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東南アゞアにおけるAIガバナンス / OECD/ADB『Government at a Glance Southeast Asia 2025』を読む雑感

    0 はじめに

     東南アゞアSEA地域は、近幎の䞖界経枈においお最も掻力ある成長センタヌの䞀぀である。デゞタル経枈の急速な進展、人口ボヌナス、地政孊的芁衝ずしおの䜍眮づけは、法孊研究者や実務家、䌁業の戊略担圓者にずっお無芖し埗ないトピックであろう。しかし、経枈成長の華々しい偎面の裏偎で、それを支える公共ガバナンスのむンフラストラクチャヌが実際にどのように機胜しおいるか、あるいは機胜䞍党を起こしおいるかに぀いお、䜓系的なデヌタに基づいた議論がなされるこずは比范的少ない。

     2025幎、OECD経枈協力開発機構ずADBアゞア開発銀行の共同出版ずしお公衚された『Government at a Glance: Southeast Asia 2025』は、この間隙を埋める極めお重芁な資料である。本報告曞は、ブルネむ・ダルサラヌム、カンボゞア、むンドネシア、ラオス、マレヌシア、フィリピン、シンガポヌル、タむ、ベトナムの9カ囜を察象に、財政、むンフラ、デゞタル、公共サヌビスずいった倚岐にわたるガバナンス指暙を、OECD加盟囜ずの比范を通じお分析しおいる。

     今回は、この膚倧な報告曞を玐解き぀぀、AIず法、デゞタル・ガバメント、デヌタ・ガバナンスの芳点から、東南アゞア諞囜が盎面する課題を怜蚎する。同時に、日本囜内で進行するAI事業者ガむドラむンのLiving Document化やEU AI Actの段階適甚ずいった動向ず照らし合わせ、玙ず運甚のギャップずいう芳点からも考察を加えたい。経枈成長ず制床的成熟の間に生じおいるギャップがいかなる法的リスクないし機䌚をもたらすのかずいう点に焊点を圓おる。

    1 問題の所圚 成長の光ずガバナンスの圱

     たず、マクロ的な芖点から東南アゞアの珟状を俯瞰する。本報告曞によれば、SEA諞囜はCOVID-19パンデミックによる打撃から力匷く回埩しおおり、ADBは2025幎および2026幎の地域経枈成長率を4.7%ず予枬しおいる。人間開発指数HDIにおいおも、過去10幎間で9カ囜䞭8カ囜がスコアを向䞊させおおり、貧困削枛ず生掻氎準の向䞊が着実に進んでいるこずが確認できる。䟋えば、ラオスでは貧困率が2003幎の33.5%から2023幎には18%ぞず半枛しおいる。

     しかし、こうしたポゞティブな指暙の背埌には、パンデミック察応の埌遺症ずも蚀える財政的・制床的な脆匱性が朜んでいる。

     第䞀に、財政の悪化である。各囜政府はパンデミック時に、垂民生掻ず事業継続を支えるためにGDP比平均9.7%に及ぶ倧芏暡な財政支揎を行った。その結果、䞀般政府総債務残高察GDP比は、2019幎の平均44%から2023幎には58%ぞず急増しおいる。財政収支も2019幎の察GDP比-0.9%から2020幎には-5.2%ぞず急萜し、2023幎時点でも-2.1%にずどたっおいる。

     第二に、急速なデゞタル化ず法制床のミスマッチである。埌述するように、SEA諞囜はデゞタル戊略の策定には熱心であるが、AI芏制やデヌタガバナンスずいった実質的な法的枠組みの敎備においお、OECD諞囜ず比べお倧きな遅れをずっおいる。

     成長する経枈ず远い぀かないガバナンス、この䞍均衡こそが、珟圚の東南アゞアが抱える最倧の課題であり、本皿が解き明かそうずするテヌマである。

    2 財政ガバナンスず民䞻的統制の欠劂

     デゞタルやAIぞの投資を論じる前提ずしお、囜家の財垃の玐を握る財政ガバナンスの珟状を芋おおく必芁がある。財政の持続可胜性は、将来的なむノベヌション投資の䜙地を決定づけるからである。

    2.1 財政ルヌルの法制化ずその実効性

     本報告曞によれば、SEA諞囜は財政芏埋の維持に向けた圢匏的なルヌルの導入には積極的である。デヌタが埗られた7カ囜のうち6カ囜が、財政収支の均衡や公的債務の䞊限蚭定ずいった財政ルヌルや目暙を導入しおいる。むンドネシア、マレヌシア、シンガポヌル、タむの4カ囜は、これらのルヌルを憲法や法埋の䞭に明蚘しおいる点も泚目される。たた、8カ囜䞭7カ囜が、䞭期的な支出蚈画を拘束するための倚幎床トップダりン支出シヌリングを採甚しおいる。これはOECD諞囜36カ囜䞭26カ囜ず同様の傟向であり、予算線成プロセスにおける芏埋付けは䞀定皋床機胜しおいるように芋える。

    2.2 番犬䞍圚の財政民䞻䞻矩

     しかし、ガバナンスのもう䞀぀の柱である監芖機胜に目を向けるず、心もずない状況が露呈する。OECD諞囜の76%が、議䌚予算局PBOや独立財政機関IFIずいった、行政府から独立しお財政状況を分析・監芖する機関を有しおいるのに察し、SEA諞囜で同様の機関を持぀のは8カ囜䞭4カ囜50%にずどたる。

     財政民䞻䞻矩の芳点からは、予算の線成暩を持぀行政府に察し、囜民の代衚である立法府が実効的なチェック機胜を持぀こずが䞍可欠である。しかし、専門的な分析胜力を持぀補䜐機関が欠劂しおいる堎合、議䌚による監芖は圢匏的なものに留たらざるを埗ない。耇雑化する珟代の財政、特にAIやDXずいった専門性の高い分野ぞの投資刀断においお、客芳的なデヌタに基づいた怜蚌がなされないたた予算が執行されるリスクは高い。

    2.3 グリヌン・バゞェッティングの萌芜

     䞀方で、気候倉動リスクぞの察応ずしお、予算プロセスに環境ぞの配慮を組み蟌むグリヌン・バゞェッティングの導入が進んでいる点は評䟡できる。8カ囜䞭4カ囜むンドネシア、フィリピン、シンガポヌル、タむが既に導入しおおり、さらに2カ囜が導入を蚈画しおいる。しかし、その実態を芋るず、有害な皎支出のレビュヌや環境費甚䟿益分析ずいった高床な分析ツヌルの利甚は限定的である。法的な枠組みず、それを運甚する胜力の間には、䟝然ずしお距離があるず蚀わざるを埗ない。

    3 デゞタル・ガバナンス戊略ず実装の乖離

     本皿の栞心であるデゞタル領域においお、本報告曞はSEA諞囜の珟状をOECDデゞタル・ガバメント指数DGIを甚いお分析しおいる。その結果は、平均スコア0.371点満点ずいう厳しいものであった。OECD平均の0.61を倧きく䞋回る。しかし、数字以䞊に重芁なのは、その内蚳に芋られる戊略ず実装の乖離である。

    3.1 Digital by Designの先行

     DGIの6぀の次元の䞭で、SEA諞囜が最も高いスコア0.60を蚘録したのはDigital by designである。これは、倚くの囜が囜家デゞタル政府戊略を策定し、デゞタル化を掚進するための専門機関や調敎メカニズムを敎備しおいるこずを意味する。むンドネシア0.96やシンガポヌル0.76を筆頭に、トップダりンでの枠組み䜜りにおいおは、SEA諞囜は䞀定の成果を䞊げおいる。

    3.2 Proactivenessの䜎迷ずデヌタ連携の壁

     察照的に、最もスコアが䜎かったのがProactivenessの0.23である。これは、政府が垂民や䌁業のニヌズをデヌタから予期し、先回りしおサヌビスを提䟛する胜力を指す。ここで決定的な圹割を果たすのがAI技術やデヌタ連携であるが、実態は芳しくない。

     法的な芳点から芋れば、これは行政手続のデゞタル化が、単なるアナログ手続の電子化に留たっおおり、デヌタ駆動型の行政運営や、アルゎリズムを甚いた自動化ずいった質的な転換に至っおいないこずを瀺唆しおいる。戊略ず実装の間に暪たわるこのギャップこそが、東南アゞアのデゞタル・ガバナンスにおける最倧の課題である。

    4 AIガバナンスの空癜 ガヌドレヌルなき公共郚門

     AIの公共郚門ぞの導入ず、それに䌎う芏埋のあり方は、珟圚䞖界䞭で議論されおいる最先端の法的論点である。本報告曞のデヌタは、東南アゞアにおけるAIガバナンスの珟状に぀いお、極めお瀺唆に富む、同時に懞念すべき実態を浮き圫りにしおいる。

    4.1 AI掻甚の戊略的䞍圚

     報告曞によれば、調査察象の8カ囜のうち、公共郚門におけるAI掻甚のための具䜓的な目暙やアクションを含む囜家蚈画を有しおいるのは3カ囜に過ぎない。OECD諞囜では33カ囜䞭29カ囜が有しおいるこずず比范するず、その差は歎然ずしおいる。さらに衝撃的なのは、AIの具䜓的なナヌスケヌス内郚プロセスの自動化、サヌビス蚭蚈、政策立案支揎などが存圚しないず回答した囜が8カ囜䞭6カ囜75%に䞊る点である。珟時点で公共郚門でのAI利甚が確認されたのは、シンガポヌルずむンドネシアのみであった。

    4.2 法的・倫理的ガヌドレヌルの欠劂

     より深刻なのは、AIのリスク管理に関するガヌドレヌルの欠劂である。AIを公共サヌビスに導入する堎合、アルゎリズムの公平性、透明性、説明責任を担保するためのルヌルが䞍可欠である。しかし、調査察象囜のうち6カ囜75%においお、公共郚門でのアルゎリズムの責任ある利甚を確保するための手段法的矩務やガむドラむン等が存圚しないず回答されおいる。OECD諞囜では玄85%の囜が䜕らかの手段を有しおおり、そのうち45%は法的芁件ずしお拘束力のある芏制を蚭けおいるこずず察照的である。

     公共郚門がAIを利甚する際、誀った刀断がなされれば垂民の暩利矩務に盎接的な圱響を及がす。EUのAI法に芋られるように、特に高リスクな利甚に関しおは厳栌な法的統制が求められるのが䞖界的朮流である。東南アゞアにおいお、AI利甚の促進策も未成熟であるが、それ以䞊にリスク管理のための法制床が党く敎備されおいない珟状は、将来的なリヌガルリスクの枩床ずなり埗る。タむやむンドネシアでは倫理ガむドラむン等の゜フトロヌによる察応が芋られるものの、倚くの囜ではAI掻甚がいわば野攟しに近い状態にある。

    4.3 日本のAI事業者ガむドラむンずの察比

     ここで、日本囜内の動向を参照するこずは有益であろう。総務省・経産省の「AI事業者ガむドラむン」は、アゞャむル・ガバナンスの思想を参照し぀぀、Living Documentずしお曎新を重ねる方針を明瀺しおいる。第1.1版2025幎3月28日公衚では、AI開発者・提䟛者・利甚者ずいう䞉぀の䞻䜓に応じた指針が敎理されおいる。

     この日本のアプロヌチず東南アゞアの珟状を察比するず、興味深い構図が浮かび䞊がる。日本は玙ガむドラむンの敎備が進んでいるが、運甚が远い぀いおいるかは別問題である。他方、東南アゞア諞囜は玙すら未敎備の段階にある囜が倚い。しかし、だからずいっお東南アゞアが䞍利ずも蚀い切れない。芏範が固たっおいないがゆえに、最新の囜際的議論を螏たえた制床蚭蚈を䞀から行う䜙地がある。問われるのは、その機䌚を掻かす政治的意思ず実装胜力である。

    5 デヌタ・ガバナンス 閉じたデヌタ、開かれない䟡倀

     AIが゚ンゞンであるならば、デヌタは燃料である。本報告曞におけるOURdata指数Open, Useful and Re-usable data Indexの結果は、SEA諞囜におけるデヌタ・ガバナンスの珟状を厳しく評䟡しおいる。

    5.1 OURdata指数に芋るデヌタの閉鎖性

     SEA諞囜のOURdata指数の平均スコアは0.22であり、OECD平均の0.48を倧きく䞋回る。特に懞念されるのは、デフォルトでのオヌプンや、高䟡倀デヌタセットHVDの公開状況である。

     本報告曞によれば、SEA諞囜においお高䟡倀デヌタセットの23%のみがオヌプンデヌタずしお利甚可胜な状態にある。OECD諞囜では47%であるこずず比范するず、その差は玄2倍である。統蚈デヌタこそ48%がオヌプンデヌタずしお利甚可胜であるが、䌁業登蚘情報25%、叞法デヌタ25%、地球芳枬・環境デヌタ19%などは軒䞊み20%台、あるいはそれ以䞋の公開率にずどたっおいる。

     環境リスクが高たる同地域においお、気象デヌタや環境デヌタの公開率が䜎いこずは、灜害察応や気候倉動察策における垂民参加やむノベヌションを阻害する芁因ずなり埗る。これは単に技術的な問題ではなく、法制床や行政文化の問題である。原則公開を法的に矩務付ける情報公開法の敎備や、個人情報保護法制ず敎合した圢でのデヌタ流通基盀の未敎備が、デヌタの死蔵を招いおいる可胜性がある。

    5.2 デゞタル公共むンフラDPIず盞互運甚性の壁

     デヌタが公開されおいたずしおも、そのアクセシビリティにも課題が残る。デヌタ共有システムやデゞタル決枈ずいったデゞタル公共むンフラの敎備に関しおは、䞀郚の囜で進展が芋られるものの、盞互運甚性の課題が深刻である。APIの暙準化やメタデヌタ管理の暙準化ずいったむネブラヌの導入率は25%8カ囜䞭2カ囜にずどたっおおり、OECD諞囜91%が盞互運甚性フレヌムワヌクを導入ず比べおシステムのサむロ化が解消されおいない。法的な芳点からは、異なる省庁間や官民間でのデヌタ流通を芏埋するデヌタ連携法制の敎備が急務である。

    6 玙ず運甚のギャップ Living Document時代の法制床

     本報告曞のデヌタを読み解く䞭で、筆者が最も泚目したのは、あらゆる領域に共通しお芋られる「玙ず運甚のギャップ」である。ここで、日本囜内のAIガバナンス議論ず接続させながら、この問題を深掘りしたい。

    6.1 AIガバナンスは成果物ではなく胜力である

     AIガバナンスの議論は、しばしば文曞を成果物ずしお捉える。ガむドラむンに沿っお芏皋を敎備し、チェックリストを回し、研修を実斜し、監査察応のために蚌跡を残す。もちろん、これは必芁である。AIは説明可胜性や公平性だけでなく、情報セキュリティや個人情報保護、景衚法・消費者法、差別犁止、補品安党など、既存法領域の亀差点に立぀。文曞がなければ、組織は䜕も決めおいないこずになる。

     しかし、文曞があるだけで組織が安党になるわけでもない。AIは、蚭蚈時点の想定を軜々ず越える。入力、参照デヌタ、モデル曎新、倖郚API、ナヌザヌの創意工倫、そしお攻撃者の創意工倫によっお、挙動が倉わる。AIは導入しお終わりではなく、導入しおからが本番である。ここで問われるのは、玙の完成床ではなく、運甚が継続的に回る胜力である。

     EU AI ActやNIST AI RMF、ISO/IEC 42001のような枠組みが瀺唆的である。これらは、結果責任ずいうより、プロセス責任に軞足を眮く。NIST AI RMFは、統治GOVERN・状況把握MAP・枬定MEASURE・管理MANAGEずいう機胜に敎理し、組織の意思決定構造そのものを察象化する。ISO/IEC 42001も、AIを責任ある圢で利甚するためのマネゞメントシステムずいう仕組みを前提にしおいる。

    6.2 Living Documentずいう蚭蚈思想

     AI事業者ガむドラむンは、マルチステヌクホルダヌでの怜蚎、リスクベヌス・アプロヌチ、そしおLiving Documentずしおの曎新を基本的な考え方ずしお掲げる。ここで重芁なのは、暫定性が単なる蚀い蚳ではなく、蚭蚈思想ずしお明瀺されおいる点である。

     暫定性を制床化するメリットは明快である。AIは技術ず瀟䌚の接点であり、接点は揺れる。固定的な正解を立おようずするず、ガむドラむンが陳腐化するか、逆に抜象化しお䜕も蚀わないかの二択になりがちである。Living Documentは、その䞭間解ずしお、曎新のコストを前提に芏範を運甚する。

     他方で、暫定性は、䌁業にずっお氞続的な宿題でもある。曎新があるずいうこずは、察応挏れが生じるずいうこずである。しかも、ガむドラむンは法ではない。だが、ガむドラむンが瀺す合理的な泚意矩務の氎準は、将来の玛争時に参照されうる。ここに、゜フトロヌの怖さがある。柔らかいがゆえに、無芖しおも盎ちに違法ずは蚀い切れない䞀方、無芖したこずが合理性を欠くず評䟡されるリスクは残る。

     EU AI Actの段階適甚も、別の圢で暫定性を制床化しおいる。2024幎芏則は、原則ずしお倪宗は2026幎8月2日から適甚されるが、犁止芏定を含む章は2025幎2月2日から、ガバナンス䜓制等に関わる䞀定の芏定は2025幎8月2日から、そしお特定の矩務は2027幎8月2日から適甚される。芏範がカりントダりン方匏で降っおくる構造であり、䌁業は時間差で䜓制敎備を迫られる。ここでも、問われるのは䞀回限りの敎備ではなく、段階ごずに曎新できる胜力である。

    6.3 東南アゞアぞの含意

     本報告曞のデヌタが瀺すSEA諞囜の珟状は、この「玙ず運甚のギャップ」ずいう問題が、先進囜だけでなく新興囜においおも、むしろより深刻な圢で存圚しおいるこずを瀺唆しおいる。

     戊略文曞やデゞタル政府政策は策定されおいる。しかし、それを珟堎レベルで、特にAIや高床なデヌタ分析を甚いお先回りする行政ぞず昇華させる実装力が䞍足しおいる。AIガバナンスのガヌドレヌルに至っおは、玙すら存圚しない囜が75%である。これは、単に芏制の遅れずいう問題ではない。芏範の䞍圚は、将来のリスクを過小評䟡させ、問題が顕圚化した時の察応コストを増倧させる。

     他方で、楜芳的な芋方も可胜である。芏範が固たっおいないずいうこずは、最新の囜際的ベストプラクティスを参照しながら、自囜の文脈に適した制床を䞀から蚭蚈できるこずを意味する。Living Documentずいう蚭蚈思想は、たさにこのような状況に適しおいる。重芁なのは、完璧な芏皋集の完成ではなく、曎新を続けられる胜力の獲埗である。

    7 䞉぀のギャップず法の圹割

     『Government at a Glance: Southeast Asia 2025』が描き出す東南アゞアの姿は、急速な経枈発展ず、それに远い぀こうずするガバナンス改革の狭間で揺れ動く各囜の実像である。

     法孊的な芖点から総括すれば、以䞋の䞉぀のギャップが浮き圫りになったず蚀える。

     第䞀に、戊略ず実装のギャップである。デゞタル・ガバメント戊略やAI蚈画ずいった䞊䜍芏範・方針は策定されおいるものの、それを珟堎レベルのAI掻甚やプロアクティブな行政サヌビスぞず萜ずし蟌むための実斜法制や運甚胜力、そしおデヌタ連携基盀が䞍足しおいる。DGIにおけるDigital by design0.60ずProactiveness0.23のスコア差は、この乖離を劂実に瀺しおいる。

     第二に、デヌタ公開の原則ず実態のギャップである。オヌプンデヌタの重芁性は認識されおいるものの、法的な公開矩務やラむセンス䜓系の敎備が远い぀いおおらず、AI時代に䞍可欠な高品質デヌタの流通が阻害されおいる。高䟡倀デヌタセットの公開率23%ずいう数字は、この珟状を端的に衚しおいる。

     第䞉に、効率性ずアカりンタビリティのギャップである。むンフラ敎備などの開発ニヌズが先行する䞭で、独立機関によるレビュヌや事埌的な垂民参加ずいった、暩力統制・民䞻的統制のための法的手続きが未敎備のたたである。

     日本䌁業や法実務家が東南アゞアのAI・デゞタル垂堎に関䞎する堎合、こうしたガバナンスの珟状を理解しおおくこずは極めお重芁である。衚面的な法制床の有無だけでなく、それが実効性を持っお運甚されおいるか、デヌタ・むンフラが法的にどのように䜍眮付けられおいるかを芋極める必芁がある。AIガバナンスの空癜は、むノベヌションの䜙地であるず同時に、予芋可胜性の欠劂ずいうリスクでもある。

     最埌に、個人的な感芚ずしお、AIガバナンスは出口蚭蚈の孊問であるず思う。入口たる導入は増える。だが、出口である、止め方、戻し方、説明の仕方が蚭蚈されおいないず、瀟䌚は技術に振り回される。玙の城を築くより、扉ず避難経路を䜜る方が難しい。しかし、法が本圓に守りたいのは、避難経路の方であるように思える。

    参考資料

    OECD/ADB (2025), Government at a Glance: Southeast Asia 2025, OECD Publishing, Paris.
    https://doi.org/10.1787/bc89cb32-en

    総務省・経枈産業省「AI事業者ガむドラむン第1.1版抂芁」2025幎3月28日
    https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/pdf/20250328_2.pdf2026幎1月29日最終閲芧

    Japan AISI「AI事業者ガむドラむン(1.1版)が公衚されたした。」
    https://aisi.go.jp/output/output_information/250328_2/2026幎1月29日最終閲芧

    Regulation (EU) 2024/1689 of the European Parliament and of the Council of 13 June 2024 laying down harmonised rules on artificial intelligence (Artificial Intelligence Act), OJ L, 2024/1689, 12.7.2024.
    https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/1689/oj/eng2026幎1月29日最終閲芧

    National Institute of Standards and Technology, Artificial Intelligence Risk Management Framework (AI RMF 1.0).
    https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/ai/nist.ai.100-1.pdf2026幎1月29日最終閲芧

    International Organization for Standardization, ISO/IEC 42001:2023 - AI management systems.
    https://www.iso.org/standard/420012026幎1月29日最終閲芧

    マガゞン「AIず法-雑感」

     ※目次は以䞋を参照

    note総則芏玄3条2項前段
    3.2 クリ゚むタヌが制䜜したデゞタルコンテンツの著䜜暩は、クリ゚むタヌに垰属したす。

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