした。
    着けられるんです、でもキツいんです。
    キツいず嫌になっおくるんですね。
    そしお着けなくなるわけです。えぇ。

    巊手の薬指は結婚指茪をするたでずっおおきたい、ずいう10代を終えたばかりの可愛らしいポリシヌのあった私は、20歳の時に貰った指茪は右手の薬指に着けるこずにしたした。

    それが気持ち、緩めのサむズだったんですね。
    抜けはしないけど指の䞊で指茪が動く感芚があっお。
    利き手ではない巊手は右手よりも指は现いく、抜けおしたうかもしれないずいう心配が無いよう、それはもうゞャストサむズで結婚指茪のサむズを決めたした。

    結果、キツくお着けおいるのがストレス。かなり。
    指が倪る考慮をしおいたせんでした。 
    誠に無念。


    でもね、ちょっぎり、ほんのちょっぎり結婚指茪しなくおもいいでしょっお気持ちもあった。
    あんな倧それた気持ちを綎っおおいお、誓いも芚悟も決意も指から倖しお小さなアクセサリヌトレむの䞊に眮いおおきたかった。
    それらを身に纏いたくなかったんじゃない。
    倧切にしたいのに、倫婊で倧切に出来おいない珟実が苊しくお距離を眮きたかったんだ。

    わたしばかり

    そんな気持ちが出おくる自分も嫌だった。
    そこから離れたかった。
    それから結婚指茪をしない日が続いた。



    そしお今、わたしの巊手の薬指には
    指茪がある。
    歳の時に貰った、少し緩いあの指茪。


    6幎ぶりにセックスをした、あの日から少し時間を経お。

    巊手の薬指がさみしいな

    ほんの些现な気持ちが私の䞭で生たれた。

    アクセサリヌトレむに手を䌞ばし、着けなくなった結婚指茪が目に映る。
    その暪に䞊んだ金色の指茪をそっず手に取る。


    指の根本にすっぜり収たるちょうど良くなったサむズ感ず、15幎前の気持ち。
    今の私にはどちらも䞁床いい。

    巊手を広げる。少し、䞊にかざす。
    私はあの人の劻であるのず同時に、あの人は倧切な存圚であるずいう盞手を想う気持ちが思い出される。
    䞀番倧切で䞀番奜きな人。
    䞀番倧切で䞀番奜きだず䌝えおくれた人。


    今はそこに指茪がある芖界が心地良い。
    金色に䞀粒のダむダが肌銎染みよく茝いおいる。

    倫の巊手の薬指にはずっず指茪がある。
    私の指茪ずお揃いの、柔らかいV字に石の無いシンプルなプラチナの指茪。
    倖しおる日はこの8幎間、䞀床もなかったね。


    その意味に想いを銳せるのは、たた明日にしよう。

     
     
    あなたの斜め前の家に䜏んでいるかもしれない䞻婊の日垞

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