
私の好きな、その手
その手を、いつまで握れるんだろう。
あの日の公園で、私は小さな両手を握っていた。
「いち、に。いち、に」
お家では歩けていたけれど、靴を履いて歩くのは初めてだったね。
ゆっくり、一歩ずつ歩くきみの手は、とても小さかった。
でも、私の手をぎゅっと握る力は、しっかりしていた。
「いっぽんばし、こちょこちょ〜♪」
歌いながら、その手をこちょこちょするのが大好きだった。
最後にこちょこちょされるのが楽しくて、何度も何度もせがんでは、ケラケラ笑っていたね。
雪が降った次の日。
保育園の帰り道、自転車に乗るきみの手が冷たかった。
きみの手袋を忘れてしまった私に、
「かか、また忘れたの?」
なんて言いながら、雪を触った冷たい手を私の頬にぺたっ。
「見て、冷たいよー」
冷たくて、思わず笑った。
そして、私の大きな手袋を貸して、その手を温めた。
プラレール、トミカ、恐竜、レゴ、ブロック。
小さな手でいろんなものに触れて、ワクワクしていた幼いころ。
小学生になると、その手でゲームのコントローラーを握ることが増えた。
遊ばれなくなったおもちゃたちは、今もきみの部屋で眠っている。
まるで『トイ・ストーリー』みたいに。
そして、手が荒れてしまった時期もあったね。
赤くなった手を見るたび、私は何度「ごめんね」と言っただろう。
触ると痛いと言うから、その手に触れることもできなかった。
noteに気持ちを書いたり、スクールカウンセラーの方に話を聞いてもらったりしながら、私も少しずつ落ち着いていった。
5年生になった今、きみの手はすっかりきれいになった。
お箸を持ったり、鉛筆を持ったり、今もコントローラーを握っている。
「友達に見られたら恥ずかしいわ〜」
そう言っていたから、手をつなぐことはもう諦めていた。
遠くへ遊びに行ったときや旅行先では、まだつないでくれるけれど。
それが、この前の近所の散歩中。
話しながら歩いていたら、いつの間にかきみの手が私の手を握っていた。
「あれ?恥ずかしいんじゃなかったの?」
そう聞いたら、きっと離されちゃう。
だから、気づかないふりをした。
ただ、何も言わずそっと握り返した。
小さかった手。
冷たかった手。
痛くて触れなかった手。
…そして今、私の手を握ってくれた手。
ずいぶん、大きくなったね。
これから、もっと大きくなるんだろうな。
いつか、私の手を握らなくなる日も来る。
だから今はどうか、このままで。
気づかないふりをして、もう少しだけ一緒に歩こう。
(1000字)
今回の記事は、「まきと須川の文藝大賞2026」
エッセイ部門で参加させて頂きました😊
須川さん、改めましてnote5周年おめでとうございます🎉✨
須川さん、まきさん、りっちゃんさん
この度は素敵な企画をありがとうございます☺️
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応募期間:2026年9月1日〜9月15日まで
ご興味のある方は、ぜひ応募してみてくださいね☺️💕
私も改めて自分の好きなものを見つめ直すきっかけになりました🥰
息子の手を握った瞬間、じんわり昔のことを思い出して、このまま時間が止まればいいのにと思う今日この頃です😌
手の大きさは、もうほとんど私と変わらないのに、ぽちゃぽちゃしていて、まだまだ子どもの手。
そんなところも、私は大好きです🤭
いつかこの手も、もっと大きくなって、私の手をすっぽり包むくらいになるのかな。
そう思うと、少し寂しくて、でも楽しみでもあって。
だから今は、ふいに握ってくれたその手を、もう少しだけ味わっていたいなと思います🥰
もちろん娘のちっちゃい手も大大大好きです❤️
